見出し画像

遊戯王DM4を語りたい

だいぶ前になりますが初期遊戯王ゲームを収録した「遊戯王 アーリーデイズコレクション」が発表され、同時にDM4・DM6の収録が判明しました。そして発表されるやいなや、ネット上では古のオタクたちがクソゲー談義に花を咲かせていました。

実際「カードのおまけ(そのカードもハズレが多い)」「売上ランキングの汚点」「前作からの多大な劣化点」などどうしようもない問題が多々あったのは事実ですが、それらの声にかき消されてまともなプレイ談義が行えない状況でもありました。

そこで本日記では諸々の問題はひとまず置いておいて、良かった点や楽しむための知識を伝えられたらと思います。


そもそもDMシリーズとは?

GBA世代で断絶したシリーズであり、遊戯王は知っていてもOCGルールしか知らんという人も多そうなので軽く触れておきます。

殴って8000のライフを削るというのはOCG同様ですが、多くの点で簡略化されています。具体的な共通ルールとしては、
・手札は5枚上限
・墓地除外ゾーンは無し(4以降は最新の消滅モンスターのみ参照、蘇生可能)
・魔法カードは使い切り
・場に出せる罠カードは1枚だけで、未使用でも翌ターンに消滅する(2~3)、発動まで場に残る(4)
・効果モンスターは伏せ状態(通常召喚直後含む)でのみ効果を発動可能で、そのターンの攻撃は封印される(3~)
・モンスター同士を重ねることで融合が可能(2~)
・召喚魔族(OCGで言うところの属性的なもの)が個別に設定されており、有利魔族側は無条件で戦闘勝利(2~)

またデュエル外の共通のゲームシステムとして、
・勝利するごとに1枚カードをドロップする
・勝敗に応じてデュエリストレベル(DL)、デッキキャパシティ(DC)が上昇する(2以降)
・カードにはコストが設定されており、その値が投入可能DL、消費DCとなる(2以降)

などがあります。他にも細かな仕様とかもありますがここでは割愛します。かなり簡素なシステムですが、コストの割り振りや召喚魔族、融合、デッキの強化プランなど、考える余地はそれなりに存在するゲームです。

DM4での主な変更点など

3バージョン別々の使用可能カードの制限

当時多くの子供向けゲームで横行したポケモンに倣った、というか発展改悪させた商法で、最も問題として論われることが多い要素です。制限自体が不自由であるほか、使用カードの格差が大きく、周知の通り多彩な罠を仕様可能な「城之内デッキ」が圧倒的に扱いやすく、除去札が著しく少ない「遊戯デッキ」は悲惨というほかないです。加えてパッケージで強調されている神のカードの使用がソフト単独では不可能で、通信入手のみというのも不評要素でした。

もっとも安ければワンコインで3種揃う今となっては、デッキ格差はあまり気になることでもありません。簡素ゆえに無制限だとデッキ構築が画一化されていたでしょうし、3パターンの難度、レギュレーションで楽しめるゲームとしてポジティブに捉えてもいいと思います。遊戯デッキはハードモード。

特殊なモンスターレベル設定

概ねOCG準拠だった他作と異なり、「DM4」では攻撃力/守備力の高い方の数値を基準としたレベル及びコストが設定されています。具体的には以下の通り。
星4以下 ~1350
星6以下 ~2000
星8以下 ~2750
星9以上 2800~

この結果レオ・ウィザード、ディスク・マジシャンなどが最強クラスの下級になるという奇怪な環境になっています。また星9以上は神の巻き添えで3体生贄に変更されています。ブルーアイズはまだしも、攻撃力0のラビリンスウォールでさえ3体生贄です。

コンストラクションモードの削除

コンストラクションモードは「DM3」にのみ存在したモードで、早い話が上半身と下半身のパーツを任意に組み合わせてオリカを作ろうというものです。これにより高攻撃力(最大2000)の星4以下を量産することが可能になっていました。ドロップ運で進行が大きく左右されるDMシリーズにおいて非常にありがたかった要素です。

「DM4」においてはこれが単純に削除される形となりました。ネガティブに捉えられがちですが、いささか強力すぎたのでしょう。「DM3」では融合の有用性が低かったことと併せて、本来のモンスターの採用意義がかなり小さくなってしまい、個性、実用性を損ねていた面もあります。

デュエル時のBGMの個別化

「DM3」の時点でエリア別、ラスボス以降はそれぞれ個別のBGMとなっていましたが、「DM4」では全デュエリスト個別になっています。音楽面は昔のKONAMIだけあって定評があり、この点は評価が高いです。デュエリストの総数こそ減っているものの、新規曲の数はかなり多いです。

