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乃木坂46のメンバーをサッカー選手に例えたら 〜卒業メンバー編〜

<要約すると>
・乃木坂46ではメンバーの卒業が続出している。
・メンバーが卒業する悲しみを癒す必要がある。
・卒業する乃木坂46のメンバーをサッカー選手に例えてみた。

筆者:せこ(@seko_gunners)
 2006年、高校球児時代にドイツワールドカップを見てサッカー観戦にハマる。大会後に見たアンリのプレーの影響で、アーセナルとプレミアリーグを追いかけるように。国内では川崎フロンターレ(2012~)のファンであり、シーズンチケットも保有。推しの両チームについてはnoteでレビュー更新中。「なんかいい感じ!」や「なんかうまくいかない。。」を言語化する。乃木坂46の推しメンは西野七瀬(→高山一実)。
note: https://note.mu/seko_gunners

別れの春、卒業の春

 春、卒業の季節である。学生が新たな希望を胸に、新しいフィールドに旅立っていく季節だ。そんな世間の空気に追従するように、乃木坂46も卒業ラッシュを迎えている。
 数多くのメンバーの卒業発表に心苦しい思いをしているファンは多いだろう。もちろん筆者もその一人である。そんな悲しい思いを少しでも埋めようと、卒業する乃木坂メンバーをサッカー選手に例えることにした。悲しいならば例えようではないか。対象メンバーは今年卒業を発表した3人と昨年末の卒業の舞台に立ち会えた2人。なお、西野七瀬に関してはpart1で取り上げたので割愛。下の記事を読むんだ。それでは行ってみよう。

伊藤かりん

    2期生として加入後、選抜経験は無く、乃木坂の中では決して目立つ方ではなかった伊藤かりん。もしかすると一般層にとってはピンと来ない名前かもしれないが、乃木坂ファンなら彼女の卒業がグループにとって非常に痛手であることを理解しているはずだ。

    彼女の特徴として挙げられるのは、まず優れた仕切り役であること。乃木坂には「軍団」というくくりがある。詳しい説明はここでは割愛するが、彼女が所属している軍団である「スイカ」と「さゆりんご軍団」はいずれもマイペースな曲者ぞろい。音頭役となる彼女がいなければ、どちらの軍団も旅行はおろか、皆で集まって遊ぶことすらままならないはずだ。

    先を読む力にも非常に長けており、ライブのMCパートはかりんさえいれば円滑に回ること間違いなし。あらゆるメンバーに話を振り、スタッフの指示がいつあったかわからないくらい、滑らかに場をまとめる。「かりんのMCパートに外れなし」は乃木坂のライブ格言の一つである。ほかのメンバーの特徴を生かすこともうまく、縁の下の力持ち的な存在でもある。メンバーがデザインしたタオルには「振り飛車党」と入れるくらいの将棋好きであり、頭の回転の早さは将棋由来かもしれない。

    「頭の回転が早くグループに欠かせない存在」として私が真っ先に思い付いたのはハビエル・マスチェラーノだ。アルゼンチン代表監督時代のマラドーナが「私のアルゼンチン代表は、マスチェラーノ+10人だ」と発言したように、マスチェラーノも地味ながらグループに欠かせない存在である。対する伊藤かりんも、将棋界のマラドーナ的な存在である加藤一二三さんから卒業に寄せてメッセージを贈ってもらうなど、レジェンドからの信頼は厚い。マスチェラーノと伊藤かりんの先を読むことに長けた危機察知能力はレジェンドからも高く評価されているのである。

  「え?マラドーナとひふみんを並べるの?」と思ったそこのあなた。前回の記事でも言った通り、頼むからもう少し肩の力を抜いてほしい。ありがたいことにフットボリスタラボという場を借りることができた一人の乃木坂ファンが、(すんごく頑張って無理やり見つけた)サッカーと乃木坂の共通点を紹介しながら、両方について愛情を込めて語るコーナーくらいに思ってほしい。

