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映画『土を喰らう十二ヵ月』(2022/11)に出演した奈良岡朋子の訃報に習う。メッセージの全文

 土井善晴が手掛ける季節の料理にも注目。

2013年12月4日に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録される。
ちょうど10年

沢田研二主演『土を喰らう十二ヵ月』
中江裕司 監督/脚本    

水上勉 原案

 水上勉が、1978年に雑誌ミセスに連載した料理エッセイ。

少年時代に京都の禅寺で精進料理を学んだ水上は、自ら収穫した野菜や山菜を駆使して料理を作る

実は福井県生まれ「口減らし」のため禅寺に入った。辛くて脱走…と聞いた。その時の体験談。

食す歓びや料理にまつわる思い出など味わい深い文。


 すぐに映画を観に行きました。
沢田研二の創る料理は芸術品のようです。
身体全体ですりこぎを使う後姿は土井善晴そのまま…役者です。


 土井善晴・沢田研二・松たか子、さらに「水上勉」の人間像が浮かんで信州の暮らしから多岐にわたる学び多い映画です。

各分野の個性ある方々が相手を引き立てる…
時々ジュリーが鼻歌を歌う。若い日と違う…しみじみと上手い。

最後のキャストに奈良岡朋子・火野正平・檀ふみと観て「奈良岡朋子」の役がすぐにわかりました。

台詞はなく、沢田研二と対等、それ以上の存在感と迫力。
で、お元気な事を知ったばかりでした(義母役)

彼女の最期のメッセージに"天寿を全うして死ぬ"のも悪くは無いと気持ち空っぽになる。

全文です。

『新たな旅が始まりました。旅好きの私のことです、未知の世界への旅立ちは何やら心が弾みます。

杉村先生とももう一度同じ舞台を踏みたかった。どんな役でもいいからご一緒したい。ワクワクします。

両親に挨拶するのは二、三本舞台をやって少し落ち着いてからにします。

それからは裕ちゃんや和枝さんと思いっきり遊びます。

これが別れではないですよ。いつかはまたお会いできますからね。

それでは一足お先に失礼します。皆さまはどうぞごゆっくり…

奈良岡朋子』

     宇野さん:宇野重吉、
    デコ:奈良岡さんの      愛称、
  杉村先生:文学座の杉村春子さん、
  裕ちゃん:石原裕次郎さん、
  和枝さん:美空ひばりさん

彼女のプロフィールを見て驚いた。同じ大学の大先輩!畏れ多くも…
思い出すと個を大切にした愉快な大学でした。

何やら"同じ匂いがする"のはただの気のせいではなかったと亡くなって新た知る。

白洲次郎の遺言書

一、葬式無用

一、戒名不用

二行の人となりに合致した潔い遺言書と感動がありました。

鶴川の武相荘まで竹林にある白洲次郎・正子さんの並ぶ墓石を見に行った事があります。

奈良岡朋子氏に於いては、人の出口は皆一緒。

空を見上げたくなる爽やかさ…

あゝわたしも今日の生きることに専念して逝きましょう…と。

#映画 #土を喰らう十二ヶ月
#奈良岡朋子

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