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☆検索結果は果たして正解をもたらすのか?

はじめに。

 人口の約7割に普及したスマートフォン。
 なにかわからないことがあったとき、人に頼るより先にググる(Googleで検索する)人も多いのではないか。

 巷では、「Google先生」と呼ぶ人もいるようだし、記憶レベルでは人間はこいつに敵わない。
 さて、今回はそんな検索にまつわる変遷を追いながら検索結果と正しさについて書いてみたい。

フェーズ1:スマホ普及以前の時代

 まず、スマートフォンが普及する以前について思い出してみたい。
 僕は平成7年生まれだが、子供の頃どうやって知らないことを解消していただろうか。

 友達に聞く、お母さんに聞く、先生に聞く、とにかく信頼できる人に教えを請うていたのではないか。

 小学生に上がると、人によっては自分で辞書を開いて調べてみることや、本の中から知識を蓄えるということを自然にやっていたと思う。
(この記事では辞書で調べてたからえらいとか言うつもりは全くない。)

 情報に接するという行為が能動的であり、自ら求めなければなかなか知りたい情報に出会えないという時代であった。

 その時代では、「知っている」「知識がある」ということが何より重要視され、意味はないけれど覚えていることが世の中から評価される基準だった。
 (これが学校でいう優秀な生徒の定義なので、僕はかなり苦しんだわけだけど、、笑)

 知らずのうちに知っているという状態はあまりなく、情報の確度は「テレビで言っていた」とか「(信頼できる)〇〇さんが言っていた」とどこで聞いた情報なのか、誰が言っていた情報なのかが重要であり、情報の出所がその価値を高めた。

 僕も小さい頃はよく言われた。
 「だって先生が言ってたもん。」と。
 このことは、絶対的な存在であればあるほど情報の信頼性は高まることを象徴している。
 人ではないが、「だって教科書に書いてあるもん。」もよく言われたなあ。
(うるせえ、なんで教科書が正しいって分かるんだって思ってたけど、、。)

 スマホ普及以前は、「先生」や「教科書」といった絶対的な存在が正しさの基準だった。

フェーズ2:検索上位という時代

 スマホが普及すると、私たちの知りたい情報は基本的に手のひらの中にすべて収まる状態となった。
 知りたいこと、分からないことがあればGoogleを開き、検索窓にキーワードを打ち込む。
 インターネットという謎のネットワークが瞬時にサイトページを呼び起こし関連のありそうなサイトを順番に表示する。
 そうして、知らなかった情報を私たちは瞬時に手に入れられるようになったのだ。

 ある種の革命だった。
 だって、正しさの条件が「先生」から「Google」へと移ったことを意味しているから。

 でも本当にGoogleなのか。
 ふと立ち止まって考えたい。
 Googleの検索上位はどのように決まっているのか。
 いま僕は正しさとは「Google」と言ったばかりだが、もしかすると表示ページのアルゴリズム次第では別の可能性もある。

 正式にはアルゴリズムの全容は開示されていないが、Google独自のアルゴリズムによって、多くクリックされているページやサイト回遊率が高いページが上位に表示されているらしい。

つまり、多くの人が「これだ!」と思ったページ(関連のありそうなサイト)が多数のクリックを集め、それをアルゴリズムが判定して上位に表示されているということになる。
 このことは見方を変えれば、みんなが正解だと思っていることが、正しさの基準になっていることを意味している。

 要は、多数が正しいと思い込んだものが上位に表示され、それをまた見た人が正しいものと認識し理解していくサイクルだということだ。
 これがいいとか悪いとかではなく、そういう構造なのだということを理解しておくことが重要なのだと思う。

フェーズ3:検索上位を巡り企業が取引をする時代

 ここまで、インターネットが普及したことによる正しい情報に行き着くまでの変遷を追ってきた。
(多少脱線しているが概ね伝えたいことはかけていると思っている)

 多数の人がよく閲覧していたり、関連の高いと思われるホームページやサイトが上位に表示されることは前述の通り。
 実はその「枠」が取引されていることを知っているだろうか。

 取引と書くと少し強い印象があるが、決してそんな怖いことではなくて、広告枠として配信できるということなのだ。
 ユーザーが検索すると考えられるキーワード(出したい広告に関連があるキーワード)を選定し、そのキーワードが検索された際に広告が配信できる仕組みだ。
 (これを業界では検索連動型広告やリスティング広告と呼んだりする。)
 ※詳しくは「ネット広告」でググって見てほしい。みんなが正しいと思っている情報が上位に来ているはずだ。

 いままでは、検索したい事柄に対するGoogleの回答は、「世の中の人が多くクリックをしている」や「関連度の高いと考えられる」サイトやページの表示であった。
 これが、今ではある特定のキーワードに対して、企業がユーザーに伝えたい事柄が表示されるような構造になっているのだ。

 何度も言うが、この構造が悪いと言っているわけではないし、企業側もユーザーを騙そうとなんて微塵も思っていない。
 でも、この構造や仕組みを理解しておくことはきっと重要なことだと強く思う。
 自分が特定の情報を見誤らないようにするために。

 ここまでくると、正しいと考えられる情報はどこにあるのか。
 そもそも正しさを求めることすらナンセンスのように思えてこないだろうか。

 知っている、知らなかったはもはやそれほど重要ではなくなった。そもそも正しいはどこにもあるし、どこにもないのだ。
 それよりもある情報に出会った時に、複数の視点を持つことだったり、自身の判断軸と照らし合わせることができるかが重要だと思う。
 だって、なにが正解かなんてもう誰にもわからなくなってしまったのだから。

「検索」
 情報と出会うまでのスピードは格段にはやくなったし、手軽になった。
 だからこそ一度立ち止まって、ゆっくり咀嚼してくれる人が1人でも増えてくれればと思う。

それでは。

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