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「影響力」はあらゆる場面における武器となる

こんにちは。フォレスト出版編集部の寺崎です。

新学期、入学、入社の春ということで、「雑談」の重要性を説き、その基本メソッドをnoteで公開しました。

今日はそこから一歩踏み込んで、「影響力を与える人物になるための会話力」を『あなたの「影響力」が武器となる101の心理テクニック』(神岡真司・著)から抜粋してご紹介します。

「影響力」は人生における武器になる

 あなたは、誰に対して、どんな影響力をお持ちか──を考えたことはおありでしょうか。
 おそらく他人からの「影響力」について意識することはあっても、自分自身の他に及ぼす「影響力」については、これまで無頓着(むとんちゃく)だったことと思います。
「影響力」は交渉の現場で力を発揮するだけでなく、日常の暮らしの中における、さまざまな人への作用によって、あなた自身にも大きな見返りをもたらすものです。
 本書で培っていただく「影響力」の上手な行使によって、大きな効果が期待できるのは次のような諸点になるでしょう。

◆自分の正直な気持ちを他人に上手に伝えられるようになる
◆自分の心と体を、他人からの理不尽な攻撃から守れるようになる
◆人間関係の対立から縁遠くなる
◆合理的な判断によって、周囲からの協力が得やすくなり、仕事の効率が上がる
◆人格が向上し、周囲から頼られ、認められる存在になる
◆男女間の感情の擦れ違いを防げる
◆邪悪な人物からコントロールされることなく、自立的な行動ができるようになる
◆「お金」「人望」「社会的評価」がついてくる人になる


 では、どうやって「影響力」を身につけるのがよいのでしょうか。
 本書に紹介した数多くの事例を見ていただくことが、最も手っ取り早い方法です。
 特に有効なのは、個々の事例を自分の職場や家庭、あるいはさまざまな生活シーンの中に逐一当てはめてイメージしていただくことでしょう。
「なるほど、これはうちの職場で実際によくあるシーンだぞ」ととらえた時、登場人物を自分のよく知る人に置き換えてイメージすれば、くっきり鮮明な記憶として残る効果があるからです。
 どこから読んでいただいても構いませんが、本書に登場する設定を、実際の現場でのシミュレーションとすることが、「影響力の達人」になるうえでの近道なのです。
 さあ、ご一緒に「影響力」の武器を身につけましょう。

「影響力」というと、声がデカい人の意見が通るイメージがありますが、かならずしもそうではなく、やはりそこには技法があるわけです。

「誰かを説得しなければならない」
「交渉を有利に運んで勝ち取らないといけない」

ビジネスを進めていく上で、こんなシーンに直面することが多いですが、丸腰で及んでは「説得失敗」「交渉決裂」となってしまいます。

まず、この「説得」「交渉」を有利に運ぶための具体的なテクニックをみていきましょう。

【テクニック1】相手の決心を覆させる「今やめると、○○になりますよ!」

 今まで、いろいろ頑張ってきたけれど……、「もうダメだ、あきらめよう!」と思う瞬間は誰にでも訪れます。

「こんな会社、もう辞めさせていただきます!」
「あなたとはもう別れるわ! そう決めたの!」
「御社の値引き要求には、もう付き合えません。今後の取引はお断りさせていただきます」


こんな言葉を突きつけられたら誰だって慌てるでしょう。まさかの事態だからです。

あなた「いや、ちょ、ちょっと待ってよ。あの……冷静に考えてから、ね……(汗)」
相 手「いえ、結構です。もう決心しましたから。今までお世話になりました!」

 たいていこういう形で終わります。それは相手の中で、すでに考え抜かれた結論だったからです。つまり、相手は単にこの瞬間を待っていただけだったのです。
 相手の決意は固いわけですが、この場合の打開策は、「新しい認知」の注入が有効です。
 その決断がどれだけマイナスで、決断を撤回すればどれだけプラスかを、相手の従来の思考ベースとはまったく異なる、別の角度からの新しいイメージで喚起させるのです。

「えっ? きみは、まもなく昇進するというのに。それでも今会社を辞めちゃうのかい?」
「別れるの? 仕方がない。ぼくは、きみも知ってる○○さんと付き合うことにするよ」
「取引中止? わかりました。じゃ、うちにある御社の在庫を全部引き上げてください」


 人は目先の利益獲得の欲求に弱く、目先の損失確定はできるだけ先延ばししたい──という衝動が働きます(プロスペクト理論)。「今やめるとこんなに損する。しかし、続けるときっとよいことが訪れる」という甘いささやきに弱く、ますます泥沼にはまるわけです。

