見出し画像

自分にとって最適な本を選ぶためのカスタマーレビューの正しい読み方

amazonで本を購入するとき、カスタマーレビューを参考にされる方は、かなり多いはずです。私もその一人です。
個人的には、文芸やノンフィクション、漫画なんかを買うときは、その本が面白いかどうかの判断は、★の数やレビューの内容がたいへん参考になります。実際、「外した!」と思うような本は、あまり多くありません。
一方、私はビジネス書を中心とした編集者という職業柄、ビジネス書については「企画の参考になるか」「今はどのような本が売れているのか」というリサーチ目的で購入することがほとんどです。つまり、「その本が自分に役立つか」という視点が抜けていますし、そもそもプライベートでは「ビジネス書よりも他のジャンルを読みたい読者」なので、レビューはあまり参考にしていません。
とどのつまり、一般のビジネス書読者とは、そもそもスタンスが異なっていると感じます(なんか、上から目線っぽくてイヤですね……。でもこれって、ビジネス書編集者として致命的な欠陥だと自覚してるんです。辛い食べ物が苦手なのに、激辛料理店の料理人をさせられているような……)。
しかしながら、自分に合ったビジネス書を選ぶのは、やっぱり難儀なものです。それが本の中身を立ち読みできないオンライン書店であれば、なおさらでしょう。
まあ、お気づきの方も多いと思いますが、ビジネス書はいわゆる「信者買い」されやすいジャンルです。高評価が多いからといって、それを真に受けると痛い目にあいます。事実、レビュー数が多く、評価はメチャクチャ高いのに、リアル書店ではさっぱり売れていない本というのはザラにあります。
あるいは、内容自体は素晴らしいのに、読者が求めているレベル(それが高かろうが、低かろうが)とミスマッチが起きてしまうと、残念ながら低評価される本というのもあります。
では、どうすれば自分にとって「当たり」のビジネス書を選ぶことができるでしょうか。
そのヒントが、他に類を見ないビジネス書の読み方を開陳して話題になっている次の新刊です。

最終章では「ミスマッチを防ぐ! 10倍読書の選書術」として、自分に適したビジネス書を選ぶ方法を、リアル書店とオンライン書店に分けて詳細に記しているのですが、その中の1つが「カスタマーレビューのレビュー内容をチェックする」というステップです。
以下、前掲書から該当部分を抜き出し、本記事用に一部改編して転載します。

 筆者は、カスタマーレビューの種類を大きく分けて次の3つに分類しています。

①感情的レビュー
②自己本位レビュー
③客観的レビュー

①感情的レビュー
 1つ目の「感情的レビュー」とは、なんらかの理由でレビュワーが冷静さを失っており、極めて感情的な文章が綴られているレビューを指します。
 たとえば、次のようなものが典型です。

「この本はゴミ。読むだけ時間の無駄」
「典型的な駄本。100円の価値もない」
「二度とこの著者の本は買いません!」

 このようなレビューは、多くの場合「釣りタイトル」が原因で起こります。タイトルに期待してお金を払ったにもかかわらず、「タイトルと内容が大きく違った」場合に、読者は「騙された」と憤りを感じ、感情的レビューを書いてしまうのです。
 あなたが選ぼうとしているビジネス書に感情的レビューが散見される場合には、先ほどお伝えしたように、「目次をチェックする」「まえがき部分の本書の構成をチェックする」などをして、「本当に自分が求めている内容が書かれているのか?」を確かめてみてください。

②自己本位レビュー
 続いて2つ目は、「自己本位レビュー」です。
「自己本位レビュー」とは、「レビューの読み手側の立場」に立つのではなく、あくまで「自分本位」で書かれているレビューのことを指します。
 たとえば次のようなレビューが典型です。

「目新しい内容は何もなかった」
「すでに知っていることばかり書いてあった」
「内容が薄い」

「目新しい内容は何もなかった」というレビューは、「レビュワー本人にとっては」目新しい内容がなかったという意味であり、ほかの人にも当てはまるかどうかはわかりません。目新しいかどうかは、人それぞれが持っている前提知識で変わります。
 レビューとは、本来「レビューを読む人の書籍選びに役立つ内容」である必要がありますが、残念ながら上記のようなレビューは、「レビューの読み手側の立場」に立っていません。よって、筆者の場合は、ほとんど参考にすることはありません。

③客観的レビュー
 筆者が最も参考にするのは、「客観的レビュー」です。
 客観的レビューとは、書籍の内容に基づいて「こう役立てられそうだ」など、レビューの読み手側のメリット・デメリットを伝えてくれているレビューです。
 たとえば、次のようなレビューコメントです。

「現場の生々しいリアルが書かれているので、実務の参考になる」
「理論が体系的にまとめられているので、行動の指針になる」
「具体的な事例が書かれていないので、イメージしづらい」

 このように、「書籍の内容」という「客観的事実」を評価しながら、「こう役立てられそうだ」というアウトプットに言及されているレビューは大変ありがたく、大いに参考になります。

 これらのように、カスタマーレビューの中身は玉石混交です。
 よって、ぜひ「感情的レビュー」「自己本位レビュー」「客観的レビュー」の分類を参考にしながら、自分なりの「レビューコメントリテラシー」を高めて、より良いビジネス書選びにつなげてください。

よく、以下のようなカスタマーレビューを散見します。

「非常にきれいな状態でした。ありがとうございました」★★★★★
「表紙が折れ曲がっていて残念でした」★
「本はまだ届いていませんが楽しみです。期待を込めて」★★★★★
「他の本と間違えて買ってしまった」★

これはネタで書いていのでしょうか? あるいは本気(マジ)で書いているんでしょうか? 曲がりなりにも「集合知」としての評価を示す星の平均数に、本の内容とかけ離れた余計な影響を与えるので、一読者としてはやめてほしいものです。

それはさておき、本書のカスタマーレビューも御覧いただいたらうれしいです。

(編集部 石黒)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?