21/1/10 職能を磨くことにより道が開ける

自分の職能を磨き続けることによって、自由に働くことができる。どんな経営者からも求められる職能を身につけることによって、どんなプロジェクトにも参加することができる。その職能に需要があり、希少価値があれば、自分がプロジェクトを選べる立場になる。自分の職能を磨くことは、自分のやりたいことを実現させるために、とても大切なことである。

職能に磨きをかけ、自分のやりたいことを実現させている経営者に森岡毅氏がいる。USJ再建で有名なマーケターである。森岡氏はマーケティングという職能をピカピカに磨き上げ、P&G、USJを渡り歩き、自身でマーケティング会社を起業した。マーケティングとは、会社経営者やプロジェクトオーナーのミッション実現をサポートするための職能である。商品を売りたい、サービスを広めたいというオーナーの課題を解決する手段の一つである。その職能であるマーケティングを磨き上げることにより、今度は自身が「マーケティングにより日本を元気にしたい」というミッションを生み出し、オーナーになっている。オーナーをサポートするための職能を磨き上げた結果、自身がオーナーとなっている。職能を磨き続けることによって道が開けてくるお手本である。

森岡毅氏の著書「苦しかった時の話をしようか」に職能を身につける素晴らしさについて下記のような文章がある。

 USJの経営再建の使命を完了した後、私は2017年に同志たちとマーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を起業した。「刀」は、USJ再建よりも難易度の高いものを含むいくつかのプロジェクトを進めている。今現在で公表したものは沖縄の新テーマパーク・プロジェクトだけだが、その他にもやりがいのあるミッションを並行しており、早々に顕著な結果が出ている。「刀」が戦う舞台の業界は多岐に渡り、さまざまな個別事情はありながらも、どの戦場でもマーケティングの本質が全く同じであることを再確認する毎日だ。
 企業が生き残るために、また日本が今後も豊かであるために、マーケティングが決定的に重要だと私は確信している。私はつくづくマーケティングという職能を身につけて良かったと思う。マーケティングの本質を体系化する研究の末に、私はついに「森岡メソッド」を確立した。それはUSJを変えたように、マーケティングができない会社を、マーケティングができる会社に変えるノウハウだ。私はそこにまっすぐに旗を立てている。今後も、同志たちと力を合わせて「刀」をフル稼働させ、日本をもっと元気にしていきたい。

「私はつくづくマーケティングという職能を身につけて良かったと思う」という言葉は、非常に印象的である。自分がピンとくる職能を見つけ、それを磨き続ける。それによりどんどんと世界が広がっていく。1つの会社だけではなく、多くの会社に求められる存在になる。森岡氏のキャリアは多くの人にとって参考になると思う。

どんな職能を磨くかは、人それぞれ違う。それは、その人の生まれながらの個性や経験によって違ってくる。大学でコンピュータサイエンスを勉強していた人はエンジニアとしての職能を磨くかもしれない。新卒で経理・財務部に配属になった人はCFOとしての職能を磨くかもしれない。たまたま人事部に異動になって面白さを感じた人は、人事としての職能を磨くかもしれない。どんな職能を身につけるかは人それぞれである。自分がピンときたものをやり、面白ければ続ける、面白くなければやめる。その試行錯誤を繰り返すことによって、磨き続けるに値する職能が見えてくる。

自分がピンとくる職能を見つけ、それを磨くことによって、自分の道を切り開いていく。充実したキャリアを考える上で、モデルケースとなる生き方の一つである。

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