『A子の日記』#6

空の財布がまるで私みたいだった。価値あるものは蓄えようとしてもすぐに出ていってしまう。自動販売機を前に立ち尽くしていると、ポケットの中で子ども用携帯が震えた。『はやく帰ってきなさい。』渋々友人達に別れを告げ、家路を急ぐ。スーパーに寄って帰らなきゃ。お腹を空かせたあの男が待ってる。