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【映画評】モスル あるSWAT部隊の戦い

「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟がプロデューサーをつとめた戦争アクションムービーである。監督は「ワールド・ウォーZ」「キングダム 見えざる敵」などの脚本を手がけてきたマシュー・マイケル・カーナハン。IS(イスラム過激派組織)によって荒廃したイラク第二の都市モスルを舞台にゲリラ戦が繰り広げられる。

言わずと知れた現代エンタテイメント最高の映画プロデューサーであるルッソ兄弟が、自身の制作会社ABGOフィルムを通じて作成した映画である。

物語自体は少数精鋭の小部隊がある任務を遂行するために戦地を突き進むというシンプルなものであるが、細部にまでこだわったリアリティさは歴代の戦争映画の中でもナンバー1だと思う。モスルの状況が克明に描かれており、100分の上映中、常に戦地にいるような緊迫感が保たれて、兵士たちの行動もとにかくリアルである。この映画を観ていると、映画で大切なものは、奇を狙った斬新なストーリーや設定などではなく、細部へのこだわりや一つ一つの積み重ねなのだと感じる。シンプルなストーリーもルッソ兄弟を中心とする世界最高峰のクリエーターの手にかかると、ここまでクオリティの高い作品に仕上がるのかと感服する。

ハリウッド映画でありながらキャスト全員がアラビア語圏の俳優を起用しており、アメリカ人の視点ではなく、イラク人の視点、特にモスルに生きる人たちの視点として描かれている。セットもモロッコにモスルの街並みを再現する巨大セットを製作して撮影されており、そのクオリティは圧巻である。

素晴らしい映画とは何かを改めて考えさせてくれる世界最高のクリエーター陣による最高の映画である。




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