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【J1第31節ジュビロ磐田対FC東京 レビュー】

J1が一週間空くことをいいことに、FC東京戦のレビューをさぼっていました(笑)。

率直に言って、FC東京戦はどう解釈しようかとても悩みました。なので今回は、いつもより雑感多めでまとめてみます。ぜひご意見・ご感想をお待ちしております。

では早速。

〇スタメン

ジュビロ磐田とFC東京ともに前節と同じメンバー、同じ配置の442。
ジュビロはフベロ体制になり徐々にスタメンが固定。現状この11人がベストメンバーということなのでしょう。時間のない中で結果を出すためには、選手を固定して監督のサッカーの浸透を図ることは常套手段なので、こうなるのも当然。むしろ、スタメンとサブとの差が顕著になりつつあるのかなとも感じています。

【前半】
~ボールは握れど、互いにあと1手が足りない前半~


この試合のプレビューは時間の都合上書くことができませんでしたが、、、FC東京はジュビロ戦前の試合(神戸戦、大分戦)で、相手の最終ラインに対するプレス強度の高さが特徴でした(特に前半)。そのため、相手はFC東京の1stプレッシャーラインをなかなか越えられず、攻めあぐねている印象でした(下図)。

加えて、FC東京は2試合とも前半の早い時間帯で得点を決めていました(神戸戦:6, 10, 34分、大分戦:5, 7分)。なので個人的には、FC東京を相手に攻撃をどのように組み立てるのかに注目していました。

〇ジュビロ磐田 ボール保持時
ジュビロはいつも通り中盤の選手が下がり、2CBとの3人を基本としてのビルドアップ。それに対しFC東京は、前節・前々節同様に2トップをスイッチとして、前線からプレッシャーをかける立ち上がり(下図)。

そんな中、予想以上にボールを繋ぐことができたジュビロ。ポイントは左サイドでした。ビルドアップにはあまり関わらず、高い位置を取ることが多かったこたろー。対面する室屋選手は、こたろーを意識せざるを得ない状況。その状況でSHの三田選手がアプローチに行くと、SBの宮崎選手がフリーに(下図)。

ジュビロは、左サイドで浮いた宮崎選手を起点にボールを保持することに成功。また、前からのプレスに逃げ場がなくなっても、無理せず2トップをめがけたロングボールという選択肢を持っていたジュビロ。味方の状況や相手の動きに柔軟に対応できていた印象です。

前からのプレスが上手くはまらないFC東京は、プレッシャーラインを下げることに。ジュビロは余裕をもってボールを保持する時間を作ることができました。

〇ジュビロ磐田 ボール非保持時

FC東京の強みは強力な2トップ。ディエゴオリベイラ選手と永井選手の合計得点は22。今季のジュビロの総得点24に迫る2トップをどう抑えるかがこの試合の鍵でした。

ジュビロの対応は、中盤のラインを低めに設定し、2トップのプレーエリアを消すこと。それによるFC東京の最終ラインのボール保持は、許容するという選択でした(下図)。

上述した理由から、最終ラインでのボール保持はできた両チーム。ブロックを作り中央を固める相手に対し、サイド、あるいはトランジションから決定的なシーンは作るも、両ゴールキーパーの活躍もありスコアレスで前半終了。両者、あと一歩決め手を欠く内容でした。

【PKシーン】~判定よりも注目すべきもの~

ボールは持てる。ではどのように得点するか、が焦点の後半。開始早々に試合が動きました。こたろーが室屋選手を倒し、FC東京がPKを獲得。これをディエゴオリベイラ選手が確実に決めて、FC東京が先制。

このシーンの判定にはいろいろな意見があると思います。リプレーを見ると激しく転倒する程の接触があったかは疑問であり、VARがあればもしかしたら。。。とは思ってしまいますが、無いものは無い。ですので、ペナルティーエリア内で足を不用意に出したことが全てであり、ペナルティーエリア内での守備経験の不足が露呈してしまったのだと思います。

しかし、SHとして相手SBの裏への飛び出しに対するケアを怠らなかったことは素晴らしかったと思います。攻撃はチームの中で機能し、守備でもペナルティーエリア内まで戻って守備。SHがこたろーの適正ポジションであるのかは分かりませんが、フベロ体制が442でありSHの層が薄い現状で、SHとして活躍が計算できることはとても大切だと思うので、この失敗を次に活かしてほしいです。

文句を言っても判定が覆ることは無いので、自分たちではどうしようもない部分に目を向けるのでなく、ペナルティーエリア内に侵入されたという事実に注目してみます。注目は2点。

①アダとルキアンの深追い
②岡崎選手のポジショニング

①PKを取られる1つ前のシーン。FC東京は右サイドで手詰まり、ゴールキーパーまでバックパス。これに対しジュビロの2トップは、同時にキーパーへプレス(下図1枚目)。→林選手はダイレクトでパスを出し、プレスを回避(下図2枚目)。

