『PERFECT DAYS』監督ヴィム・ヴェンダース/脚本 ヴィム・ヴェンダース 高崎卓馬/製作 柳井康治/総指揮 役所広司/出演者 役所広司 柄本時生 中野有紗 田中泯 三浦友和/撮影フランツ・ルスティグ/編集トニ・フロッシュハマ/配給 日本/2023年12月22日/上映時間 124分/製作国 日本 ドイツ/言語 日本語
『木漏れ日』は絵本、「翻訳できない世界のことば」の中で知った日本語独特な単語と記憶していた。しかしながら、映画「パーフェクトディズ」の最後にスーパーインポーズが流れたのが木漏れ日だった。
はて?は、それから…です。撮影したのは「フランツ・ルスティグ」ドイツ人です。同じドイツ人の監督「ヴィム・ヴェンダース」のお話(英語訳)をyoutubeで聞いてキーワードがいくつか並べられ「タクマ」から高崎氏に行きつき日本人の説明により納得!
ちなみに木漏れ日の英語訳を検索すると以下です。ヴィム・ヴェンダース監督・撮影フランツ・ルスティグには白黒ハッキリしない曖昧模糊とした日本人の感情をが理解できたのだろうか?
「森林などの木立ちから太陽の日差しが漏れる光景のこと。
英語で説明するとしたら「Sunlight that filters through the leaves of trees.」
繊細すぎて外国の方には伝わりません。」
PERFECTDAYSは日が経つにつれて大変話題になり検索で以下の事柄を知って謎が解けた。
『役所広司が演ずる主人公の平山が夢で見るモノクロ映像はドナータ・ヴェンダースによるもの
ドナータ・ヴェンダースはヴィム・ヴェンダースの5番目の妻で写真家
Perfet Daysの日本公開に合わせて彼女の展覧会《KOMOREBI DREAMS》が都内で開催されていた
2人は日本で「木漏れ日」という言葉と概念を知ったそうだ』
我が家の話。突然のイスラエル戦争によりアルメニア人の4〜5ヶ国話せる方と同居をした。(2ヶ月) 先の戦争の世代の方の気持ちも彼女の気持ちも随分と思い測った。大変疲れ切った。
「朝、目覚めると、戦争が始まっていました」方丈社
「高崎卓馬」said
初めから向かう方向が決まっていたわけではなくて、雪だるまみたいに。
最初は柳井さんと転がし始めて、そこに役所さんやヴェンダース監督が入ってきて大きくなって、さらに定井さんが加わって、カンヌで評価されて雪だるまが一回り大きくなって。
もう雪がないかなと思っていたらあっちの方にまだ雪があるよという人がいてそちらに転がしていって、今もまだ転がしている最中なんです。
そして押して転がしているのはみんな仲間。
人間はなんのために生まれたのか、みたいな答えの出なさそうなことを、考え続けるきっかけをたくさんくれるものかもしれないし、自分がいる世界以外のことを断片的でも知って、想像力を強くするためのものかもしれないです。
想像力って優しさのはじまりだと思うので、やっぱり映画や小説やそういう創作物にはそういう力があるような気がします。」
観る方によって思い入れの大きい部分で共感する。経験や記憶、また本や映画により想像力は広がっていく。
私の"木漏れ日経験談"は大学の平面構成の時間、木漏れ日のような光をポスカラで彩色したかった。失敗して先生に皆の前で叱られた。
先生はその日、機嫌が悪かったのだろう…などと想像した。
また、実生の木(モミジ)を愛おしむ思い入れは主人公とまったく同じ感情です。以前住んでいた家の庭の実生モミジ(10㎝)は10年経って木になった。my箱庭にはいくつも実生の木がある。
実生(misyo)の響きには"過去と未来"がある。
プロペラになっているモミジの種が風に乗って着地して芽を出す。
すくすく成長して葉を付けて影を作る。一時も同じシーンではない。
だから、幸田文の「木」もすでに前に読んでいた。
どこにでも切り口はある。
幸田露伴の娘の文さん、その娘が玉さんの本は確かに描く画像が想像できる。美しい。
役所広司は『宮本武蔵』(NHK総合テレビの「新大型時代劇」で1984年4月4日から1985年3月13日まで放映されたテレビドラマ。新大型時代劇の第1作。主演は役所広司。)から実に40年。
吉川英治の好んだ絣の着物で装丁された宮本武蔵全集を小学生の時生意気に意味も理解できずに読んだ。
三浦友和や石川さゆりの歌にギターをひくあがた森魚。当然記憶にはない顔で出演、キャストが流れて知った。
昭和の巨匠は駆け足でいなくなる。亡霊のように日本人の意識だけが遺っていく。
昨今の日本の生のニュース。もしかしてヴィム・ヴェンダース監督の思い描かれている日本人の禅の心は抽象化されてしまった…のではないだろうか?と危惧する気持ちになった。
主人公は現在トイレの清掃員ではありますが、ずっとコレを職業にしてきたわけではない。にわかにわかる。
訳あって、そうなって日々満たされていると納得してはいても運転手と共にレクサスに乗った妹が、好きだった鎌倉の和菓子を置いて立ち去ると一瞬、深い嗚咽。
捨てたものと得たものへの後悔か満足か?
何方も年数を経るとともに後悔と満足との振れ幅の間に抜けないササクレがいっぱいある。
役所広司。vivant, ante /vivɑ̃, ɑ̃ːt ヴィヴァン、ヴィヴァーント/
[形]生きている、命のある。
vivantの役について、せりふが長く苦労した(談)
perfectdaysは表情で語った。
ヴィム・ヴェンダース監督。78歳だそうです。
私の後悔は語学をもっと深く学ぶべきだった。ヘッダー画像の本の著者はごく若いフランス人。
追:
カメラ店の店主(台詞のない役)は翻訳者で東大名誉教授、柴田元幸氏だとわかりました。
わたしの疑問は解けました。パッチワークされた映画全体に流れている言語の不思議はこの方のバックグラウンドがあった。
#映画感想
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