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【PickUpMatch】#021.片野坂監督の苦悩。攻めと守りのバランスについて。

 残留争いを繰り広げる両クラブ。
 今節は片野坂監督率いる大分トリニータを取り上げ、残留に向けた大分トリニータの現状を深掘りしてみたい。

 もともと大分トリニータは細かいパスワークを駆使し、低い位置からも論理的なビルドアップで前進していくクラブだ。
 昨年もこのサッカーでJ1の強者達を倒し続けた。ただ今節は主力選手が引き抜かれるなど戦力ダウンも否めず、ここまでなかなか勝ち点を積み上げられず苦しんでいる。

 そんな中、片野坂監督は守備にメスをいれた。基本的な陣形を3バックとして置き、相手がボールを持てば5バックを形成してブロックを敷く。前半早い時間での失点を可能な限り減らすことでゲームプランを壊さず戦いたい意図が見えて来る。

Topic①:立ち上がりはローリスク。陣形を保つ。

 勝てない試合が続くとどうしても失点をしないようゲームを進めたくなるものだ。

 監督が描くゲームプラスはどうしても堅いものとなり、先に失点することだけは避けたいという心理状況になる。

 そして、それは選手やチーム全体に波及する。好転する場合もあれば、逆に選手達に硬さが出てしまいマイナスに運ぶこともあるのだ。サッカーとは難しいものである。

 前半10分。原のクロスから中でカルリーニョス!大分のディフェンス陣が身を挺して守ったが、決定的なシーンを作った。

 このシーンの直前、片野坂監督がベンチから大きな声で逆サイドの選手に下がるよう伝えていたが、流れに対するポジショニングが違うことを捉えて言ったのだろう。

 前進したくなる気持ちはあれど、立ち上がりはリスクを負いたくない。そんな想いが透けて見えた。

 選手達もわかっているのだろう、ただ全体として自信がなさそうにうつり、どこかやられてしまうのではないかという不安を持ちながらプレーしているように見える。

 最終ラインの前でブロックを敷いているにも関わらずなんか心許なく、サイドからのなんでもないクロスをリスクに感じてしまうようになる。

Topic②:我慢しながら、チャンスを伺う。

 後半も清水エスパルスペースが続く。
 ただ、中央は5-4で選手を並べている大分のため、なかなか縦につけることはできず、サイドからの攻撃に終始させられてしまうことになる。

 「苦しい時間帯は全員で声を掛け合って守る」そんな監督の意思が選手全体に伝わっている印象だ。
 本当にいろんな経験をされている監督なのだろう。守備の仕方が明確そのものだ。

 61分。町田がドリブルで前進を見せる。
 空いたスペースがあれば、前に運ぶ、この数十メーターのドリブルが全体を押し上げ、相手を押し下げるのだ。
 クロスボールから最後は長澤のヘディングシュート。惜しいシーンを大分が作った。

 ただ、耐えていたものの、66分。
 コーナーキックのこぼれをバウドが折り返すと、中で合わせたのは原!
 清水エスパルスが貴重な先制点を奪い取った。清水エスパルスとしては、セットプレーのキッカーに西澤が戻ってきたのは大きい。

 5バックで中を固めながら失点せずに戦っていたトリニータもセットプレーで一点をもぎ取られてしまうと苦しいものがある。

 特に清水エスパルス監督であるロティーナ監督は守備の組織には定評があり、強固なブロックを作ることができる。

Topic③:光は見える。残留に向けた鍵は。

 大分トリニータは今が正念場だ。
 浮上のきっかけ、それさえ掴めばうまくハマるはずなのだ。

 片野坂監督を選手、サポーターみんなが信じること。片野坂監督が選手達、チームを信じ抜くこと。

 そして、加入が想定される藤本が得点を奪うこと。ボランチの下田も、中盤の町田も片野坂監督のサッカーを理解しているし、それを実現できる力のある選手達だ。
 苦しい状況だからこそ、チームとしてさらに逞しくなってほしいと思う。

 清水エスパルスに先制されてからの大分トリニータの攻撃は良いシーンもたくさんあった。前向きに戦い続けるだけだと思う。
 また大分トリニータはレビューしよう。

 それでは。

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