ジュビロの1stプレッシャーラインは機能しなくなりました。

②ジュビロの1stプレッシャーラインが機能しないことで空いたスペースを利用し、FC東京はCB(岡崎選手)が持ち出し(下図)。

これにより室屋選手の高い位置取りが可能に。持ち上がった岡崎選手に対しこーすけがアプローチ。しかし、サポートに橋本選手が近づき2対1となり、距離を詰められない状況を作られました(下図)。

最後は、フリーの橋本選手から裏抜けした室屋選手へ浮き球のパス(下図)。

PKシーンの前にペナルティーエリア内に運ばれた点に着目すると、ジュビロの2トップが深追いしたことによる、1stプレッシャーラインの機能不全が理由として挙げられます。ジュビロは、後半開始とともに前への意識が強くなっていたように感じましたが、その”前への意識”が裏目に出てしまったように見えました。

【戦術アダイウトン】
~交代選手の活かし方~


失点後、ジュビロはこたろーに代えて大久保選手を投入し、アダイウトンが左サイドに。ここからジュビロはアダイウトンを中心に攻めることになります。アダイウトンを左に置きたかったというよりは、左サイドを任せられる攻撃的な選手がアダイウトンしかいなかったのだと思います。

続いての交代は、松本選手に代えて荒木選手。この交代により左サイド(アダイウトン)への依存度がさらに増しました。理由は右サイドと左サイドでSHとSBの関係性が異なるからです。

アダイウトンは数的不利の状況でもボールを運べるため、左SBの宮崎選手はあまり高い位置を取らずアダイウトンのプレーエリアを確保(下図)。

インテルに移籍した当初の長友選手 (左SB)が、エトー選手のプレーエリアを邪魔しないように、とレオナルド監督に注意されたことが思い出されます。

一方の右サイド。
大貴は宮崎選手よりも高い位置を取ります。スタメンだった松本選手は、もともと中盤の選手であり狭いエリアでのプレーを苦としないため、狭い局面でも問題ありません。しかし、荒木選手は狭い局面でのプレーを得意としていません。また局面を打開できる突破力も見せられず、存在感をなかなか発揮できませんでした(下図)。

小川選手が悪いと言いたいのではなく、チームとして交代選手の活かし方を落とし込めていない(落とし込む時間がない)のかなと感じてしまいました。これにより右サイドからの攻撃は停滞し、ますます左サイド依存へ。

最後の交代は、こーすけに代えてより直線的なプレースタイルでゴール前の迫力に特徴があるムサエフ選手の投入。ジュビロの攻撃は横の揺さぶりが少なくなり、ついに戦術アダイウトンの完成。ほぼすべての攻撃をアダイウトンのドリブルに依存することに。

中央に待ち受けるのは、ルキアンの他に大久保選手や荒木選手。大井選手も終盤にはゴール前に上がる場面が多くなりましたが、交代でゴール前の迫力を増せるメンバーになったかと言われたら、うーん。。。という印象です。
FC東京側から見てどう感じたのかは興味があります。

FC東京は、渡辺選手の負傷交代で投入された岡崎選手がPKシーンの起点になり、大森選手、田川選手はアダイウトンのケア、前線へのプレスでそれぞれ役割を全う。

この試合で感じたのはジュビロの選手層の薄さ、スタメンとベンチメンバーでサッカーの内容が大きく変わってしまうことでした。

【残留争い】

残留争いをしている他クラブの成績は、14位名古屋と15位鳥栖がそれぞれ勝利し、順位を12位と14位に。下位3チームが敗れて停滞。

15位エスパルス (勝ち点35)とジュビロ (勝ち点25)の勝ち点差は10に。残り3試合での逆転(自力残留)は不可能となりました。残留へ残された道は16位での入れ替え戦勝利のみ。現在16位湘南 (勝ち点31)、17位松本 (勝ち点30)との勝ち点差はそれぞれ6と5です。

下位3チームの残り対戦相手相手を見てみると(下図、かっこの数字は順位)、

松本と湘南の直接対決が最終節に。。。

(最終節の結果)
①湘南が松本に勝利した場合
→湘南の勝ち点は最低でも34。ジュビロは3連勝した場合のみ勝ち点が34。
②松本が湘南に勝利した場合
→松本の勝ち点は最低でも33。ジュビロは3連勝した場合のみ勝ち点33を上回る。
③松本と湘南が引き分けた場合
→湘南の勝ち点は最低でも32。ジュビロは2勝1分で勝ち点が32。

したがって、ジュビロは次節札幌戦に負けると降格が決まってしまいます。
奇跡の残留を果たすためにも勝つしかないジュビロ。
徐々に試合内容が上向いているジュビロ。

次節の試合当日は吐きそうだな。。。と思いつつ、F東戦のレビューを締めくくります。

最後までご覧いただきありがとうございました!

心燃やせ~声を上げろ!全ては磐田のために~♪