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「100分de名著-forユース-シュリーマン『古代への情熱』」;出来るだけ他者に伝わるように書く感想文㉔

「100分de名著 -forユース- 1シュリーマン『古代への情熱』」(NHK/2024)

 100分de名著シリーズの3月放送回は、forユースと題し、新卒者や入学生を対象にした本を各週で紹介するシリーズ。トリッキーな話ではなく、やる気や希望をテーマにした本を紹介していく流れになりそう。加えて、従来の放送は伊集院光さんとアナウンサーさんが聞き手、ある先生がその月の説明役となり番組は進行しているが、このシリーズでは加藤シゲアキさんが聞き手として担当し、先生役も毎週かわるイレギュラーな形式を取っていた。


例のごとく番組内容はスルー。
全力脱力タイムズ以外でこうした活動をされているのが面白かったとだけ…


 まぁ賛否は分かれるかなぁと。僕はあんまりおもしろくないなと思ってみてしまう。この番組は司会進行役のアナウンサーがおり、視聴者と目線を同じに出来る聞き手として伊集院さんがいることで、専門家が話す内容に共感した上で理解できる構造があったと思う。もちろん、伊集院さんらしい切り方の質問や、自分にはない発想の質問から話が膨らむことは非常に面白い。しかし、基本的なプロットは素人と教授のパネルディスカッションがウリの番組だと思っていた。ブラタモリ的で、ある種権威に平伏するからこそ楽しめる番組だと思う。
 しかし、ユース世代の近い聞き手として加藤シゲアキさんが入り、かつ加藤さんにも小説家としての目線で解説を求められる構造はこれとは全く異なる。加藤さんの感想に対し、それを先生である齋藤孝さんが共感する構造は、僕があまり見たいものではなかった。
 伊集院さんがTBS系の番組でおじさん世代の感覚を持った人であると、ユースの世代が認識する上で、ユースに向けた番組である今月のクールを聞き手として立ち振る舞うのは確かに違和感を感じる構造になってしまうのかもしれない。世代の近い人で、文学的な素養がありそうだという認知を受けている人をキャスティングするのはかなり難しいのかもしれないが、どうも違和感があった。この登用は適切だったのか、あるいはこの内容はこの番組でやることだったのかについて、少し残念に思ってしまった。

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