   話を元に戻そう。共通点として挙げられる部分はほかにもある。伊藤かりんは高所恐怖症である。先日のライブにおいても、ステージが高く上昇していく演出があるパートの出演を見送ることになってしまったほどだ。一方で、マスチェラーノが所属するアルゼンチン代表も高いところは苦手だ。南米予選において高所でプレーするアウェイゲームは鬼門。中でも歴史的大敗となったのがボリビア相手に6-1で敗れたブラジルW杯予選である。マスチェラーノもこの試合で90分プレーしており、あまりのショッキングな敗戦に高所が苦手になってもおかしくはないだろう。ないよね。ないんですよ。

   このようにアルゼンチンを支える頭脳と共通点が多い伊藤かりん。乃木坂の「頭脳」だった彼女の今後に大いなるエールを送りたい。

伊藤かりん ⇒ ハビエル・マスチェラーノ

川後陽菜

 ちょっぴりトゲがある発言がトレードマークの川後陽菜。冠番組の「乃木坂ってどこ?」の初期において、アンダーメンバー(非選抜メンバー)の不満を聞く回で彼女が披露した「街で『テレビでいつも見てます』と声かけられるけど、私はテレビに全く出ていない」というエピソードはとても強烈でインパクトのある一撃だった。個性豊かなメンバーが多い乃木坂においても、吉田豪とわたりあえるのは彼女くらいだろう。

 アニメやコスプレも大好きな彼女だが、そんな彼女が最も好きなものの一つがアイドルだ。AKB、ももクロ、ハロプロなど幅広いアイドルを愛する彼女だが、中でも同じ乃木坂46の深川麻衣(16年卒業)を溺愛していることは有名な話で、深川のブログの写真はすべて保存しているらしい。誰にでも心優しい深川に心酔し、のちの深川のキャッチコピーとなる「聖母」の名付け親となったのも川後である。

 サッカー界の「聖母」はだれだろうか。私が思い付く聖母はモドリッチである。そのモドリッチを代表で兄貴分と慕っているのがマテオ・コバチッチ。インテル退団時にどさくさに紛れてマンチーニと確執があったことを示唆し、レアル・マドリー時代にインテル復帰が取りざたされた時も「マンチーニがいるうちはヤダ」とやさぐれる姿は、まるであの日ひな壇で「テレビになんて映っていないから」とぼやいていた川後陽菜のようだ。コバチッチのキリスト教への深い信仰心も、アイドルを幅広く心から愛する川後の信仰心と同じだろう。

 キャリアにおいてメガクラブを渡り歩いているコバチッチ。その才能に関しては疑う余地はないのだが、いずれのクラブでも主力中の主力にはなり切れていないのが現状だ。同じく川後も、乃木坂では選抜回数1回のみ。アイドル界のメガクラブでは我慢の戦いを強いられていたが、そんな彼女もめでたく昨年門出を迎えた。第1回から参加し続けていたアンダーライブ(非選抜メンバーによるライブ)を卒業の舞台に選んだ彼女は、最後に深川麻衣がセンターを務めた「ハルジオンが咲く頃」をパフォーマンス。万雷の川後コールを受けながら乃木坂を去った。今後は乃木坂の看板も取れて、より幅の広い仕事に取り組めるはずで、彼女の個性が発揮されるのはこれからだ。ハルジオンが咲く季節である春に生まれたコバチッチと同じく、今後の飛躍を期待したくなるメンバーである。

川後陽菜 ⇒ マテオ・コバチッチ

斉藤優里

  歌はボロボロ、ダンスは壊滅的。パフォーマンススキルはお世辞にも高いとは言えない斉藤優里。そんな彼女だが、グループの中では最も愛されるメンバーといっても過言ではない。昨年発売した写真集『乃木撮』(持ってないなら絶対買った方がいいです)において実施したアンケートで「男だったら付き合いたいメンバーNo.1」に輝いている。いわば男だけでなく、女もメロメロにする存在。それが斉藤優里である。

    筆者の個人的な所感としては「静止画で見るよりも動画で見た方が魅力的なメンバーNo.1」である。声もしぐさもいずれも素敵さ満点なのだが、なんといっても天下一品なのは笑顔だ。楽しそうにしている彼女の姿にはみんながメロメロになる。冠番組で共演するバナナマンの設楽統も、斉藤優里とのやり取りはとても楽しそうにしていたのが印象的だ。設楽と優里のイチャイチャがもう見られないと思うと悲しい気持ちでいっぱいになる乃木坂ファンは私だけではないだろう。