ゲームバランス

上記要素以外のシステム、バランス面での「DM4」の特徴など。

環境デフレによる影響

上述の特殊なモンスターレベルによるデフレ下では、強引なキルをお互いに狙いにくくなっているため、堅実な展開が求められるようになっています。

「DM3」はCPUの構築が大幅に進歩したものの、打点の高さと制限無視により大味な展開も多発していました。例えば下級の殴り合いに心変わりを差し込まれるだけで、強化が絡めば最悪5000以上のライフが動いていました。「DM4」なら切り札の融合体が奪われてもせいぜい3000そこそこですし、相手デュエリストも制限を守るようになっていて食らうこと自体減っています。

他では除去や奪取以上にある意味凶悪だった光の護封剣も制限通り1枚までとなり、理不尽さやテンポの悪化がだいぶ改善されました。

加えて罠がターン経過で消滅しなくなったため、攻撃を通しにくくなっています(遊戯デッキプレイヤーはほぼ使えませんが)。結果として反撃を見越した手札の切り方が重要になっています。

融合システムの再評価

大幅なデフレにより、融合システムも復権を果たしています。組み合わせによっては下級最弱クラスから攻撃力2000前後まで一気にジャンプすることが可能です。(引ければ)主力モンスター自体をそのまま投入出来ていた、「DM2」「真DM」以上に価値が大きいと言えるかもしれません。

ただ前提知識が無いと組み合わせがなんかよく分からん、失敗時は召喚権と重ねられた素材をロストする、という2点から導入以来多くのプレイヤーが活用出来ていたとは言い切れないシステムでもありました。比較的分かりやすく、有用なパターンについては本日記内でも後ほど紹介します。

敵デュエリストの構築の洗練

相手の投入モンスター、特に下級は進行度合いに応じて厳格な攻撃力ラインが設定されており、ときたま出てくる強豪カードで詰む、という事態は起こりにくくなっています。唯一例外と言えるのがレアハンターのエクゾ本体くらいでしょうか。モンスターの構成も主力の召喚魔族を統一しつつも弱点を補完する召喚魔族を少数、という形がよく取られており、個性を出しながらバランスがしっかり考えられています。……ラスボスのペガサスがかなり問題のある偏りをしていたり、隠しステージのキースが素人並の構築だったりはありますが。

イシズ、ごんぶとり遊戯など一部デュエリストは強力な融合を強く意識した構築を取られています。この辺は融合チュートリアル的な意味合いもあったのかもしれません。

攻略メモ

攻略に関してはこちらのサイト様を参考にしています。
いまさら遊戯王DM4 最強決闘者戦記攻略 (imasaragame.com)

主な融合パターン

DMシリーズの融合システムは、決まった種族などの組み合わせを満たす融合先のうち、素材モンスターの高い方の攻撃力を上回る融合先へと変化する仕様となっています。下記の紅葉の女王であれば、攻撃力1100以上の素材を含めなければ同様の組み合わせの黒き森のウィッチになってしまう、といった感じです。

ここでは組み合わせが直感的で、なおかつ攻撃力ラインが存在しないか実用上クリアしやすいものに絞って紹介します。

サンド・ウィッチ 女性型+岩石族 
こうようのじょおう 女性型+植物族 ※一方が攻撃力1100以上
ヴァルキリー 女性型+天使族 
みつりんのこくりゅうおう ドラゴン族+植物族
ビッグバンドラゴン ドラゴン族+炎魔族
ストーン・ドラゴン ドラゴン族+岩石族
メタル・ドラゴン ドラゴン族+機械族
ダーク・エルフ エルフ+黒魔族
まほうけんしネオ 戦士族+魔法使い族

各フィールド概論

将来的にフィールド運用をするしないに拘らず、融合の運用をしやすくするためにある程度構成を偏らせるのがおすすめです。なお遊戯デッキのみフィールド魔法が使用不能で、モンスター効果でしかフィールドを展開出来ません。

・草原
攻撃力1350不在、融合エースと言える炎の剣士は融合可能な攻撃力ボーダーがやや高いなど不遇気味。強化される相手下級も終盤までよく出てくるのでフィールドを使うメリットはあまりありません。

・荒野
マーダーサーカス・ゾンビが攻撃力1350。がそれ以上に岩石族主体のデッキとの相性の良さが際立ちます。低コストな融合素材を調達しやすいこと、CPUを強化するリスクが小さいことから個人的には一番おすすめ。遊戯デッキで展開可能なカース・オブ・ドラゴンは強化対象外ですが、単純に1体生け贄の上限攻撃力という点で採用の余地はあります(デッキの性質上生け贄召喚先が欲しいということもある)。

・森
「DM3」では生け贄無し攻2860の地雷蜘蛛が猛威を振るいましたが、「DM4」では強い下級が少ないです。植物族を多めにして融合で攻めるか、他種族の素の打点で攻めるか。城之内デッキに限り、自動進化するモス系統を使う選択肢もあります。プチモスは流石にきついですが、ラーバモスを守ったり進化の繭を生贄召喚するくらいなら比較的自然に組み込めます。全デッキで使えるフィールド展開効果のトレントは、フィールド込みで攻撃力1950とまずまずの性能。

