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アーサー王文献(2)ノウルズ版「アーサー王物語」

「アーサー王の死」から始まった私のアーサー沼だったが、次に手にとったのは、ジェイムズ・ノウルズによる「アーサー王物語」だった。

この作品を紹介してくれたのは友人だったと思うが、「アーサー王物語というものは、「アーサー王の死」のマロリー以外にもいろんな人が書いている」という話を聞いて、単純に興味が出て読み比べをしてみようという気になった。

そして悟ったのだが(そして、この後もいろんな人の作品を読んでさらにその気持ちが深まるのだが)、本当に書く人・編集する人によって、物語の切り取り方や表現、フィーチャーするエピソードやキャラクターが異なるのだ。それが面白いと気づいてしまったことが、沼にはまっていくきっかけなのだったと思う…。

ノウルズ版の特徴

この作品は、「アーサー王の死」と、その後に読んだローズマリ・サトクリフ版と比べると、いわゆる分かりやすい英雄物語感が強いと感じた。子どもでも読めるような作品として書かれているのもあると思うが、強くて勇ましい騎士が出てきて、冒険や戦いがある華やかな物語だ。
ややあっさりしているマロリー版とは、まるで違う味わいの物語になっていると言ってもいいと思う。

マロリーの「アーサー王の死」とは、若干収録されているストーリーも異なる。
特に冒頭がアーサー王の父ユーサーのさらに前の王であるヴォーティガーンの時代から始まり、マーリンが知恵を奮って活躍するエピソードが読めるのと、兄弟騎士バリンとバランの悲劇が取り上げられていること(これまで私が読んだ中では、この作品にだけ書かれていたと思う)が印象的である。
また、美しい挿絵がふんだんに使われていて、目も楽しめる。

この作品を読んで、「えっ、アーサー王の「前」にもエピソードがあるのか!」「マロリー版に出てこなかった騎士が活躍する話もあるんだ~」と好奇心をそそられることになり、さらに私の興味は広がっていくのだった…。

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