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「雑談」は人間関係をつくるコミュニケーションの母体

フォレスト出版の寺崎です。

入学式シーズンのこの時期。新しい学校、新しいクラス、新しい職場、新しい部署・・・さまざまな新しい環境で新たな人間関係の構築がスタートする時期です。

子どものころ、引っ込み思案だった自分は、幼稚園に行くのがイヤで泣いていた記憶がうっすらあります。見知らぬ土地に引っ越した環境で小学校に入学した最初の1日目も不安いっぱいで恐怖だったのを覚えています。

いまでこそ、普通に他人とコミュニケーションが取れる大人になりましたが、生来の引っ込み思案が災いして、若いころは「コミュニケーション下手」「コミュ障」を自認していました。

そんなコミュ障な人々にとっては「会話で人間関係をつくること」に苦労が伴います。「会話術」「雑談力」のテーマにベストセラーが多いのは、私自身の経験からも大きく頷けます。

さて、今日はそんな「話し下手」「口下手」を自称する方に、とっておきのメソッドをお伝えしたいと思います。

シリーズ16万部を突破した『面白いほど雑談が弾む101の会話テクニック』(神岡真司・著)から「話し下手・口下手解消のための基本メソッド11」をご紹介します。

【テクニック1】話し手の「気持ち」に焦点を当てる

「人との会話が続かない」「すぐに沈黙が訪れて困る」という人は大勢います。
 しかし、それはたいていの場合、「聞く力」が足りないのが原因です。
 会話を弾ませるのは、「話す力」だと多くの人が誤解していますが、実際は「聞く力」や「応じる力」のほうが何倍も重要なのです。
 相手の言うことを自分はよく聞いている──と思っているのに、会話に沈黙が訪れてしまうのは、「聞き方」「応じ方」がうまくない──ということがほとんどなのです。
 テレビのお笑い芸人は話すのがうまい──と思われていますが、実際は相手の話したことを当意即妙に面白おかしく加工して返すのがうまいのです。
 相手が「出来事」を話したら、その時の相手の「気持ち」に焦点を当てて返すのです。

芸人A「 好きな女の子と、はじめてデートする時って緊張するじゃないですか」
芸人B「 きみは、下心全開だからだろ、エッチな妄想膨らませて。そりゃドキドキするわなー(笑)」


 お笑い芸人は、相手の気持ちを大袈裟に見透かして相手のリアクションを誘います。素人が真似すると怪我しかねませんが、相手の「気持ち」をつかむ要領は同じです。
 自分の「気持ち」に焦点を当てられると、人は無意識に反応せざるを得なくなるからです。

■point
話し手の「気持ち」に焦点を当てれば相手は自然に話したくなる!
「話し上手」は「聞き上手」


■トーク例
「そんなにドキドキしたんだ」「ビックリだね」「そりゃイヤになるね」「へーはじめてだったの?」「それはヤバいね」「へーっ! そうだったんだ」「そりゃ、笑いが止まらなくて困っただろ?」

話がうまい人は、聞くのがうまいというワケですね。道理で「聴く力」もベストセラーのテーマになるはずです。

【テクニック2】雑談から入るからこそコミュニケーションがスムーズに

「依頼」や「相談」といった目的が明確な会話を「認知的な会話」といい、目的や用件もなく、取りとめのない雑談を、「情緒的な会話」といいます。
 私たちは、いちいち意識してはいませんが、これらの会話を取り混ぜて話しています。
 取りとめのない雑談から入ると、コミュニケーションもスムーズになるからです。

上司「 岡本くん。よく頑張ってるねー、注文がどんどん入ってるじゃん」(雑談)
部下「いやー、ハハ、たまたま、運がよかっただけですよ」(雑談)
上司「運も実力のうちだぜ(雑談)。ところでさ、Q社からの注文はどう?」(用件)
部下「はい、イケルと思いますが、もう少し時間がかかりそうですね」(報告)


「話がうまい」とか「座談の名手」などと評される人は、雑談を随所に取り込んでいます。
 雑談のポイントは、相手の「気持ち」や「感情」をすくい上げるように話すことです。
「最近調子悪くてさー」などと話しかけられた時には、「なんで? どうして?」とすぐにも質問したくなりますが、先を急いではいけません。
 いったん、「そうか、調子悪いんだ」「そういえばつらそうだねえ」などと、間合いをとって応じるだけで、相手は自分の気持ちを受け止められたと感じるものなのです。

■point
雑談が混ざるとコミュニケーションがよくなる!
「情緒的な会話」を意識する。


■トーク例
「最近調子よさそうだね」「頑張ってるねえ」「近頃はどう?」「相変わらず元気そうだね」「顔色いいね」「日に焼けたね」「どう? ジョギングのほう、続けてる?」

昨今ではリモートワークの弊害として「コミュニケーション不足」が叫ばれています。弊社も例外ではありません。

実際に顔を合わす機会がないと「雑談」がなかなか生まれにくい。結果、コミュニケーション、情緒的な交流が減ってしまいます。

東大からはなかなかノーベル賞が生まれないが、なぜ京大にはノーベル賞が歴史的にたくさん生まれてきたのか。その問いの答えとして「京大には喫煙所があって、東大にはないから」という仮説があります(受動喫煙条例施行後の現在はわかりません)。つまり、京大には「喫煙所」という「学際を超えた雑談の場」があった。だから、独創的なアイデアが生まれ、結果ノーベル賞がもらえる研究成果が生まれたのではないかという仮説です。

これって、会社に喫煙所でもアルアルですよね。喫煙所では部署を超えたちょっとした情報交換があったり、ときには喫煙所で決まってしまう社内の事柄があったりすることも少なくありません。そんな喫煙所コミュニティへの参加を目的に、吸いたくもないタバコを吸った……なんて話もリアルに聞いたことがあります。