 パフォーマンスが下手っぴなのは確かなのだが、ライブでの楽しそうな振る舞いはファンを幸せにしてくれた。遠目でもわかるくらいに体を人一倍大きく動かしながら、ファンの声援にこたえている姿は微笑ましいことこの上ない。ファンもメンバーも笑顔にする存在、それが斉藤優里なのである。

 ところで、筆者はアーセナルファンだ。アーセナルは1年前、非常に苦しい状況に立たされていた。「今も苦しいだろ!」と思ったそこのお前、あとで体育館裏に来なさい。苦しかった理由は、当時主力中の主力だったエジルとサンチェスの去就に揺れていたからだ。特に退団希望を公にしていたサンチェスに関しては、1ファンから見ても当時の内部の雰囲気の悪さは明らかだった。そんなアーセナルにやってきたのがピエール=エメリク・オーバメヤンだ。彼がクラブとファンに与えてくれたものは、たくさんのゴールと、それ以上の笑顔だった。この時期はゴールセレブレーションでも仏頂面な選手が多かったのだが、彼がほかのだれよりも素敵な笑顔で勝利やゴールを祝うことにより、アーセナルに笑顔が戻ってきた。たまには簡単なシュートも外してしまうこともあるけれど、彼がアーセナルにもたらしてくれたものはそれ以上に大きなものだった。

 個人的には今回取り上げた5人の中では最も意外な卒業発表だった斉藤優里。推しメンの一人の突然の卒業発表で正直ショックは大きいのだが、周りの雰囲気を明るくすることができるその才能は稀有なもの。彼女やオーバメヤンのように笑顔でその場を彩ることができる存在には、ぜひ幸せな人生を歩んでほしいと強く思う。

斉藤優里 ⇒ ピエール=エメリク・オーバメヤン

衛藤美彩

 乃木坂のビューティー番長。素人時代は「ロンドンハーツ」の各都道府県の美人素人探し企画で大分県代表に選ばれたこともある衛藤美彩。そんな彼女も日本のトップアイドルである乃木坂の中心メンバーにすっかり君臨。「大分の有望株が日本トップの選抜に入る」というのはまたしてもサッカーと乃木坂の共通点を見つけてしまった感がある。衛藤は大分が育てた。

  今では選抜常連として活躍する彼女も、スターダムにのし上がるまでには時間がかかった。7thシングルの「バレッタ」で初選抜、13thシングルの「今、話したい誰かがいる」で初めて1列目を務めるなど、比較的遅咲きの部類といえるだろう。彼女を選抜に押し上げたのは美しいビジュアルに加えて、握手会でのファン対応の良さと、そしてなんといってもきれいな歌声。彼女の卒業の舞台として用意されたのは、ソロのコンサートだった。大分が生んだ逸材は、ソロでコンサートを開催できるまで力をつけたのである。

 そんな彼女だが、特に近年はメンバーを思う行動が多かった。北野日奈子は彼女を姉のように慕っているメンバーの一人だが、北野が体調不良で不安定な時期だった17年の東京ドーム公演では、ライブ終盤に北野の体調を案じる衛藤の姿が確認されている。乃木坂の活動において壁にぶち当たっていた北野が立ち直るにあたって、アンダーからたたき上げの衛藤の背中は頼りになるものだっただろう。

 彼女自身も乃木坂としての最後のライブとなった西野七瀬の卒業コンサートでは、西野と親交の深い与田祐希に舞台の中央へ来るように促し、自らは控えめに徹するなど引き立て役としても一流であることをうかがわせた。

 主役を張れるタレントであるにも関わらず、引き立て役として輝く例として私が思い付いたのはイヴァン・ラキティッチだ。セビージャではチームの中心として王様のように輝いていた彼は、2014年にバルセロナに移籍。しかし、バルセロナでは時を同じくしてメッシ、スアレス、ネイマールのMSNが結成。ラキティッチは中盤で汗をかく存在になった。彼ほどのタレントが中盤でハードワークをこなすというのは、文字にするほど簡単なことではないはず。それでも彼はやり切り、バルセロナのCL制覇に大いに貢献した。

