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人生に寄り添う「フットケア」とは?

こんにちは!

ほりちゃんこと、堀友美です^^
今回も「フットケア」に関する話題を掘り下げていきたいと思います。

今回は一方的に何かを教えるというか、レクチャーするような内容ではなくて、、
私の気づきについて皆さんにも共有したいなと思い、文章にしています。

ぜひ最後まで読んでいただければと思います!


○改めて「その人を見る」という話を

今回は「フットケア」は段階的に変化していくという話でもあるんですが…

 noteで以前こんな記事を書いたと思います。

「足を見る。その人をみる。」

「足だけ見てませんか?その人自身を見てますか?」という話です。
もしまだご覧になっていない方は、ぜひ先に読んでみて下さい。

ここでの「フットケア」って主に足の爪切りや、タコ・魚の目ケアを指します。
しかし、相手が「私の行う足の爪切り」に対してどう思ってるかまで配慮できていますかという話です。

偉そうにnoteの記事にしている私ですが…

 そんな私も「いつも葛藤してます」‼︎‼︎

今回はある事例についてお話しします。 

○施設で出会ったひとりの女性

その方はもう1年ぐらい毎月関わってました。

高齢者介護施設に入居中で、認知機能も低下していました。

具体的に言うと、
 
お部屋からよく外に出て、目的は何かよく分からないのですが、ずっと廊下を歩いてるような方です。

施設にお勤めの方はイメージ湧きますかね?

建物が1階から5階まであるんですけど、ずっと歩いてるんです。

自由に歩かれるのはいいんですけど、他の方のお部屋にも鍵が開いてたら無断で入っしまうような方でした。

そうなるとトラブルにもなるんです。

短期記憶の障害があって、今話したことをすぐに忘れてしまうような方でした。
ただ足腰はしっかりしてて、よく歩かれていたんです。 

その方は爪がかなり長くて、分厚くて、伸びるスピードも早い方だったんです。
 
毎月その方の爪切りに介入していたんですが 、性格的にもハッキリとものを言うタイプの方でして。
 
若い時は仕事にも専念されてきた背景もあるのか「自分のことは自分でできる!」みたいなタイプの方だったんです。

爪はすごく伸びていました。
爪のせいで靴のサイズが1センチくらい変わってしまうんじゃないかというくらい。

なのでこちらも「この状態は危ないですよ」っていう話をして介入していました。でもこれが、なかなか理解を得ることが出来ないんです。

「よく歩いてる」ていう事実と、極端に伸びた爪の現状を考えたときに、どうしても「安全に歩いてもらえるように」って言う気持ちが先立っちゃうんです。

ただ、私が「危ないから」と思って爪を切ろうとしても、
その人にとって「爪切りは怖い!」というトラウマを抱える結果になった時に、二度と介入できないリスクもあるわけなんです。