なるほど。新しい認知の注入・・・と。さらには心理学におけるプロスペクト理論を駆使して追いつめる・・・。テクニシャンですね。

【テクニック2】議論で負けそうな時に主導権を握り返す「その経験は?」「その根拠は?」

 議論で形勢が不利になった時、主導権を取り戻して相手に切り込んでいく際にとても便利なセリフがあるので覚えておきましょう。
 相手の「経験値」を尋ね、「根拠」を質(ただ)すという、たったそれだけのことで相手の機先を制することができるのです。

父親「せっかく入った会社を辞めて起業するって? 失敗するに決まってるだろ!」
息子「父さんは、起業して失敗した経験は?」
父親「あるわけないだろ。父さんはお前のためを思っていってるんだぞ!」
息子「必ず失敗するっていう根拠は?」
父親「う……そ、そんなもん、ないけど、大体みんな失敗してる……そういうもんだ……(汗)」

※      ※      ※

役員A「うちも正社員を減らし、派遣社員や契約社員の導入で人件費を下げるべきですよ」
役員B「しかし、それでは従業員のモチベーションが確実に下がりますよ」
役員A「そんなことはないでしょう。世間じゃもう、雇用者の38%が非正規雇用です」
役員B「実際、モラル低下の問題も起こっていますよね。飲食店のバイトテロとか」
役員A「だけどね、われわれ葬祭業界の今後は、もはや家族的経営では生き残れないよ」
役員B「クレームがふえて、ネットに悪評が拡散したら、どうします?」
役員A「それは、従業員教育の問題であって、コスト削減の問題と関係ないでしょう」
役員B「Aさんは、従業員教育のご経験は?」
役員A「ないですよ。だけど、それは管掌が違うから当たり前でしょう」
役員B「じゃあ、従業員教育でモラル低下は防げる、というAさんの根拠はなんですか?」
役員A「や……、こ、根拠っていわれても、それは……あの……いちがいには……(汗)」

 議論の対象を、卑近な個人の経験値の問題にすり替え、具体的な根拠を求める形にして矮小化(わいしょうか)を図ると、肝心の問題点がはぐらかされるわけです。

このテクニックは本人に経験がないのに一般論を振りかざす評論家タイプを論破するのに使えそうですね。

【テクニック3】「説得する側」から「説得される側」に回る① 「やっぱやめよう!」

「説得する側」と「説得される側」の立場では、「説得される側」が強いものです。
 交渉でイエスの返事をもらいたい「説得する側」に対して、「説得される側」は、イエス・ノーのいずれのカードも切れるからです。人を説得する際、いつも「説得する側」に立つことしか頭にないと、相手から値踏みされ説得率が低下します。説得率を高めたければ、いつでも柔軟に「説得される側」に回れる、「余裕ある態度」の見せ方が大事なのです。

男性「きみって可愛いね。ね、メールアドレス教えてよ。で、今度一緒に渋谷に行こう」
女性「え? あなたって、はじめて会ったばかりで、もうデートに誘うの?」
男性「そんなのふつうじゃん。ね、今度の土曜日はどう? いい店案内するから」
女性「でも、今日はね……、とりあえずアドレスだけ。はい、これ!」
男性「サンキュー。きみ、もったいつけるタイプだな。嫌われてない? 友達からとか」
女性「なによ。どういう意味? アタシ友達多いほうだし、付き合い長い子ばかりよ」
男性「そっかー、無駄に可愛いってタイプなんだな、きみは。それじゃ、もったいないね」
女性「は? 無駄に? どゆこと? アタシのことバカにしてるの?」
男性「バカにはしてないけど、リスペクトまでは、もうちょっとコミュ力が足りない感じ」
女性「はあー?」
男性「きみ、渋谷に連れてってとか、素直に男にいったことないんじゃない? いえる?」
女性「それぐらい、いえるでしょ、連れてってぐらいは……」
男性「うーん、やっぱやめようかな。きみを渋谷に連れて行くのは……。違うみたいだし」
女性「えっ? 何が?」
男性「ウソウソ、冗談だよ、もちろん絶対連れて行ってあげるから、楽しみにしててね!」
女性「う、うん…………(汗)」

「ほめて・けなして・ほめて」で感情を揺さぶられると、人は相手への依存心を強めます。嫌われる寸前の「余裕ある態度」で動揺を誘い、「説得される側」に回る糸口を作ります。

「ほめて・けなして・ほめて」で、嫌われる寸前の「余裕ある態度」で動揺を誘い、「説得される側」に回る・・・と言葉ではカンタンですが、ちょっとこれは危険なテクニックな気がします笑

