左利きはぶきっちょ
僕は左利き。鉛筆に野球、サッカーも目も耳も。
おじいちゃんとかおばあちゃんの世代は左利きのことを「ぶぎっちょ」という。世の中は右利きの人間に合わせてできているから、左利きは多少の不便を強いられる。ハサミなんかは専用のものを使わないとうまく切れない。
右利き用のものをうまく使えないから、それを不器用という意味で、ぶきようが転じて「ぶぎっちょ」という。
あんまりな話だと思う。けれど僕は左利きで良かった。
左利きは僕の一つのアイデンティティーだ。
しかし左利きで良かったとは思うものの、具体的にどんな時?と聞かれても答えられない。
「左利き不便あるある」をSNSに投稿し、もっと左利きをいたわれと言う人もいるけれど、僕はそこまで不便だと感じたことはない。
左利きであることを誇りに感じる。
「え?左利きなんだ」
「そうだよ」
初対面の人と1ターンしかもたない会話をするのは面倒だけれど。
腕をまくり右腕につけた腕時計を堂々と見せつけ、改札で腕をクロスしてSuicaをかざし、「左利きは天才型なんだ」と吹聴する。あの星野源だって左利きだぞ!
せっかく10人に一人しかいない左利きに生まれたのだから、「僕は左利きだ」と堂々と宣言しても良いだろう。
世の中には左利きフェチという方もいるらしい。左利きフェチの方に刺さるよう、今日も僕は腕をまくって右腕で吊革に捕まろうか。
おい、男だろ、相手から来るのを待つのではなく、自分から仕掛けたらどうだ。
自分、ぶきっちょなんで。
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