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シリーズ「自伐型林業」その1     フォレストバンクが自伐型林業に取り組む意義

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私たちは徳島県那賀町木頭地区を中心に社有林約2200ヘクタールの森林を管理しています。

鮮やかな赤みが特徴の優良なスギ材が生産され、古くより木頭林業地帯として木材生産の一大産地として繁栄しました。

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黄色の印あたりが木頭地区。高知県の県境がすぐそこで、森林鉄道などで栄えた魚梁瀬(やなせ)林業地帯と近い距離にあります。

陸路での木材流通が発展する以前は那賀川に丸太を流して川下へ運んでいた歴史もあります。流した丸太は川縁や岩などに引っかかるため職人が丸太の上に乗って川を下り、引っかかった丸太を再び流れに乗せる作業を行っていたらしいです。

現在は木頭杉一本乗り大会などのイベントも開催されています。

木頭林業地帯だけでは無く日本各地で言える事かもしれませんが、外国産材の流通、コンクリート製や石油製品など木材代替品の普及によって見る見る国内の木材産業は衰退していきました。

木材の価格は下落し、賑わいのあった山林部からは人がいなくなっていきました。

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急峻な山林地形 尾根の先は高知県

さて、時代背景や基本情報はこのくらいにして本題の「自伐型林業に取り組む意義」についてお話したいと思います。

今、現状フォレストバンクでは架線集材システムを使用した主伐や高性能林業機械(スイングヤーダ)を使用した搬出間伐など行っています。他には切り捨て間伐や伐採地の植林、下刈り作業なども行っています。

いわゆる高性能林業機械3点セット(スイングヤーダ、プロセッサ、フォワーダ)を駆使した「現代型林業」。担い手が不足している現代の林業界ではこれらの機械を使用した木材生産が一般的であり、私たちもこれらの機械を使用しながら木材生産しております。

山林に与える負荷を極力抑えた木材生産を心がけていますが、ただでさえ傾斜30度を超える急峻な山林地形が多い木頭地区。その中で高性能林業機械が走行できる作業道を開設するとなるとどうしても幅員は広く、法面切り高は高くなり、山を崩すリスクは上がります。

山林環境の事を考えれば幅員2,5m未満の高密路網を展開して行き、長伐期多間伐の山林づくりがベストかもしれませんが、1,740haの広大な森林面積すべてを自伐型で進めて行くのは現実的に難しいです。

かといって、現代型の林業(3点セット)を続けていく事が本当にこの先正解なのか?についても疑問を持たないといけないと考えております。

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徳島県那賀町木頭 千本山

約40年前に大橋慶三郎氏に指導頂きながら先代が付けた高密路網です。
石組み、丸太組みを駆使しながら2t車がぎりぎり通れる幅の道が続いてます。
少しの落石などはあるものの、今でも何ら問題なく走行できる道が残っています。

「壊れない道」の重要性を体感します。

木材生産にあたって何が正解か。

これは時代によっても変わるだろうし、山林の状態や場所によっても変わって来ると思います。

その中で何が正解かを模索しながら、先代から受け継いできた山林を次の世代に良い状態で渡せるよう。

そして、

フォレストバンクの自伐型山林 徳島県美波町
橋本忠久氏を講師に森林作業道講習会が開催された。

木材を生産する「モノ」としての価値だけでは無く、森林環境そのものの価値を創出できるよう私たちは自伐型林業に取り組んでいます。

皆様に山に来て頂いて、感動や学びを得れるようプログラム等準備していますので、お楽しみにお待ち下さいませ。


シリーズ「自伐型林業」、2カ月に1回のペースで掲載予定です。

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