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【読書日記006】”はたらく”を問い直す。

新しい言葉を知ること。それは、世界を新たな切り口で理解すること。だと思う。
特定の領域に絞らず、広い視点で本を選定していくことも読書の世界を広げていく上で、大切だろう。ということで今月も読んでいく。

#031. 新東亜論 -原洋之介 ◎

欧米が世界を主導した時代は、あきらかに終焉している。(中略)ユーラシアという大地の上に存在しているアジアにおいては、その政治・経済・社会空間の多元化・分化こそが、21世紀の最大の戦略とならなければならない。

p.18

本書は、「文明の生態史観」で述べられていた文明史を前提に、ふるい進化史論を否定する。
そのうえで、アジアは、ひいては日本はどのようなふるまいを目指せばいいのかを展開していくのである。
僕がTopicとしてあげたいのは次の3点。

①周辺文献の充実
ー『科学革命の構造』『文明の衝突』『一万年目の「人間圏」』など本書を軸に読みたい本の数が増えた。
②日本は、「孤立文明国」
ー国家も、自国と同じ意見を持つ国と取引をする、つまり経済協力の基盤は、文化の共有である。
③21世紀の大きな問題
ー世界で「文明の衝突」が顕在化しはじめている今。交通・通信・情報の技術が著しく発達し、市場・情報圏が統合されつつあるがゆえに、各地域・国で文明・文化の差異が顕在化しているのだ。

#032. 新しい労働社会 ー雇用システムの再構築へ -濱口桂一郎

日本型雇用システムの本質を浮き彫りにし、システムの再構築をイシューにした一冊。
【前提】日本型雇用システムの特徴は、職務という概念が希薄なことにあり、雇用契約それ自体の中には具体的な職務は定められていない。
⇒ここから、さまざまな雇用システムに影響が出ていることを解き明かしていく。①女性労働者 ②非正規労働者 これらの問題が顕在化している。

そもそも、日本という国は、ある問題に対して解決していくことにたけており、状況対応の国だと思う。
だからこそ、システム全体を捉えなおしたときに、誰かが仕組みを整えていく必要があるのだろう。
個別の事象(裁判例など)を見て批判するだけでなく、物事の全体を踏まえた大局を俯瞰しなければ見えないものがあることを本書は教えてくれた。

#033. 総理の夫 -原田マハ ◎

輝く女性を描かせたら、原田マハさんはピカイチだろう。
女性だからこそ、見える視点で本作品は描かれ、もし女性が総理だったらどうなるのかをまさかの”夫”の視点で描くという設定からすでに楽しい作品。

夫としての苦悩や、女性ならではの悩みを総理としての悩みだけでなく、日本社会全体の問題(イシュー)として受け止め、描いていく。
エンターテインメントでありつつ、社会への提言を混ぜ込んでいく原田マハスタイルに驚嘆させられた。
本当にすごい作家だと思う。

#034. Forbes7月号 -新時代の大富豪たち

Web3ブームが到来し、「暗号通貨・NFT・DeFi」など新しい波が到来している。そんな波に乗った時代を突き動かす人物を軸に、トピックを概観した。

今回気になったトピックはこちら、ナイキの事例が出ていたが、「消費者に直接攻める」という戦略から、「デジタルで消費者への直接的な働きかけを加速する」戦略への転換、と、”健康”や”運動”など直接的には売買には影響を与えない文脈がデジタルにおける切り口になり始めているのだ。

#035. Forbes2月号 -未来はすでに始まっている

やはり潮流はデジタル。
未来を描く上で切り離せず、DXとは何かという大枠からとらえていくことが重要になる。
2月号は、コロナのパンデミックと企業がどう向き合うかを中心に、業務の効率化だけではないDXの考え方を世界中で問題提起して悩んでいる状況なのだろう。

DXを成功させるには、”効率化”だけでは不十分。ユーザー体験を高め、売り上げ向上につなげることを目的としていくことが重要であると説く。
ただ、ユーザー体験を高めるためには、もう少し解像度を高める必要があると僕は思う。
つまり、ユーザーと密にやり取りができるチャットシステムを構築するのか、宅配の状況をリアルタイムでオンラインで把握できる状態を目指すのかなど、ゴール設定をどう置くかを意識する必要があるはずだと思った。

6月は5冊。
「総理の夫」も7月の参議院選挙に向けてタイムリーな話題で、とても楽しかった!
半年で35冊。(個人的にはすこし少ない…。)
積読本が溜まっているので、ガシガシ読んでいきたいと思う。

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