こんなところに「雑談」の効用が見いだせそうです。

【テクニック3】「ほんのひとことの挨拶や声かけ」が突破口に

. 見知らぬ人との出会いの時、人は相手のタイプを瞬時に判断します。
 見た目、動作、雰囲気などから、相手のイメージを探るのです。
 これは、「ワンクラップ(one clap =一拍)の法則」と呼ばれる動物の本能行動です。
 相手が、どんなタイプの人なのかを瞬時に見極めないと、安心できないからです。
 ゆえに、初対面の相手との「出会い頭」の瞬間は緊張するのです。
 ほんのひとことでも、なにかしら声をかけて挨拶するのは、「危険人物ではありませんよ」というシグナルを送ることになっているのです。
 新幹線や航空機の自分の座席に辿りついた時のことを思い浮かべてみてください。
 ひとこと「失礼!」とか「ドッコラショ」と声をかけて座るだけで先客は安心します。
 場合によっては、先客も「あ、どうも」とか、「や、どうぞ」などと言って、こちらを奥に通してくれたり、ほんの短い挨拶を返してくれたりもするでしょう。
 そこから、「今日は混んでますね」とか「荷物が多くて大変ですね、ご出張ですか?」などといった会話につながったりするのです。
 出会い頭は、「お互いの存在を認識し、タイプを判断し合って安心する」大事な局面です。
 最初のひとことがあるだけで緊張が和らぎ、あとの気詰まりな状況が避けられるのです。「ひとりごと」のつもりで声を出しましょう。

■p o i n t
出会ってすぐが最高のタイミング!
最初に口火を切らないと余計気づまりに。

■トーク例
「おはようございます」「こんにちは」「すいません」「失礼します」「よろしくお願いします」「どうもどうも」「いいですか?」「やっ、ども!」「はじめまして」「よろしくです」「失敬!」

たしかに、面倒見のいい雑談上手な昭和のオヤジは「どっこいしょ!」とか「よっこらしょ」とか、よく言っていた気がします。

場を和ます一種のアイスブレークですね。

【テクニック4】「自分をよく見せたい思い」が「変な人」を演じさせている

 出会ったばかりの人に、どんな話を切り出してよいのかわからない──という人は大勢います。それゆえ、「自分は口下手だ」とか「話し上手じゃない」と思い込んでしまいます。でも、実際は毎日、家族や身内の親しい人とはふつうに話ができています。
 知らない人だと緊張するだけのことなのです。そしてそれは誰でもそうなのです。
 緊張する理由は、「恥ずかしいから」「人見知りだから」「性格だから」と思いがちですが、本当の理由は、自分を「よく見せたい」という自意識過剰から来ています。
 自分を必要以上に「よく見せたい」と思うから緊張するのです。
 もっと自分に自信をもって、あるがままにふるまうことが大切です。
 ほんのひとこと「こんにちは」と挨拶をしたら、続ける言葉は何だって構いません。
 
「今日はいいお天気ですね」
「ここって居心地いいですね」
「ここははじめてですか?」


 相手に「変な人」「馴れ馴れしい」「ぎこちない」と思われようが気にしないことです。素のままの振る舞いが、相手をも安心させるからです。
 押し黙っているほうが、よほど「変な人」に見られてしまいます。

point
自意識過剰の「カッコつけ」は捨てよう!
初対面では相手も同じ気持ち。

■トーク例
「○○ってどうですかね」「今日は風が強くて大変でしたね」「こんな天気はイヤですねー」「なんだか今日は○○になりましたよね」「今日はずいぶん賑やかですねー」

たしかに、自分が「話し下手」「口下手」だった20代ぐらいのころは自意識過剰なのが原因だったかもしれません。思い起こせば、歩きながらオナラをしても、ぜんぜん人の目が気にならなくなったあたりからコミュニケーション能力が格段に上がってきた実感があります笑

【テクニック5】「会話の一歩は自分から」が好印象を創り出す

 誰かから、話しかけられるのを、いつも黙ったまま待ち受けるタイプの人がいます。
 自分から話を振るのが苦手なので、もっぱら人から話しかけられるのを待っている──という「控え目な人」です。
 勝手によくしゃべる人が相手なら、それでよいかもしれませんが、それでも反応が鈍ければ、やがて相手も話すのをやめてどこかに立ち去ってしまいます。
 会話は心のキャッチボールですから、お互いの気持ちが通じ合わないと終息します。
 反応の鈍い、沈黙がちの人は、「控え目」と自認していますが、かえって相手に「不信感」を植えつけます。次のように思い切って一歩を踏み出すことが大切です。

「最近、○○はどうですかね」
「近頃は○○らしいですね」
「こないだ○○を見つけましたよ」


 自分のほうから話題を提供しようとする姿勢は、相手への興味や関心をもっていますよ──というサインです。
 サインがあるからこそ、相手は安心できて、こちらへの好感度も上がるのです。
 話の内容は何でもよく、雑談なのですから、中身はなくてよいのです。
 自分から気軽に声かけする人には、多くの友人ができます。
 沈黙の多い人には、人が寄りつかなくなり、多くのチャンスを失います。

■point
話しかけられるのを待っているとチャンスを逃す!
沈黙は相手を「不安」に誘う。

■トーク例
「今日ね、街で芸能人を見かけましたよ」「雨のほう、午後から上がるって天気予報でしたね」「電車混んでましたね」「今朝ね、駅でムッとしましたよ」「○○をご存知ですか?」

さて、全部で11本ある「話し下手・口下手解消のための基本メソッド11」ですが、ちょっと長くなってきたので、今日はここまで。

残り6本は次回(来週月曜日)に公開します。

では!

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