『A子の日記』#8

屈託のない笑顔。ソレは小学生になったらしい。遊び相手になってやると「えいちゃん!」と声を煌めかせて擦り寄ってくる。コンコン。ドアの隙間から女が顔を覗かせた。「帰ろっか」とにこやかに言う。私達は歪な黒子のマトリョシカ。ひとり輪から外れた男を思って「じゃあね」と呟き、煙突を見上げた。