・山
「DM2」では速攻周回でよく使われたやつ。下級の層が薄く、マブラスやドラゴン族での融合戦術がメインになります。上の組み合わせには乗せていませんが、マブラスは同名カードとで紅陽鳥を出せます。対孔雀舞、カイザー海馬に絞るなら、こちらはフィールドを入れずにタダ乗りするのも有効です。

・海
攻撃力1350の下級2体を擁する最強候補です。対CPUでは利用されにくく、弱点を突かれることも少なく、さらに攻1350組の一角であるディスク・マジシャンを弱体化出来るというメリットも。一方で融合は弱めで、普通に召喚しての殴りがメインになるためコストを圧迫しやすいです。遊戯デッキで利用出来るリバイアサンは、フィールド込みでの攻撃力がこの手のカードで最も高いです。強さとは関係ありませんが、主力となる下級モンスターのデザインはかなり奇抜なものが目立ちます(舌魚、ベヒゴン、キラー・ブロップなど)。

・闇
レオ・ウィザードを筆頭に強力なモンスターが多く、運用はしやすいです。逆に利用されることも非常に多く、わざわざスロットを割いてまでフィールドを入れるかはよく考えた方が良いでしょう。女性型主体デッキのヴァルキリーやその素材、汎用カードの命の砂時計がパワーダウンするのも無視出来ないデメリットです。対戦ではメタになるかもしれませんが。フィールド担当は闇晦ましの城ですが、前作の星4から一気に星8になってしまっています。

終盤デュエリスト簡易攻略

・ペガサス
登場が早いですが一応ラスボス枠。今作では毎回スタッフロールを流すテロはしなくなりました。下級の大半を白魔族で固めているため、黒魔族中心で挑めば最大1100の下級ラインほどには苦戦する相手ではありません。一応弱点を補完する幻想魔族も入っていますが、全て原作再現の弱小モンスターです。サクリ系、特にサウサクは戦況を一変させ得るので常に警戒しておきたいです。

・キース
攻撃力1350が2種、1300が2種で下級自体の投入枚数も多く、事故が期待しにくいです。が悪魔魔族が極端に多い上、黒魔族の下級を1枚も投入していないので、適当な白魔族を投げているだけで簡単に勝ててしまいます。またフィールド魔法の闇を使ってくるのですが、キースのデッキに強化対象は1枚も入っていません。白魔族の多い天使族メタのつもりなんでしょうか。

・孔雀舞
山フィールドの強化対象種族を主体としたデッキ。強化魔法も多数投入しており、原作を彷彿とさせる強化特化のデッキとなっています。本作の仕様上、ハーピィは残念な性能になっていますが……。強化モンスターを処理して手札を枯らせつつ、早めに高打点を立てて対抗したいところ。フィールド上書きも効果的。イメージの割に風魔族の下級は少なく、荒野デッキなど土魔族メインでもさほど不利にはなりません。

・闇遊戯
遊戯デッキは対戦不可。原作再現のために上級を必要以上に詰め込まれています。そのためによく事故っていますが、生け贄確保の手段は豊富なので油断していると出てきた上級を越えられなくなります。とりわけ増殖+クリボーは非常に危険で、このコンボを許すとオシリスすらも簡単に召喚されてしまいます。幸い効果が他の三幻神と比べて圧倒的に弱いおかげで召喚酔いする5000バニラでしかなく、除去さえ構えておけば後出しでも対処は間に合います。

・闇バクラ
オベリスクをドロップする関係上何故か海馬デッキは対戦不可。実際にオベリスクを投入している姉様をドロップ対象にするのでは駄目だったんでしょうか……。当時まだデッキコンセプトが判然としていなかったためか、GBではグッドスタッフ的構築で共通しています。最強クラスの下級黒魔族、幻想魔族を主力に、強力な魔法、罠で脇を固めています。強化魔法も多いため動き出しが非常に強く、消耗させてから攻め込むのが無難。切り返した後も常にサウサクへの警戒は必要です。下級の数自体は少ないため、少し不利になったら最終戦争でぶっ飛ばすと事故って戦いやすくなることも多いです。

・マリク
城之内デッキは対戦不可。バクラ同様デッキが分からんということでグッドスタッフ、というか上級以外の内容は酷似しています。こちらは上級が全て神魔族になっているため、生け贄召喚を許すと戦闘では突破しにくいです。ラーは全体心変わり+死者蘇生効果で非常に強力ですが、拝むことはほぼ無いでしょう。



DM4については以上となります。クソゲーではあるけどクソゲーなりの楽しみ方というのはあるので、気になったら是非プレイして欲しいです。アーリー~でついでにやるのもいいですし、現物も非常にお安くなっています。プレイ時間もそこまで長くなく、8と比べれば手軽なものです。

既に判明済みの6や、今後発表されたタイトルで語りたくなったらまた何か書くかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?