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サヨナラVIOLET

紫色、いや、violetだと言い張って、意地でもvioletなんだと言い張っている。

君はもう言い張りはしない。
violetは君にとって、もう広島の色なんだろう。
カープの赤と並び立つほどに、あたりまえなんだろう。

カープの"コラボ"ユニフォームを見て、いったいどれだけの人がサンフレッチェを想起するだろう。
サンフレッチェの"コラボ"ユニフォームは、笑ってしまう。誰がどう見てもカープでしかない。
明らかだ。
並び立ってはいない。まだ、ぜんぜんだ。

未だ色味さえ定めようとせず、インペリアルパープルだのサンフレッチェバイオレットだのと言葉遊びを繰り返すばかりで、自らのカラーを軽視し続けるクラブから与えられた赤いユニフォーム。
ナイキというスポンサーとの関係を演出によって活かすのでもなく、いたずらにサポーターの反発を招いたのはまだ昨年起きたことなのだけど、その名を持ち出せばそんなことはすぐに忘れてしまえるなんて、ほんとうにカープは偉大だ。

「…紫なんだ?」「広島で紫、なんで?」
その疑問はもっともだ。だが黙れ。violetだ。覚えろ。これは広島の誇りです。

近年後付の"歴史"を与えられつつあるけれど、実際はリーグの都合であてがわれた、企画先行のカラー。サンフレッチェ広島の紫色の生まれはそんなところだ。当初の明るい赤寄りのパープルが後に青紫になったのも、他クラブとかぶるからといったなんとも釈然としない理由だ。
クラブも扱いにくさを隠さない、既存のプロスポーツではめずらしいばかりの紫色を、広島の誇りと言い張ったのは誰か。言い張り続けているのは誰か。

私だ。そして君は降りた。

君はその赤いユニフォームを着て、脱いでもまた着る。その道を行きたまえ。広島への愛着に曇った目で見る紫はもう、私のvioletとは異なる。温かな、既存の、安定した誇りに浸りたまえ。

私は、言い張り続ける。
言い張るほかには何の理由も脈絡もない、不安定な、新しい、果敢なvioletを、広島の誇りと言い張り続ける。

君のvioletとはサヨナラだ。