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高齢者介護施設での、靴選びの重要性

こんにちは!ほりちゃんこと、堀友美です^^
年度末の多忙な時期になりましたね。

皆様いかがお過ごしですか?

noteでも精力的に発信を行なっていきますので、引き続きよろしくお願いします★

今回も皆様にとって身近な「フットケア」に関する話題を掘り下げていきたいと思っています^^

その内容は、私が実際に目にしてきた中で感じる、高齢者介護施設での「靴選びの重要性」です。

家族が施設に入居している方や、これから施設入居を検討している方、そして高齢者介護施設で働く皆さんにも知ってほしい内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでいただければ嬉しいです☆

それでは早速、参りましょう!


◯高齢者介護施設でよく見かける光景


今回のテーマについて話していく上で、具体的に紹介したい商品があります。
それが「あゆみシューズ」さんが販売している「エスパド」という商品です。

フットケアで介入した介護施設で、とある光景を目にしたんです。
この「エスパド」という商品を履いていた利用者さんがいたんですが、その方の靴の両足の親指部分が破れて穴が開いてしまっていたんです。

実際の写真

この状況について、考えたことを話していこうと思います。

※今回の事例は実際にこちらの商品を履いてたので、分かりやすいように商品名を出させていただきました。こちらの商品が「悪い」とか「危険」だとか訴える趣旨は一切ありませんので、それは皆さんご理解して頂けたらと思います。
 むしろ履く場面や環境によっては優れた商品だと思います。今回の記事はあくまで「靴を選ぶ目的」というテーマで書かせてもらっています。

この「エスパド」という商品は見てもらったらわかるんですが、靴全体がふわふわとした布製の履き物なんです。

靴底も通常のゴム製のグリップが付いているわけではなくて、裏にちょっとした滑り止めシートが付いてるような感じのいわゆる「ルームシューズ」といった感じなんです。

今回、その履き物の両足の親指の部分に穴が開いていました。 

そんな穴の開いた靴を履く方は、杖歩行で施設の中を歩いているのです。
この状況に疑問を感じませんか?ということなんです。

実は結構、こういう方は多いなって感じます。
高齢者介護施設で働く方は、結構目にする光景じゃないでしょうか?


◯靴選びの難しさと重要性

人はみな、年を重ねていきます。

年齢とともに生活スタイルも身体の機能も変わってきます。

そんな様々な変化に合わせて「どんな靴を履けばいいの?」って多くの人が感じているのではないでしょうか。

もしかしたら、家族がこういった高齢者介護施設に入所することになるかもしれないわけですし。
その時に選んだ靴によって、その人の活動だったり体の動きを左右する可能性があるわけなんですよね。

そこの部分について、私の現段階の見解をお話ししていきます。

まず大前提として、「靴は歩くためのもの」です。

だから、いかに「快適に歩けるか」が一番重要なんですよね。

今回の事例の方は、高齢者介護施設の中を24時間365日、この「 ルームシューズ」で歩いているのです。

皆さんも「ルームシューズ」で 1日 外出時も歩いてくださいって言われたら、それはやっぱりきついんですよね。

具体的にどういう状態になっているかっていうと、

靴底にグリップがついてるわけでもないので、地面に足の裏が接地する際に不安定になります。
さらに、靴全体がふわふわした布製なので足を固定できないんですよね。

靴の中で足が動いてしまって、ゆるゆるな感じです。

なので、足が靴の中で前後にずれてしまって、そんな状態だから、歩くほど親指が布を突き破るなんて現象が起こるんです。

しっかり足を固定できるような靴であれば、このような現象は起きにくいです。

あくまでルームシューズという商品の特性上、快適に歩行ができるための設計がなされていないってことなんです。

◯どうして高齢者施設で靴が見過ごされやすいのか?

