『A子の日記』#28

踏切の手前で足踏みをする。病院は目と鼻の先だ。胸に抱えた娘はいつも泣きじゃくるのに、今日はずっと変な呻き声を出している。「もうちょっとだからね」鳴り止まぬ警鐘音。上がらぬ遮断機に苛立ちがつのる。銀色の車体が右へ左へ折り重なり、レールと車輪の接触が鼓膜を打った。早く開いて。お願い。