『A子の日記』#26

花見の前に立ち寄った墓地。スカートの裾を膝の裏に折り込みしゃがむ。やっと来れた。9年越しの想いをのせて、晴れ渡る空に一筋の煙がのぼる。「久しぶり。……これからママと会うよ。……大丈夫。ひとりじゃないから」横を見れば何やら必死に念を送る彼。自然と顔がほころんだ。「またくるね、パパ」