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9月の山、昔の話

9月は実家で用事があり、その後両親を連れて山に行きました。両親が山に行くのは10年以上前の林道工事の際の立ち合いの時以来。もともとインドア派なのであまり山とか自然にはそれほど興味はないのですが、山をどうするかという点では関心を持っています。
林道工事の際に仲介してくださった林業会社の人から、林道もできたことで運び出せるようになったということと、もう伐りだせるまで成長していること、補助金が下りるということで、何か所かを伐りだしたということです。林道開設間際の10年以上前の話です。
山頂付近にあった伐りだした跡はおそらくそのころに伐りだした部分だと思われます。また林道下の作業道もおそらく将来伐りだしやすくするためと、補助金が下りるということでそのころに敷設したのではないかと思われます。
どういう経緯だったのかはわかりませんが、伐りだした跡地を見る限り伐って運びやすいところだけ伐採したようです。おそらく経費の関係もあって採算が取れる範囲ということでそうなったのではないかと思われます。
とにかく両親は山に入るほどの関心はないし、体力的にも難しいので、車で見に行って、林道でお弁当を食べて、山を後にしました。
ここで、昔の話をすると、私が小学校低学年か幼稚園の頃、まだ祖父が健在で、その頃はどういう関係かよくわかりませんが、山の世話をしてくれている人がいました。
その方の案内で私もおそらく2~3回くらいは山に登っています。ただその当時は林道もないので、ふもとの集落(7月に家族で行った際の2日目に私が作業道の探検で目指した集落)に車を止めて、他の人の山を越えて、うちの山に登ったのです。
断片的に私も記憶があります。その方の話では、山の境界には種類の違う木を植えるとか、木の植え方(配列など)が違うので、それが境界の目印だという話をされていました。
今地図を見ながら思い出してみると、その当時は南側敷地の南端にある鉄塔を見に行くというのがコースになっていたようで、今林道で行ける北側敷地には入っていなかったと思われます。
一山超えて沢を渡ってうちの敷地に入るあたりだと思うのですが、その方がこの下流に滝があると仰っていたのを覚えています。あと、鉄塔があるから電力会社の人が定期的に見回りをしているから、鉄塔のある山はありがたいという話をしていました。
なぜそんな話になるかというと、その昔、鉄塔を作るころ、おそらく昭和30年代か40年代はまだ木の値段も高く林業も盛んだったようで、山に得体のしれない鉄塔を作るなんて山の価値がさがると考えられていたそうです。
それが昭和50年代になると外材の導入や木の需要が減って木の値段が下がり、林業も衰退していったのです。それで山に入ることが少なくなってしまい、人が入らないと自然に帰っていくので道もなくなるし、山が荒れてくるのです。境界なども分からなくなっていきます。
私が小さいころ山に登ったのは昭和50年代ですから、山を案内してくださる方が、「今となっては鉄塔があるほうが山の価値が高い」と仰っていたのにはそういった経緯があったのです。
あと覚えているのは、ところどころ草が生えていて山の人でも道が分からないようなところがあって、その方が鎌で草を刈りながら登ったこと、いつも山に入ってすぐ、適当な長さの枝で杖を作ってくれたこと、その方が自分で車の通れる道を作って木を伐りだしているという話をしていたこと、敷地を林道が通る計画ができたから将来は車で敷地に行けるようになるぞという話をしていたことくらいです。
その話に出てきた林道が今私が山に行くときに通っている林道です。7月に泊まった民宿の方の話では、その林道工事は昭和47年に始まったそうです。いくつか支線のようなものがあるので、何とも言えませんが、うちの敷地まで来たのが10年以上前ですから、かれこれ40年かかった計算になります。
確かに昔、山の人が仰っていた未来が現実のものになりました。
そんな昔のことを振り返ってみたのと、私もそろそろいい歳になってきたので、何とかしてこの山をいい形で次世代につないでいきたいと思うようになりました。
本で読んだ知識しかないのですが、皆伐をして植林するには結局お金がかかってしまいその負担は難しいので、今のところは、間伐を行ってさらに成長させる木と、自然に生えてくる木で針広混合林にするのが、自然環境維持のためにも良さそうかなと思っています。
これなら遠い将来、成長した木を活用することもできそうですし、仮に活用しなくても自然の山に戻るんじゃないかということ、さらに自然災害にも強い山になるんじゃないかと考えられます。
将来はどんな世の中になるのかわからないので、複数の選択ができるようにしておくのが良いのではないかと思っています。

左側が林道工事の際の残土捨て場。10年以上経つのに木が生えない。

2023年9月

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