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予測計算結果をわかりやすく!プロダクト【第59回-専門-問6 気象予報士試験の解説】
第59回気象予報士試験の専門知識を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。
問題
問6 気象庁が作成している数値予報プロダクトの利用に関して述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
(a) 数値予報プロダクトの格子点値は、格子の中心に対応する地点の値をピンポイントで表している。
(b) メソモデルの予測結果は、予測領域の境界を通じて全球モデルの予測結果の影響を受けるが、その影響は予報時間が長くなるほど小さくなっていく。
(c) アンサンブル予報におけるすべてのメンバーの予報を平均した予報結果では、各予報要素間の物理的な整合性は保障されていない。
(a)格子点値とは → 誤
(a) 数値予報プロダクトの格子点値は、格子の中心に対応する地点の値をピンポイントで表している。
格子点値とは、その地点ピンポイントなのか、
それとも地点付近の平均値なのかは本当によく問われます。
第47回-専門-問5でも、同じ点が問われています。
数値予報では、コンピューター上に地球を再現するために、
地球全体を、碁盤の目のように格子で切り分けています。
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その格子点の値とは、
格子点ピンポイントの値を表したものでなく、
その格子点付近の空間の、平均値・代表値です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/121500217/picture_pc_32abb6d3d73923c95e366eca7f58547b.png?width=800)
(b)全球モデルの影響 → 誤
メソモデルの予測結果は、予測領域の境界を通じて全球モデルの予測結果の影響を受けるが、その影響は予報時間が長くなるほど小さくなっていく。
初見だと難しいかもしれませんが、
過去問演習を重ねた人であれば余裕でしょう。
第49回-専門-問5に、ほぼ同じ文面で問われています。
全球モデルが、地球全体を対象に低頻度で稼働している一方で、
メソモデルは、日本付近に対象を絞り、高頻度で計算します。
したがって、大陸の奥地など、
メソモデルの計算領域の外から吹いてくる風などは、
全球モデルの計算結果に頼るしかありません。
メソモデルの予測では、
はじめは初期値に含まれる誤差が目立ちます。
しかしその後、未来を予測するほど(予報時間が長くなるほど)、
全球モデルの予測精度が下がってくるので、
メソモデルも予測誤差がしだいに目立ってきます。
したがって、予報時間が長くなるほど、
全球モデルの誤差の影響をより大きく受けるようになります。
(c)アンサンブル予報の平均 → 正
(c) アンサンブル予報におけるすべてのメンバーの予報を平均した予報結果では、各予報要素間の物理的な整合性は保障されていない。
問題文のとおりです。
少し難しいかもしれません。
ただ、アンサンブル予報の平均は、
さまざまなメンバーの平均をとったものに過ぎないことを考えると、
予報要素(天気、最高気温、雨量など)の間で、物理的な整合性を
わざわざ確保しているなんて思えないでしょう。
まとめ
以上の検討を踏まえると、解答は④です。
いかがでしたか?
正直、(c)は、気象予報士の私でもだいぶ怪しいです(笑)
アンサンブル予報の平均は、
いくつかのメンバーをただ平均しただけであって、
それ以上の意味はありません。
したがって、その平均が最も的中しやすいとは限りませんし、
天気と雨量などの予報要素の間で、整合性を検証しているわけでもありません。
一方で、(a)と(b)は、
この分野で何度も問われており、絶対正解しましょう!
お手元に、過去問集をお持ちであれば、確かめてみてください!
ほとんど同じ文面なので、びっくりですよ( ゚д゚)!
出典など
出典1:気象庁「気象庁|数値予報とは」
(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-3-1.html)から抜粋して作成
※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。