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台風のルートを突き止めろ!【第59回-専門-問10 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の専門知識を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。


問題

問10 表のA~D地点の地上気象観測データは、ある台風が八重山・宮古島地方を北上して通過した日の与那国島、西表島、石垣島、宮古島のいずれかの地点(図中の●印)の海面気圧と風の観測データである。この観測データから台風の移動経路を考察し、下図の台風経路①〜⑤の中から最も適切なものを1つ選べ。なお、図中の×印は06時、▲印は18時の台風の位置を示す。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

(1)観測地点A〜Dがどの島にあるのか特定しなくてよい

A~D地点の4か所の観測データが示されていますが、
それがどの島のデータなのか、
問題文では明らかにされていません。

では、観測地点A~Dがどの島にあるのか、
特定してから考えた方がいいのでしょうか。

いえいえ。台風が移動した経路が明らかになっていないので、
観測地点A〜Dがどの島にあるのかを特定するのは難しそうです。

したがって、観測地点と島の対応を特定せずに、解いてみましょう。

(2)観測データから、2点気づく

そこで、どの島の観測データなのかわからない状態で、観測表に注目します。
私は、2点気づきました。

(ア)A地点では、11時~12時頃に【海面気圧】が大きく下がり、
  【風速】が急に弱まりました。

  =A地点のすぐそばを、台風が通過したのではないかと予想

(イ)時間の経過にしたがって【風向】が、B地点では時計回り、
  その他では反時計回りに変化しました。

  =B地点は台風経路の東側、A・C・D地点は経路の西側にあるのではないかと予想

(イ)を踏まえると、経路の西側に観測地点3つ、東側に地点1つなので、
解答は③か④に絞れます。

さらに(ア)を踏まえると、
島のすぐそばを台風が通過していることから、③となります。

観測地点と島の対応を特定してから解きたくなりますが、それは難しいことです。
難しいことはせず、観測データから気になる特徴を見つけて、
論理的に考えれば、正解にたどり着きます。


まとめ

以上の検討を踏まえると、解答は③です。

いかがでしたか?

観測表には、【海面気圧、風向、風速の3観測要素】が掲載されていますが、
出題者が、わざわざ印刷インク代を使ってまで掲載するからには、
3項目それぞれに、問題を解くヒントが隠されています。

出題者は、問題に関係ない観測要素を掲載しません。
問題文・観測表を丁寧に読み取りましょう!

出典など

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。