『A子の日記』#40

リュックを背負うと予想以上の重さによろけた。弱った膝が早くも悲鳴をあげる。「こんなんじゃたどり着けないわね!」己を叱咤し、踏み出した一歩。指先に力を入れ確かに地面を掴む。「よし!」一冊の古い絵本を携えて、年甲斐もなく玄関から飛び出した。青く澄み渡った空が最期の旅路を祝福していた。