7月中旬、映画を観に。

青山学報掲載の際、加藤シゲアキ先生は、学生時代にラジオを聴いて語彙力や表現力を身に付けたと語った。

ラジオを聴けばシゲさんのおっしゃることが分かるようになるかも!とふんわり考えた私は、シゲさんが昨年末出演されたTBSラジオの「アフター6ジャンクション」を聴き始めた。

ちゃんと聴いてみたところドハマりして、今では通学中にSpotifyのポッドキャストでおっかけ聴取をしたり(学生にリアタイは難しい)、RHYMESTERさんの曲を聴いたり、木曜パートナーの宇内梨沙さんのYouTubeチャンネル「宇内e」をチャンネル登録をしたり、楽しい限りである。


さて、アトロクでは毎週金曜、ランダムに決まった映画をパーソナリティの宇多丸さんが観て評論する「ムービーウォッチメン」のコーナーがあるが、そこで高い評価を受けていた二作品を、ちょうど立て続けに観ることができる映画館が出先の近くにあったので、行ってみた。

映画館は平日の昼間ということもあって全然混んでいなかった。コロナ禍にはちょうどいい間隔。

席につこうとしたら別の人が座っているというハプニングがあったが、座席にあまり傾斜がなく見づらいため席を移動したということらしく、その方には職員さんを通じて別の席に移動していただき、上映を待った。


まずは「アメリカンユートピア」。

急に脳の歌から始まってびっくりした。不思議な世界観の舞台。フロントマンがバンドじゃなくてマーチングとダンサーを引き連れたみたいな感じで、物語仕立てではない舞台は初めてで新鮮だった。終始裸足で繰り広げられるステージは、画面の中の観客がすごく楽しそうで、トーキングヘッズ未履修の自分もなんとなく楽しくて、少しだけ伏線回収も理解できた。しかし、全然ピンとこなかった部分がほとんどだったため、ちゃんとトーキングヘッズを聴いてからもう一度観てみたいと思った。(音楽が心地よく、また物語仕立てでもないため、途中で少し寝てしまったからもう一度、というのもある。。)


続いて「ファーザー」。
(これは寝なかった)

『アメリカンユートピア』は前述の通り脳の歌で始まるのだが、なんだかそれと繋がってしまい勝手に驚いた。何が正しいのかこっちもわからない「認知症の人の視点」というのがすごく興味深くて、すごく怖かった。何度もあった外のカットは変わらないものということ?この視点から描くって、娘さんはどうやって構成したんだろう?一緒にいただけでこんなにわかるものなのなしら…実際の「ファーザー」本人もこんな娘さんがいて心強かっただろうに。(後から言動から考えて作ったものなのかもしれないけど)

あと個人的に、シャーロックのマイクロフト役の俳優さんが出てきて「あ!」となったw

孫として、娘として、そしてもし上手く生きることができればいずれは老後を迎える身として、老いとどう向き合うか生きるか考えさせられる映画だった。後半だけで4回も大泣きした。

私は小さい頃、プリキュアの映画を毎年観ていたが、小学校に入ってからは3、4年おきにしか映画館に行かなかった(ボヘミアンラプソディだけは劇場で6回も観たが、映画というよりはクイーンというグループが好きで観ていた)ので、こういう風に、自分が必ずしも好きになるとは限らない作品を、しかも2本立て続けに観るのは初めてだった。

私は怠惰で集中力がない性格で、本は買いっぱなしにしてためてしまっていたり、YouTubeの短い動画でさえ2倍速で観たりする。

だから映画館というのは自分にとって、周りに何もなく映画に集中することができる良い環境なのだと気づいた。

また、今回行ったのはミニシアターだったのだが、アメリカンユートピアとファーザーで映像の大きさの比率が変わるため、幕間に(おそらく手動で)画面の大きさがクルクルクルッと変わったのである。ミニシアターならではの仕掛けだった。

やはり映画は映画館で観るべきだし、ミニシアターは面白い。今後も映画を観ることを続けて行きたいと思った。

まだ加藤シゲアキ先生の言うことはわからないことも多いが、アトロクを聴くことは確実に自分にとって役に立っている。