これは私への罰なのだろう

20代の終わり、初めて片想いをした。
どう足掻いても叶うことはなかった。

恋人にフラれる失恋なら何度も経験があった。
それらは全身を引き裂かれるような痛みを伴ったけど、どんなに大恋愛だったと思うような恋でも結局は時間が彼らを忘れさせてくれた。

片想いに終わった恋も同じだと思っていた。
いつかは忘れられる日が来る。たまに思い出して切ない気持ちになることはあっても若き日のほろ苦い思い出になる日が来るはず。
そう思っていた。

だけど一度も実らなかったその恋はまるで違った。
時が経てば、新しい恋人ができれば、結婚すれば、子どもができれば…

今でも夢に見る。
遠くで笑っていたり、人目も憚らず話しかけてきたり、最後に会ったあの部屋でふたりいつも通りの時間を過ごしていたり。
私たちいつも慌しかったね。
もっと素直な自分でいられたらよかったな。
気づいたときには遅すぎたの。
今だってそう、もう何もかも遅すぎるの。

あなたに触れられたことはまるで夢のよう。
忘れられた日なんて一日もないまま、歳を重ね立場も変わった。

忘れようとしても、無理に忘れようとするのはやめてみても、
目の前にいる人たちだけを愛そうと努めても、あなたの姿はカラーのまま
影にすらなってくれずに私の心に棲みついている。

振りほどいても振りほどいても消えてくれないあなたへの想いは
自分で自分にかけた呪いのようで、
なにか罪を犯したわけでもないのだけれどこれは私への罰なのだろう。
そうでないなら、馬鹿な期待を抱きそうで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?