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【PickUpMatch】#003.新たなスタイルの確立へ。歩みはじめた桜とオレンジ。

 第3節は週半ば水曜日。平日開催のJリーグ。
 オリンピックが予定されている今年で、かつチーム数が通常より2チーム多い(昨シーズン降格がなかったため)今シーズンのサッカーカレンダーはタイトだ。
 スタートダッシュに成功したチームこそ波に乗れるが、うまくいかない試合が続くと苦しいのは例年以上。

 今シーズンから監督が交代した両チームは開幕戦から目指すスタイルをピッチ上で表現しており、これからが楽しみな2チーム。
 今回はセレッソ大阪がホームに清水エスパルスを迎えたゲームをレビューしていく。

Topic①:エスパルスが得た共通意識の高さ

 開幕節を見て、この記事でも触れたがとにかく守備時のチーム全体の共通理解・共有した絵のレベルがものすごく高い。
 特にこの試合前半は前線から高い強度でプレスをかけ、エスパルスの狙いがいかんなく発揮されていた。

 前半10分、早速印象的なシーンが見られた。セレッソのビルドアップの際、エスパルスの3トップが連動してプレスをかけたが、中盤ボランチの選手にパスを通されてしまう。(DFの間を通された)
 通常、自陣方向にボールが通された場合、より前にいる選手は自分の背後にボールが入るため、守備としては無力化することが多い。しかしロティーナ監督の元では無力化は許されない。
 すぐさま、全体を押し下げながらフォワードもボールと同列のラインまで戻るのだ。

 この戻る位置の把握と徹底により、相手チームは前にボールを運んでいるのに、ゴールが遠い錯覚に陥る。
 進んでいるのに、進んでいないように感じるのだ。そのため、ボールの出し所は横方向が増える。ロティーナ監督が指揮する清水の狙い通りに相手の攻撃を停滞させる。

 (一方で、)ちなみだが、セレッソの守備はかなり気になる。前半4分、10分と立て続けにクロスから決定機を作られる。
 両方とも中盤の戻しの位置が悪く、センターバックの前のぽっかり空いたスペースを使われてしまったシーンだ。
 さらに言うとコーナーキックを与えてしまうシーンが今シーズン多いような気がする。もちろん状況によって、コーナーキックに逃げるシーンはあっていいが、蔑ろになれば失点の機会は増えるに違いない。
 上記から、今シーズンのセレッソは乱打戦が増えるのだろう(まあファンも含め撃ち合い上等といったところか)

Topic②:セレッソが得た2列目の自由とアイディアの豊富さ

 今シーズンのセレッソ大阪は見ていて楽しい。とにかく攻撃のバリエーションが多い。
 ポジションを入れ替えながらボールを後方から引き出し、前を向けばなんでもできる選手たちが前線にそろっている。
 そして、最後方にはフィードに長けたオリンピック日本代表候補の瀬古歩夢がいるのだ。

 典型的なシーンが60分のシーン。このパスが前半は通らなかった。
 このパスが一本通ると清水の選手の体向きが一瞬自陣方向に向くのだ。その結果チーム全体が瞬間的に止まる。(選手たちをピッチ上にピン留めし棒立ちにできるのだ)
 その一瞬のずれが、ゴール前への大きなずれへと繋がる。
 崩れた守備網はなかなかすぐには修復できない。エスパルスの守備陣系が崩れ出す。ボールホルダーに対しアプローチに行ったが、裏のスペースが空いた。
 この空間を見つけた坂元は見事だった。

【コラム】坂元達裕
 タツのことを書くつもりではなかったけど、この選手の試合を追う毎の成長は眼を見張る。

picupシーン:58分坂元が敵を得意のキックフェイントで外したシーン
 ドリブルの懐の深さ、タイミング、中盤でも切れ味を発揮している。局面を個人で打開し、アタッキングサードに持ち込むプレーを見せた。それだけではない、この試合において、ペナルティボックスに入るタイミングが抜群に良かった。このシーンでももし速いボールが抜けてくれば坂元に決定機だった。

pickupシーン:77分。ピッチ上で、唯一動き続け、エリア内で決定的なシュートを打ったシーン。
 中盤でゲームを作り、エリア内で決定的なシーンに絡む。時には停滞した攻撃をドリブルと前への推進力で打開し局面を変えてしまう。
 お世辞でもなんでもなく、あのセレッソ時代の香川真司を彷彿とさせるプレーぶりに、桜の「8番」を背負った坂元達裕というプレイヤーを想像してしまった。

Topic③:最後試合を決めるのは結局「役者」の存在だ

 このゲームを決めたのは、セレッソ大阪の10番清武のダイレクトボレーだった。
 坂元のクロスにタイミングを合わせ、ボールをふかさないよう体ごと倒して面で捉えに行く技術はJリーグ随一。
 サッカーセンスの塊みたいなエースの貫禄を見せつけた。

 結果こそセレッソ大阪に軍配が上がったが、決して清水エスパルスのサッカーが悪かったわけではない。
 試合後にエスパルスのロティーナ監督が選手に労いの声をかけていたことからも、ロティーナ監督の目線は次を向いている。日に日に良くなっている実感があるのだろう。
 清水エスパルスに現れる「役者」は誰なのだろう。今後のオレンジ軍団からも目が離せない。

 それでは。

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