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【PickUpMatch】#010. 好循環を生み出すサポーターと選手の信頼関係

 早いもので2021年Jリーグも開幕してから第10節を迎えた。
 新型コロナウイルスによりクラスターが発生してしまったチームはリーグ戦開催を一時的に停止せざるを得なかったが、ここまでは大きな問題もなくJリーグは進んでいる。

 首位を直走るのは、今シーズンも無類の強さを誇る川崎フロンターレだ。ACLによる前倒し開催の影響で既に一試合多い11試合を戦っている川崎は、ここまで10勝1分と未だ負けなし圧巻の強さだ。
 そんな川崎フロンターレが聖地等々力にサンフレッチェ広島を迎えたゲームをレビューしていこう。

Topic①:ピッチで見られる選手同士の相互信頼

 今シーズン僕は特定のチームに絞らず多くのゲームを見ているが、フロンターレにおいて目に引くのは他クラブに比べ圧倒的に選手同士でプレーを褒め合うシーンが多いことだ。
(※あくまで個人的観測です)

 例えば、前半42分のシーン。
 中盤で脇坂が広島の守備網に引っ掛かり、ボールをロストするとジュニオールサントスが即座にフロンターレ守備陣の背後に抜け出そうとした。
 一発逆襲を喰らう場面をチョンソンリョンの巧みな飛び出しがピンチを未然に防ぐこととなったシーンだ。
 実況の野村さんも触れていたが、ディフェンスリーダーの谷口彰悟はすぐさまグーサインをチョンソンリョンに送り、ナイスプレーを讃えた。

 このシーン以外でも、家長へのパスが例え流れたとしても、見ている場所やプレーに対してナイスプレーのサインが送られる。
 「おい、ちゃんとパス出せよ」ではなく、「見てるとこはいいぞ」の合図がどれだけ味方(特に若手)の思い切ったプレーを増やすだろうか。結果は火を見るよりも明らかである。

 このゲーム、調子を上げている遠野大弥がスタメンとして2列目にポジションを取った。もちろん、このゲーム彼にとっては反省の方が多く残るゲームだったであろう。
 でも、体を半身にして中盤で前を向こうとするプレーや、貪欲にゴールを目指す姿勢はいつも通り際立っていた。
 仲間の信頼があり、讃えあう雰囲気があるからこそ、例え調子が良くなくてもチャレンジし続けてチームにいい影響を及ぼす。
 シーズン全体で見れば、多くの選手がチームに溶け込み自分を発揮できる。そんなクラブになっていると僕にはうつった。

Topic②:サポーターの拍手がクラブを育てる

 川崎フロンターレというクラブを語る上で絶対に外せないのは12人目の選手とも呼ばれる「サポーター」の存在だ。
 試合前に全員で川崎市民の歌を歌うほど、和やかなサポーターだが、近年メキメキと観る目を養いはじめている。
 チャンスシーンやビッグセーブなど、ゴールに繋がるプレーは誰にでも目を惹きわかりやすい。こういったプレーにももちろんフロサポは惜しみなく拍手をする。
 ただ、それだけではない。チームのために汗をかいたり(もう一つ余計に守備タスクをこなしたり)するプレーに対して拍手が送られるのだ。プレー後すぐにだ。

 そういう意味で言えば、前線のレアンドロダミアンのプレッシングや、田中碧のボックストゥボックスでのハードワークは、サポーターと一緒になって鍛え上げた賜物なのかもしれない。
 たとえ、声が出せなくても、拍手と手拍子で選手を後押しする。そんな光景が各地に広がり、日本サッカー界の成長をみんなでつくっていけたらいいなと思う。

Topic③:勝ち切れない理由は自分にベクトルを向ける

 勝つのがあたりまえとなったクラブは大変だ。この日なかなか2点目が奪えずサンフレッチェ広島と引き分けに終わったフロンターレの選手たちは一様に悔しさを顔に滲ませていた。
 でもそれは、暗さとは違う、もっと強くなりたい、もっと圧倒したいという現れのようにうつった。

 まったく奢りではなく、広島というクラブの強さも理解しリスペクトする。その上でなんで得点が奪えないのか、勝ち切れないのかを各々が自分ごとにしていた。
 どんな組織も自分ごとになると強い。日々のトレーニングから一人一人の意識が変わるからだ。フロンターレというクラブがJリーグを牽引しつつも、このフロンターレというクラブを圧倒するクラブが出てきてほしいという期待を込めつつ、このブログの結びとしようと思う。

 それでは。

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