  優れたタレントが自らの色を前面に出すのを控え、チームへの貢献を第一にする。言葉にするのは簡単だが、いざ実行するには難しいミッションを乃木坂で実践してきたのが衛藤美彩である。アンダーから選抜までたゆまぬ努力で上り詰めた彼女の存在は多くのメンバーの支えになっていたはず。大分の有望株はいつしか乃木坂屈指の「汗をかけるテクニシャン」に成長したのだ。

衛藤美彩 ⇒ イヴァン・ラキティッチ

若月佑美

 箸くん、ロボットダンス、男前・・・・彼女を表すキャラクターはあまりに多い。ロボットダンスや男前キャラはともかく、「箸くん」ってなんやねん!と思ったそこのサッカーファンのあなた、ぜひ「若月佑美 箸くん」で検索して、彼女がなぜ「箸くん」というキャラを背負う羽目になったのかご覧になってください。おそらくそこには「明石家さんま メッシ」で検索してしまった時のようなおぞましさが広がっている。

 無茶ぶりのもとに誕生した「箸くん」というキャラクター。正直なところインパクト重視の出オチ要素なのかなと思っていたのだが、若月佑美という人間がすごいのはここからだった。無茶ぶりで生まれた滑る可能性が高いキャラクターを、場を盛り上げることができるクオリティの持ちネタにまで引き上げたのだ。原動力となったのはキャラと向き合う彼女のまじめさだろう。彼女なりに「箸くん」と真摯に向き合った結果、乃木坂随一のお約束のくだりが誕生したのである。彼女の卒業セレモニーは「キャラを一つずつ整理して卒業する」というのがコンセプト。どこまでもまじめだった。

 サッカー選手でもまじめな選手は数多くいるのだが、若月の誠実さと重なるのがミロスラフ・クローゼだ。「何かがあった時のために手に職を持っておけ」という両親の教えを忠実に守り、大工の職業訓練を受けていたクローゼ。キャリア最初のクラブであるカイザースラウテルンでは、プロになるまで大工のバイトをしていたらしい。そんな生真面目なゴールハンターであるクローゼの誠実さを最も表現するエピソードがある。それはPKにまつわるもので、当時27歳、ブレーメンに所属していた時代の話だ。ビーレフェルト戦でクローゼが倒れてブレーメンにPKが与えられたシーンがあったのだが、彼はそれを「自分が倒れただけでPKではない」として取り消しを要求し、主審に認めさせた。さらにキャリア最後のクラブであるラツィオ時代でも、手にあたってのシュートを自らハンドとして取り消すように要求。なかなかできることではない。

 なかなか見られない光景、として思い出されるのが若月佑美の卒業セレモニーだ。普通、アイドルの卒業セレモニーといえば、卒業するメンバーに対して在籍メンバーが手紙やメッセージを贈ることが多い。しかしながら彼女は自らの卒業に際して、ファンに自らの思いをつづった手紙を読み上げ、メンバーには「今までありがとう」という感謝の気持ちとして一人一人に花を手渡した。同期や後輩を常に気にかけてきた彼女らしい最後の飾り方だった。

 ブラジルW杯決勝、自らと交代でピッチに入るゲッツェに対して「マリオ、お前ならできる」という声をかけて送りだしたクローゼ。クローゼにすべてを託されたゲッツェが優勝を決めるゴールを決めたのは、延長後半のことだった。クローゼの最後のW杯としてこれ以上ない幕引きだろう。当時ドイツの未来だったゲッツェに対して、力強い言葉を贈ったクローゼのように、若月もまた彼女なりの去り方で乃木坂に力強いエールを送った。卒業セレモニーにて彼女が最後の曲として選んだ「ダンケシェーン」の締めは決まって若月がこう叫んで終わる。

「やっぱ乃木坂だな!」

若月佑美 ⇒ ミロスラフ・クローゼ

 いかがだっただろうか。書いてみた正直な感想としては、前回の方がユーモアをうまくちりばめられた感じがする。しかしながら、卒業メンバーに対する思いをサッカー選手と絡めながらつづることができたので個人的には満足である。アイドルファンが推しメンに最も強く望むことは「健康に幸せな生活を送ること」。彼女たちは乃木坂を離れてしまうが、それぞれが次の人生のステップで活躍することを願ってこの記事を締めくくりたい。

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