論点「近代と前近代」
18世紀の産業革命以前を「前近代」、以前を「近代」と呼ぶ(「現代」も含む)。「前近代」と「近代」は対比関係にある。この対比は評論で多用されると同時に、他の論点にもつながっている。
「前近代」(精神的、閉鎖的、不自由、非科学的、非合理的)と
「近代」(物質的、国際的、自由、科学的、合理的)の対比を押さえることが重要だ。
1. 「前近代」の特徴
* 神や自然への信仰
神や自然といった「人間を超越した存在」に畏敬の念(尊敬する気持ち)を抱き、従うべきとされた(隷属的・れいぞくてき)。
* 不自由な社会
「前近代」は血縁や土地による伝統的な共同体社会であった。共同体では身分や職業を選べない。貴族の子は貴族、労働者の子は労働者、という「生まれたときの身分」が一生続き、成り上がったり選んだりすることはできないという封建的な考え方が主流だった
* 非科学的・非合理的
科学が未発達で、効率や合理性に欠けた考えをする傾向にあった。ただそのぶん、人同士のつながりや時間的・空間的ゆとり、伝統文化の尊重といった美点も存在した。
2. 「近代」(「現代」)の特徴
* 人間中心の社会
神ではなく、人間を頂点とした社会を形成するようになった。それに伴い、人間以外の「動物」や「自然」は下に見られるようになった。神からの呪縛から解放された一方、傲慢な言動が目立つようになった。
*自由な社会
生まれに関係なく、職業や住む場所、結婚相手等を選べる様になった。ただし、自由にともなって責任も生まれた。「自分が何を選び、どうやって達成するのかについて、自分で責任を負うべし」という「自己責任論」が叫ばれるようになった。
3. おわりに
「近代・前近代」は評論読解の基礎といえる。上述のように、今後さまざまな論点に関わってくるので、必ず理解しておきたい。
内容を以下に図としてまとめたので、参照してほしい。
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