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サッカー日本代表対シリア_守備が嵌まらない3バックと攻撃が停滞する4バック


2次予選最終戦。5-0の快勝ですが、個人的には今後に不安を感じる試合でした。内容を振り返ります

まずはフォーメーションから

前半

GK+3CB+2ボランチでシリアのプレスを回避

青が日本。3-4-2-1の布陣

日本はミャンマー戦に引き続き3バック。ミャンマー戦と違って2ボランチの3-4-2-1が基本。田中選手は前線に上がることができる選手ですがボランチの位置に留まりがちでした

シリアは4-4-2を採用し、日本のDFラインに積極的にプレスをかけます。2トップに加えてサイドハーフも前に出て3CBにプレス

日本は3CBがGKと2ボランチを上手く使ってプレスを回避します。3CBが2ボランチからリターンをもらってプレス回避するパターンが多く見られました。田中選手がボランチの位置に留まりがちだったのはプレス回避の支援のためでしょう。良いプレス回避だったと思います

左は個人技、右はコンビネーションで崩す

相手のファーストプレスを回避した後、日本は擬似カウンター的に一気に相手ゴールに攻め込みます

左サイドは中村選手の突破からチャンスを作り、右サイドは久保選手、堂安選手がポジションチェンジしつつ、そこに冨安選手のオーバーラップも加えて相手のマークをずらしてチャンスを作りました。総じて良い感じの攻撃でした

ただ、やや改善の余地があるように感じます。中央にパスを差し込む場面が少なく、サイド突破に頼った感がありました。これには、日本のシャドーがボールを貰いに戻り過ぎた点が影響した気がします。シャドーがボールを貰いに行くと相手4バックに対して数的優位が出来にくいです。そうなると前線にボールを差し込みにくくなり、結局サイドか相手の中盤の手前でボールを回す形になってしまいます

3得点できましたが、それはシリアが前からプレスをかけてきて擬似カウンターが打てたことが理由として大きい気がします。ブロックを組んで守られた時に上手く崩せるかはもっと見てみないと分からないと感じました

前からの守備が嵌まらず

そして何より懸念したのが日本の前からの守備が嵌まらなかったことです

日本の守備。相手のSBが空きがち

日本は上田選手と久保選手が敵2CBにプレスに行く形。ただ、 敵SBが空きがちで、そこからパス交換で前線までボールを運ばれることが多かったです。シリアがロングボールをあまり蹴らずに繋ごうとする中、ハイプレスで前線からボールを奪う場面は皆無でした

大きな要因にWBがDFラインに吸収されがちでだったことがあります。相手サイドハーフが前目に出てきて4トップのような形になり、日本が3CBが数的不利に。それを防ぐため日本のWBは下がらざるを得なくなりがちでした

日本のWBが下がると相手SBはフリーになりがちです。代わりに南野選手がSBにマークへ付くのも1つですが、相手の2ボランチが気になってプレスに行きにくそうでした。

結果、シリアにDFラインで結構ボールを持たれました。競合と同じように戦ったらWBがズルズル下がって押し込まれそうな気がします。3点取りましたが、個人的には危機感の方が強いです

後半

4バック化で前からの守備が嵌り出す

後半、日本は4-3-3に変更。シティのように4バック全員がCBタイプの選手という面白い取り組み

4バック変更。敵SBがフリーになりにくくなった

結果、前線からの守備は嵌まるようになりました。WGの選手がSBにプレスに行くようになったからです

左サイド中心に渋滞して効果的にボールを回せず

ただ、今度は攻撃が停滞することに…シリアが前線からのプレスを弱め(又は日本が4バックにしたことでシリアがプレスをかけにくくなった)、日本が楽にボールを回せるようになったのに効果的に回せずでした

特に左サイドが問題でした。突破タイプではない南野選手がWGとなり、内に入ったりボランチ付近まで戻ってきたりと、外に張って相手を引き付ける役割を果たせず。人の渋滞を生むきっかけになった気がします。しかも代わりにSBタイプではない伊藤選手が左WG化するミスマッチも発生。このミスマッチは今まで本当に何度も見ましたね…流石に今回はすぐ交代されましたが…

田中選手の位置取りも少し問題があった気がします。インサイドハーフのポジションを捨ててボランチまで降りがちで、シリアの4バックに対して数的優位が生まれにくくなっていました。結果中央を使えず、突破力に欠けるサイドを使うこととなり、尚更攻撃が停滞した気がします

4-2-3-1的になり、敵4バックに数的優位を作れず

田中選手は左サイドでパスの出しどころがなくなる点を懸念してボランチに戻ろうとしたのかもしれません。確かに左サイドでパスの出しどころがなくなるのはこれまでの日本の大きな課題でした。ただ、田中選手がボランチに戻るせいで伊藤選手がパスコースを作るために内に入るスペースも消えました。伊藤選手は何度か内に入ろうとしてましたが、結局外に出て行くことに。そうなるとパスの出しどころも消えがちですし、伊藤選手の強みも出ません。チームとしてやりたいことを統一できてない感じでした

その後、左WGに突破タイプの相馬選手が入り、インサイドハーフの位置に川村選手が入って大きく改善。2点を取って快勝します

今後の期待と不安

最後に今後の展望です

3バックは今のままでは強豪にやられそう

世界の強豪は4-3-3で5トップ気味にしてくることが多いです。そうなるとどうしても日本も5バック気味になります。そのまま敵の4バックに前からプレスしようとすると、1トップと2シャドーの3枚で対峙することとなり数的不利に陥ります。DFラインでボールを回された挙句、ズルズル下がってしまう気がします。カタールW杯のスペイン戦と似た形です

これは結構致命的だと感じました。別途、改善策を考えてみようと思います

4バックの課題が解消されている感もない

これまで日本の4バック時の課題を何度か分析しましたが、それが解消されている感じはしません。この試合でも左サイドでパスの出しどころがなくなる課題が見られました。4バックもまだまだ改善が必要な状態だと思います

使い分け以前の改善が必要

今回3バックで快勝できたため、今後は試合中に3バックと4バックを使い分けるような話が出ています。個人的にもそれができるとより試合を有利に進めやすくなると感じます。しかし、それぞれのフォーメーションでまだまだ課題があるので、その課題を一つずつ潰して行く取り組みが根本的に必要です。快勝ではありましたが大きな課題も見つかり、今後が不安にもなる内容でした

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