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江戸時代のおもてなし魚料理を再現してみました

エンジニアチームのtaka(@terumapy)です。

韓国の尹錫悦大統領が来日された際、一晩ですき焼きとオムライスを召し上がったというニュースがありました。ご本人の昔の思い出や食の好みを入念に調べて決まったとか決まってないとか。たいそうご健啖な方だなというだけでなく、こういうおもてなしのやり方もあるんだなぁと感心しました。

思えば、日本の「おもてなし料理」にはお城で出されるごちそうから東京駅で買える駅弁まで色々なものがこれまであったはずです。昔々のものはどんなものだったんでしょうか?今回は、江戸時代に来日した朝鮮通信使をもてなした魚料理を、史料から探して再現してみました。両地域の友好関係を築くために通信使たちは丁重に迎えられており、その好みについても詳細に調べられていました。現代と同じですね。当時の記録が『通航一覧』朝鮮国部に残っています。

食物は庭鳥、上々同雛、ぶた、上々鳩、上鴨、鶉、雀、鯛、鯰、かまぼこ、鯉、鮒、雲雀、鮑以下上の食物也...

肉だけでなく、鯛や淡水魚、あわびに練り物なんかも好まれていたようです。この後もお菓子やお茶、お酒の好みに至るまで続きます。これらの素材を使ったレシピも史料に残っています。例えば、現在の山口県にあった吉川藩の『信使通筋覚書朝鮮人好物付之写』(web公開なし)にあった、鯛料理の一部を見ると

鯛 大は膾に調る 彼国之膾は日本のさしみ也 魚を鯉作り〆 皿に盛り 辛子酢小ちょくに入て付へし...

と続いています。どうやら辛子を溶いた酢で鯛のお刺身を食べるのが好まれていたようです。塩で味を整えつつ、実際に試してみました(真鯛は豪徳寺で買いました)

鼻にツーンときますが、鯛の味と合わさるとさわやかで良いですね。ただ食べているうちに喉にまでクるほど刺激が強いので、少し砂糖を加えてマイルドにしました。火を通して酸味を飛ばすという手もありそうですが、それでは「らしさ」が失われるかもしれません。魚にバルサミコ酢などビネガー系をあわせる料理は多々あるので、その派生としてとらえる味な気がしました。

正確な味の再現ができていないかもしれないというのもあるのですが、今の醤油とわさびの味に慣れた自分にとっては正直違和感が少しありました。ただ、当時彼の地の風土ではこの味つけがあっていたのかもしれません。それに、今回再現したのは一連のおもてなし料理のごく一部だったので、食べ合わせの面でこの味つけがよかったというのも考えられますね。本に色々まとめられているのですが時間切れで全ては再現できず、いつかチャレンジしてみたいところ。

通信使の方々にはぜひ一度現代に来ていただいて、sakana baccaのばらちらしも食べてもらいたいですね

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