『A子の日記』#5

「俺、お前のこと好きなんだ。」小学校の卒業式を明日に控え、学校にはほんとんど人がいない。そんな静寂を彼の声が破った。夕陽で真っ赤に染まった図書室に浮かび上がる彼の輪郭。心臓がうるさい。「私も…」言いかけた言葉を飲み込む。彼の影は私の言葉を待つように動かない。「私、明日引っ越すの」