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「魔改造の夜:第9回『おトイレ ゆか 宙返り』」;出来るだけ他者に伝わるように書く感想文⑫

「魔改造の夜:第9回『おトイレ ゆか 宙返り』」(NHK/2024)

 NHKのちょっと「イカれた」番組の系譜を受け継ぐシリーズ。3チームが出場し、日本が誇る超大企業と、町工場的な中小企業と、大学のロボ研などの学生団体がしのぎを削る。決められた目標に対し、数週間の制作期間と数万円の制作予算が定められ、当日各々のチームが2回試技を行う。


 第9回の今回はロボットを数メートル走らせた後、ロボットを跳躍させ空中で1回転させたのち、地面の目標に近づけるというもの。着地、回転、目標までの距離に応じて得点が加算され、合計点で勝負がなされる。
 今回の出場チームは巨大電機メーカー・Pナソニック、金属加工プロ・下町工場のOスズ、そして理系トップレベルの精鋭T工大。結果は番組を見てください。。


 いつもこの番組を見ていて流石と思うのは、2回目の試技。エラーを想定した対策が、事前にどれぐらいなされているかということ。コンピューター制御の設定や部品の追加、さらには当日の会場のコンディションによる問題などを的確に分析し2回目に如何につなげていくかということが個人的にはこの番組の見どころのように感じている。今回も、PナソニックとT工大のインターバルには痺れた。



 ただやはり、この時代にこの番組を「ただ面白い」と思って観ていいものかということは疑問に感じてしまう。IT革命以降、サービスが富を得る手段に変わっていき、その潮流が日本を飲み込んでしまったことは否定できないはず。その潮流に乗り切れなかったからこそ、「巨大電機メーカー」Pナソニックは白物家電のシェアを失ってしまった。ヘンリー=フォードが今生きていれば、「もっと早く移動できる自動車ではなく、もっと移動しなくてよい物を作る。」と言っていた気がする。
 町工場の精密な技術に感心することは、日本人の気質や歴史観においては非常に合致したものなのかもしれないが、どうしてもこの番組を見ていると、モヤモヤとした感情が産まれてならない。

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