本気で嫌われてしまう諸刃の剣的な技法なので、使用の際には十分ご注意ください。

【テクニック4】「説得する側」から「説得される側」に回る② 「どうしようかな」

 前項で見た通り、「説得する側」は「説得される側」に対して、食いついてはいけません。「説得する側」の弱みを見せると、「説得される側」を強気にさせるからです。
「ほめて・けなして・ほめて」で、こちらの真意がわからないよう相手を翻弄(ほんろう)し、「余裕ある態度」で「連れて行ってやろうか?」ぐらいの優越的な立場獲得を目指すべきなのです。
 こうすることで対等の関係を形作れ、かえって誘導しやすくなるからです。

お客「このマネキンのコーディネイトいいね。服とパンツとベルトに帽子も合ってるし」
店員「ありがとうございます。これ、私がコーディネイトさせていただきました」
お客「へーさすが、センスいいねえ。あれ? でもちょっと値段が高いなあ……」
店員「ええっと、お客様のご予算はいかほどで?」
お客「これの合計金額の半分ぐらいかな。ねえ、思い切って半額にしてよ!」
店員「お客様。これは本日入荷した新作ですから、それは無理ですよ」
お客「でも、お店全体では、今日から半額セールやってるじゃん!」
店員「あの、それは旧作に限りますから。お客様は、ポイントカードをお持ちですか?」
お客「もちろん、持ってますよ」
店員「では、どうでしょう。こちらのセット全品で、10ポイントお付けしますよ」
お客「えーっ? たったの10ポイント? せめて30ポイントは付けてくれないとね」
店員「うーん、それは厳しい。あの……じゃ、15ポイントお付けするのではどうですか?」
お客「えー? 15ポイント? どうしようかな……。でも、いまいち心に響かないしな…」
店員「お客様。じゃ、特別に20ポイントでどうです? ね、それでお願いしますよ、ね?」
お客「ほう、20ポイント! じゃ、せっかくだから買ってあげましょう!」
店員「お客様、ありがとうございます」

 値引きを「説得する側」のお客が、食いつきのよくない「余裕ある態度」だったため、「説得される側」の店員のほうが食いついてしまい、攻守が逆転してしまった事例です。

値下げ交渉・・・これ、苦手なんですよね。海外旅行に行ったりすると、観光客向けの吹っ掛けた値段で堂々と売ってきますが、値下げ交渉がめんどくさいので、たいていは言い値でオッケーしてしまうヘタレです。

もう一度この本を読んで「影響力」を行使したいところです。

【テクニック5】一番売りたい商品を売れるようにする「これがいいかも!」

 不動産屋は、お客から希望の条件を聞き、物件を紹介する際に、初回には2つか3つしか推奨物件を見せてくれません。現地案内に赴く場合でもせいぜい2つか3つです。
 最初に見劣りする物件や、見栄えはよくても高額の物件を見せ、一番最後にイチオシの最も希望に適った物件を見せて契約に持ち込むのが、常道パターンになっているのです
 デパートでネクタイや宝石を選ぶ場合でも同じでしょう。お客がアレコレ迷わないように、ショーケースの上に取り出して見せてくれるのは、せいぜい2つか3つなのです。
 これらは昔から、経験則から導き出された接客販売でのお約束になっているようです。
 目の前に選択肢が沢山あると、人は迷って選べなくなる──という実験結果があります。
 NHK白熱教室でも紹介されたコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が、スーパーのジャムの試食コーナーに6種類と24種類のジャムを並べた際、6種類の時には売り上げが24種類の時よりも、6倍あった──というのがありました。
 お客に商品を選択させる場合、2つか3つに絞るのは、比較が容易になるからです。
 寿司屋で、松・竹・梅のコースがあれば、真ん中の竹が一番多く注文が入ります。人は中庸を好むからです。価格面で真ん中なら内容も無難と考え、竹を選びます。
 売りたい商品には、その商品の上下にも比較できる価格帯を設けるとよいわけです。
 また、人が商品の価値を推し測る際には、価格が高いものほど希少性が高い──という理由づけを無意識にしていることも知られています。
 ある宝石店で主人が店を留守にする際、従業員に売れ残り商品に安い値札を付けるよう指示したのに、従業員が間違えて高い値札を付けてしまったところ、実は売れずに困っていた商品が、観光客に根こそぎ売れてしまった──という事例もあるほどです。
 商品が他と比べて安く、「オトク」だと感じれば人は商品を買いたくなりますが、高くても、そこに希少価値がある──と錯覚した場合にも、人は商品を買ってしまうのです。

なるほどですね。

本書『あなたの「影響力」が武器となる101の心理テクニック』(神岡真司・著)ではこうした即効テクニックが101本収録されています。

今日はそのうちの5本をご紹介しました。また別の機会にほかのテクニックもnote記事にてお伝えしたいと思います。

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