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【PickUpMatch】#015.再現性を求めるべし。不調2クラブで見る「上手くいかない」とは何か。

 昨年のルヴァン杯王者FC東京とリーグ2位のガンバ大阪が苦しんでいる。FC東京はスタートダッシュこそうまく行ったが、直近はなかなか勝ち星が付かずリーグは中位と不甲斐ない成績だ。
 もっと大変なのは西の雄ガンバ大阪。開幕してすぐにコロナウイルスの影響もあり、活動できない事情もあったにせよ、リーグ戦は下から2番目と降格圏に沈む。
 両チームとも復調のきっかけを掴むべく、味の素スタジアムで行われた一戦を取り上げてみたい。

Topic①:チームとしての共通理解

 このゲーム結果から言うとFC東京が開始早々の1分に先制ゴールを奪い1-0で勝利を収めた。
 開始直後のはっきりしたボールの蹴り合いから、中盤でセカンドボールを拾うとあっという間に右サイドを崩し、ディエゴオリヴェイラが中で合わせ得点を奪ってしまった。

 傾向として、立ち上がりははっきりプレーしようというチームが多く、敵陣でのプレーを好むチームが多い印象だ。
 試合の主導権などどちらに転んでもおかしくない試合開始直後は特にだ。そんな中、前節柏レイソルに勝利し、改めて前線からのプレッシングを意識付けしていた東京に対し、ガンバ大阪の中盤の戻りは遅れた。そこを突かれて失点し、その虎の子の一点が命取りとなった。

 まず、ガンバ大阪の話からしたい。攻撃的に行きたい前線の選手とまずは失点したくない守備の選手。試合に対する考え方そのものが食い違っているように映ってしまった。
 ここまでシーズン全体でも得点数が少なく責任を感じているが故だろうが、それも含めて監督がマネジメントしなければならない。

 Jリーグとはとんでもなく怖いリーグなのだ。一度歯車が噛み合わなければ簡単に降格が現実味を帯びるリーグだ。

 語弊を恐れずに言えば、ガンバ大阪の舵取りは長年遠藤保仁という心臓によって一任されてきた。攻撃のリズム、テンポ、ゲームの流れはこの選手が握っていたと言っても過言ではない。
 ただ、もう遠藤保仁はいない。クラブとして目指す方向性を監督人事含め考え直さなきゃいけないのだ。

 少し逸れたが、このゲームに話を戻せば、チームとして戦いが定まっていない(準備ができていない)シーンが散見された。
 例えば、69分のパスのズレ。このシーン解説を担当した戸田和幸さんもコメントしているが、このズレがチーム内の不信感を生み、流れを止める。技術的なミスであれば、次改善すればいいが、コミュニケーションや意思のズレは難しい。そんな象徴的なシーンだった。

 何度も言うが、今年は降格するクラブが4チーム(例年に比べ1チーム多い)ある。クラブとして打ち手を取らなければ降格まっしぐらだと思う。(正直ACLを戦っている場合ではないように映る、、。そしてこう言うときに限ってACLは勝ち上がりそうな気もする)

Topic②:得点パターンの不足が例年の課題

 一方、FC東京に目を向けても決して手放しで勝利を喜べる内容ではないだろう。勝ち点3を取ったという意味では何よりだけれど、中位に甘んじるクラブではない。
 長谷川健太監督の体制になり、規律統制の取れたハードワークをベースに、組織が大崩れすることは減った。
 さらに言えば、強力なフォワード陣が個の能力を発揮し、ショートカウンターを完成させ切るシーンも見られる。ただここへきて、得点が奪えなくなっているのだ。

 昨年のシーズンはまだ良かった。リーグに降格がなく、多少失点したとしても攻撃的なスタイルを維持できるクラブが多かった。(つまり、前に厚みを持たせ、攻撃的にサッカーができた)ただ、降格がある場合、どうしても守備的にならざるを得ないクラブが出てくる、そういうチームを崩せないのだ。

 このゲームにおいてもそうだ。開始早々の得点で一歩前に出たが、その後はチャンスらしいチャンスはなかった。
 もちろんガンバ大阪の名手東口が最高のポジショニングでピンチを未然に防いでいたということは言えよう。
 ただ今のFC東京には攻撃を完結するための型が存在しない。言い換えればこの形に持ち込めば得点が奪えるといった共通理解を持ち得ていないのだ。

 そして、これは僕にはチーム全体だけの問題には思えず、個人の意識にも問題を感じるのだ。
 普段の自主トレやシュート練習でどれだけ試合を想定しているのか、いわゆる形を持てるかを意識できているかが足りないような気がする。(あくまで僕の見解です、、。)チームとしての形があって、だから俺はこういうボールの受け方が多くなる、つまりこういうシュートの形になるだろうと考えなきゃいけないし、崩しの形があるからシュート練習の仕方も変わるはずなのだ。
 高萩洋次郎という名パサーが中央に君臨しているわけだし、いいパスは少なからず出てくるはずだ、もっと意識を持ってトレーニングすべきだと思う。

Topic③:光明はある。あとは再現できるか。

 FC東京もガンバ大阪ももっと上の順位にいるべきクラブだ。解説の戸田和幸さんもおっしゃっていたが、配置は悪くないし、能力の高い選手も多い。
 FC東京であれば、安倍柊斗のように中盤でハードワークできる魅力的な選手がいるし、右サイドバックで存在感を増す内田も素晴らしいアシストをした。
 ガンバ大阪も成長著しい塚本大がスタメンを飾れば、左サイドバックの黒川圭介は左足のクロスの精度は高い。何よりゴールキーパー東口の安定感は抜群だ。

 チームとして再現性を持てるか。こういう上手くいかないときに選手のせいにしたり、気持ちが足りないというようになっては次はない。クラブとして言語を持ち、浸透されこの難局を超えれば必ず強いクラブの礎になる。
 両クラブとももがきながらだが、より逞しく強いクラブになってほしい。後半戦に向けて期待を込めて。

 それでは。

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