そうなると一番恐れている「足の爪難民」になってしまうんです。

だからとにかく「爪切りは安全だ」っていう気持ちの状態でケアしたいとは思っていて。


ただですね、
爪のせいで傷ついて血が出そうな方に 「じゃあ、嫌ならやめましょうか」ってことはなかなか言えないんですね。

 実際、そこは何が正しいか分からないって思えてきます。

「ちょっとだけ!爪の親指だけ切りませんか?今日は本当に親指だけでいいですので!」
「嫌だ!そんなの切らなくていい!私が自分でするんだ!」

ってそんな調子だったんですね。 

心の中では「いやいや、できてないからこんなに伸びたんでしょー!」 と思いながら交渉するわけです 。

○彼女に現れた変化


結局、交渉はうまくいかないんです。

ただ施設の方がとても協力的でした。
施設の職員さんにも「切ってほしい」っていう気持ちが強くあったんです。

「この爪じゃ靴下が引っかかって履きにくいから切りませんか」とか、色んな言い回しで説得してくれました。
 
ちょっとだけヤスリで整えたりとかも「嫌だ、嫌だ」と言われながら、半ば強引に最低限のケアをしていました。

ちょっとずつ切っては怒られてを繰り返しながら、何とか介入してたんです。 

本当は、これでいいのか悪いのかも分からなかったんですけど。 

綺麗事じゃない部分なんですよね。常に葛藤です。
結局、そんな感じで1年ぐらいやり取りしていたんです。 

ある頃から女性に変化が起こりました。

それからしばらくして、女性に変化が起こり始めたんです。
彼女を廊下で見かけなくなるんですね。


いつも1階から5階を行ったり来たりするような方だったんですけど、徐々にお部屋にいる時間が増えていったんです。

そうなると、刺激がどんどん減っていって…

私が来るたびに喧嘩と言いますか、口論になりながら何とかこちらのお願いを聞いてもらっていた人だったんですが…

だんだんと背中が丸くなり、活動量も落ちて部屋に閉じこもるようになってしまったんです。

出来ていたことも出来なくなって、今は寝たきりに近いような状態にまでなっています。 


通常より1cmも長い爪で歩いてた彼女は、今は寝たきりに近い状態になっていて、私が爪切りをしようとすると、

「お願いね」「ありがとうね」って言うのです。

爪切りなんて、それまでは一本切るのに30分以上もかかってたのが、20分で10本の足の爪、全てを切ることが出来るようになりました 。

○人生の段階におけるフットケアという考え方


爪切りがスムーズにできることは嬉しいけれども、なんか違うと。

複雑な感情があります。

結局、フットケアの目的としては「安全安楽」というのがあって、

歩いてる時は、なるべく靴に当たらないような形にしておこうとか、指の皮膚を爪で傷付けないようにしようとか。

そういうことを考えてたんです 。

でも、寝たきりに近いような状況になってきて、今度は何を考えるかと言ったら、いかに「寝たきりの状況で快適に過ごせるか」ってケアにシフトするんですよね。

足の指を意識して動かしてみたりとか、保湿剤を塗る時にちょっと足の裏を刺激してみたりだとか。

歩いてる時は、地面の凸凹等、足の裏の刺激から情報を得ているんですけど、寝たきりになると足が地面に着かなくなってしまうので足の裏の感覚が鈍ってくるんですよね。 

足も使わなくなると動きが悪くなって、関節も固まってきます。
関節が固まると、少し関節を動かすだけでも痛みが出るのです。

だからなるべく指先も足首も動くっていうのが本人様も楽だし、介助者の負担も減っていくので、可能な限り足指の関節を動かすようにしています。

確かに爪はきれいにするんですけど…
寝たきりっていう状況においては、介入の内容が変わってくるんですね。

爪のケアに凄いこだわるかって言うと、この状況ではちょっと違うのかなっていう風に思います。

その方のケアのフェーズが変っていくっていうことを、すごく考えさせられたんです。

つまり…その人が幸せを感じられる状態というのは、一言では表現できないですけど「難しいな」って感じました。

爪をきれいにするのはもちろん「フットケア」の大切な役割ですけど、歩けなくなってようやく「きれい」にできたって事には、やっぱり複雑な感情が湧いてきます。

本当はこの爪で歩いてほしかった、とか。
理想はそうなんですけど、相手の気持ちもある分難しいこともあります。

「足を見る。その人をみる」とかって口で言うのは簡単だけど、私自身すごく葛藤しながらケアにあたっています。

でもそれが「フットケア」の奥深さでもあり、やりがいでもあるのかなと思っています。

「これ」という正解がないからこそ…
もっと良い支援ができないかと、追い求めてしまいます。

今日はそんな話をさせていただきました。

○まとめ

「フットケア」は、一括りの足の爪切り・タコ・魚の目ケアではなくて。その人に今何が必要なのか考えることが重要です。

確かに爪はきれいにする。でもそれだけじゃない。

「何が言いたいんだ?」
って思うかもしれないですけど

多分、皆さんにもそういう綺麗事の話と、現実そうはいかないって話があると思います。

この場を借りて、これからも色々と共有させてもらえたら嬉しいなと思っています。

私もまだまだ葛藤してる未熟者なので
皆さんと一緒に考えていけたらなと思います^^

これからも皆さまを「足の沼」にお連れできるような話を書いていきたいと思いますので、ぜひぜひ今後ともチェックしてみてくださいね♪

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著者:堀友美(ほりともみ)


編集:さんかくしおハッカ


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