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初蝉や 虫に負けたる クソニート

 今年初めて、蝉の声を聴いた。
 あるいはもっと早くに鳴いていたのかもしれないが、少なくとも俺が聞いたのは今日だった。
 『ジー』という鳴き声。間違いなくアブラゼミだろう。
 アブラゼミは多分、日本において一番メジャーな蝉だ。もしかしたら、他の都市では違うのかもしれないが、俺は大して他の地方に行ったことが無いのだからそんなこと分かるはずもない。
 そんな大谷翔平君なセミが今日鳴き始めた。

 どこか初々しさを感じさせるその鳴き声だが、『微笑ましい』などと間違っても思ってはいけない。
 SEXしたい!SEXさせろ!!そう大声で叫んでいるのが彼らだ。馬鹿じゃないの?🤣
 そう、大自然が生み出した性犯罪者が彼らなのだ。
 これが人間だったらどうか・・・・・・などという事は今更言うまでも無いだろう。
 セミに対してはかように寛容なのに、同じ人間に対はそんなことを叫んだ瞬間に堀の中である。(なんで人間に厳しいんだ、人間って・・・)
 差別だろ・・・・・・などと一瞬思ったが、俺はんなことを叫びたいと思ったことは無いし、他の奴の叫びを聞きたいと思った事も無い。
 まぁ、女性のなら聴きたいと思わなくも無いけども・・・・・・でも男だろ?セミが鳴くのはオスだけだし。
 身長183cm、体重85kgくらいの成人男性がデカイ声で、『SEXしたいっ!!』と叫び、他の男性もそれにつられて『SEXさせろっ!!』叫びまくるそんな地獄・・・・・うん、実に素晴らしい。核廃止論者の俺でさえ、ツァーリボンバを絨毯爆撃させたくなる。
 まぁ、だから今の人類社会のセックスアピールの在り方については概ね満足していた。つーかどうでもいい。
 
 そして、また今年も蝉に負けてしまった・・・・・・などと思う。
 あのセミは種としての義務を果たしている。5年くらい土の中で過ごし、根っこから樹液をちゅーちゅー吸い、そして今年の夏に土の中から出てきて羽化をし、成虫に生まれ変わった。
 そして今、『ジーーーーー!(SEXしたい!)』と鳴いている。
 ひるがえって俺はニート。暗い部屋の中、こうやってカタカタタイピング するしか能の無い、人型の家庭廃棄物だ。
 勿論『SEXしたい!』などと叫ぶことすら許されない。したいかしたく無いかで言えばもちろんしたいのだが、ニートにそんなことを行う権利があろうはずがない。
 人間に生まれた時点で勝ちな部分も若しかしたらあるのかもしれないが、そもそも蝉と勝ち負けを競ってる時点でやっぱり負けている気がする。
 この一か月、俺が外に立たのは自転車の空気を入れに出た昨日だけだ。全然乗りもしない自転車であっても空気は減っていくのだからおもしれーよなー。乗ってねぇんだから入ったままになっとけよ。
 ま、生きる価値の無いクソニートの腹が減るのと同じだな。生きてるって事は何かしら消費していくって事なんだろう、つまり自転車は生きている。
 しかし、セミってのはアホだよなぁ。交尾をするためにミンミン鳴いてる訳だろ?アブラゼミだけどさぁ。
 そうやってミンミン鳴いても、結局次の奴がミンミン鳴くだけじゃねぇか、一体何の意味があるってんだべらんめぇ。
 まぁ、意味なんて無いけど、そういうもんなのかもね。もしくはちゃんと意味があるのか。俺が知らないだけでさ。誰か蝉に会ったら答えを聞いといてくれ。俺は諸事情あってそれは無理。
 あのセミがちゃんと交尾できて、未来に子孫を残せることを祈ろう。この冷房の効いた土の中から。 
 ・・・・・・でもそうなると蝉ごときに負けたことになるんだよなぁ。はぁ。

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