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「Silent Love」;出来るだけ他者に伝わるように書く感想文⑯

「Silent Love」(映画/2024)
 友人の紹介で今年初の映画観で見た邦画となった本作品。期待の閾値を下げに下げた状態で鑑賞することとになったため、ただしい評価を出来ているとは言い難い状態なのが悔やまれるところ。

 目の見えない状態の音大生と、声が出せない状態にある清掃員。育ちが違い、交わることの無かった二人関係は、手の平へのシグナルを通じて強まっていく。

 オリジナル原作による映画だと聞いた。それにしては浅いなと思った。テーマが格差なのか、共生なのか僕自身が見いだせなかったからかもしれない。節々から感じる久石譲の音楽の世界に、映画自身が乗っ取られているような気もする。
 常々、映画には音楽が必要だと思っている。その音楽は、有名なクラシックあるいは映画オリジナルのものなのか、これにどちらでも構わないが、結果として映画鑑賞後のふとした瞬間にその映画を思い起こさせる内容である必要があると思う。これが僕の中で映画を体験する際に、必須だと思う音楽である。今回のこの映画にはその音楽は無かったと思う。
 なんとも想像できる範囲に作品が収まってしまっていた。盲目の方が階段を登る苦悩、唖者が社会とかかわる際の苦悩。そのほかの様々な映画の内容によって、まったく開目させられることが無いことを残念に感じた。

 予告編を見て、期待して映画を見た人はびっくりしたと思う。
 ヘルシーな意識の高いレストランだと思ってサラダを食べに訪れたら、吉野家の牛丼が出てきたからだ。
 吉野家の牛丼で満足する鑑賞者が多くないことを祈るばかりである。

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