『A子の日記』 最終話

「んー!」思いきり伸びをすると体が若返ったような気がした。朝の気配が病院を足元から照らし始める。鋭い風が汗ばんだ髪をかきあげた。「あ!」頭上に佇む朝と夜の狭間。南北に伸びるその帯を指さし言った。「やっとみつけたわ。あなたの色」朝に溶けて消える。最期まで私はその群青を見上げていた。