今回の事例を通して言いたいことは最初に言った通り、「エスパド」が商品として「良い」「悪い」とかそういう話ではなくて『なぜ歩く人が歩くための靴を履いてないのだろうか』というところなんですよね。

気づかない職員が悪いとか、そこを責めるわけでもなくて。

そもそも自分がどんな靴を履けばいいかって、知っている人が少ないんです。
 
だからこそ、仮に自分の親が介護施設に入所することになって「履き物を持ってきてください」って言われても、「じゃあこれにしよう」ってパッと思いつく人の方が少ないと思います。

多くの方が「どんな靴がいいんだろうか」って多分一度は迷うと思います。


今回のあゆみシューズさんの「エスパド」のようなルームシューズはよく選ばれる商品です。

「日本の靴を脱ぐ文化」と「介護施設いう馴染みがない場所」っていうのが結構混乱を招いているんではないかなと思っています。

というのも、日本は「靴を脱いで家に上がる文化」です。靴下や裸足、もしくはスリッパを履くことが多いと思います。

海外に行くと、家の中も土足のままだったりするんですけど、日本はそういう文化とは違いますよね。
家の中は清潔なので、土足で汚してはいけないって感覚があると思います。


では介護施設はどうかっていう話なんですが、(私自身働いてる感覚で言うと)必ずしも綺麗な場所ではないです。

もちろん、掃除はしているので、ある程度綺麗な状態ではあるんですが、裸足で歩けるかっていうとやっぱり抵抗があるんですよね。

どうしても食べ物や、排泄物、吸引などの医療行為によって痰の飛沫が落ちていたりするんです。

なので、自宅のような綺麗さがあるかというと、そうではない。

たからこそ、施設で働くスタッフもナースシューズとか、スニーカーを履いている人が多いのです。

ただ、ご家族が施設内を通される時に、玄関で靴を脱ぐ施設が多いですよね?

中に入るのにスリッパなんて出されるものだから『土足ではないんだな』って感覚になってしまう。

だから、一般の方からすると施設内で「靴を履く」という認識は薄いんじゃないかなって思います。

なんとなくルームシューズ みたいなものを購入しよう、と思うんですよね。これは仕方ないことだと思っています。


だからこそ施設側が家族に靴の準備をお願いする時は
かかとの部分が硬くしっかりとしている
・マジックテープとかチャックでしっかり足全体をホールドできる
・靴底に滑り止めがしっかりついてる
そんな靴をお願いすることが大切です。

〇高齢者の靴選びに必要な考え方

前述した靴の選び方は、歩行ができる方に限定されないと思っていて。

歩行ができない方でも、車椅子からベッド、車椅子からトイレといった体を動かすタイミングってあるんです。

その時は、介護職員の手を借りながらでも自分の足で踏ん張って立つわけなんです。

そこで、靴底の滑り止めが無い場合、立つ時にしっかりと踏ん張れないから怖いですよね?
だから、歩ける人に関わらず、地面をしっかり踏む方には、靴底にしっかり滑り止めがある履き物を選ぶ必要があると思います。


ベッドに寝たきりで足が地面に着くこともほとんど無い方は、リクライニングタイプの車椅子に座る際に「足の保護目的」として「エスパド」のような商品を履くことはあります。

そういった目的で使用するのは、着脱がしやすくて良いのかなと思います。

実際にはこちらの商品も室内を歩くという想定で販売されているようなんですけど、高齢者の歩行や毎日の使用に適しているかというと、個人的にはそうではないと思っています。

高齢者は施設で生活していて、どうしても何かの拍子に転んだりすることがあります。

ひとたび「転倒」ってことになると、施設側も色々と配慮しなければならないことが増えるんですね。

例えば部屋の環境を整えるために手すりをつけるだとか。
センサーで動きを感知して、本人さんが一人で動こうとする場面にいち早く駆けつけようみたいな話になるんです。

それはもちろん必要な対応かもしれませんが、そもそもどんな靴を履いているかをしっかり見ることが、まずは大事かなって思います。

例えば、歩行器を導入したとしても、靴が滑りやすかったら歩行器の安全性が保てないわけなんです。歩行器の恩恵をしっかりと受けられる足の環境も考えなければいけません。


今回お話ししたのは本当に一部なんですが、「この靴がいい!」というよりも、その方に合った靴の選定について周りの支援者でもっと考える機会があると嬉しいなと思います。

歩く人なのか、車椅子で過ごす人なのかとか、はたまた寝たきりなのか。
そういうことを考えるだけでも違うかなと思います。

やっぱり事故が起こると本人はもちろん、周りのみんなも辛いですからね。


〇おわりに

なんにしても、靴の目的は「快適に歩く」ということではあるので、その目的に沿った商品選びが出来れば良いのかなと思っております。

今回の記事が良かったと思う方はスキしていただければ嬉しいです!

また「ちょっと分からない」「こんな場合はどうなの」って思う方もお気軽にコメントしてください★

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最後まで読んでいただいてありがとうございました!


著者プロフィール:堀友美


編集:さんかくしおハッカ

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