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理事長コラム【フードアナリストの哲学である「尊命敬食」】

私たち日本フードアナリスト協会を美食・グルメの団体と思っている方も多いかと思います。しかしそれは大きな間違いです。私たちは生命を尊んで食を敬う団体です。つまり「尊命敬食」の団体なのです。

私たちフードアナリストは、自分たちを「美食家」「グルメ」とは言いません。フードアナリストならば、「美食」や「グルメ」といった言葉も使いません。角川新版実用辞典で「美食」という言葉を引くと、「ぜいたくな食事をすること」と書かれています。

日本という世界でも有数な裕福な国に生れ、豊かな食文化の中で育ち、
贅沢な食を謳歌することは素晴らしい事です。私たちはこの地球上に生を受ける時、たまたまこの日本で生まれる事ができ、素晴らしい両親の元で育ち、教育も身につけることができ、衣食住に困る事もなく、豊かな暮らしをしています。

しかし例えば、南スーダンやコンゴ、イエメンに生れていれば、今日食べるものの心配をしないといけない暮らしになっていたかもしれません。

「人間に生まるること難し やがて死すべきものの いま生命(いのち)あるは有難し」という法句経の中にあるお釈迦様の言葉があります。
「この宇宙、地球上の億万の生命の中で、人間として生まれて来てこの地球上に生を受ける、というだけで奇跡である」という意味です。

私たちの現在の幸せを「当たり前だと思わない気持ち」を、心のどこか片隅に持っておく必要があります。日本中ひいては世界中から、美味しい食べ物や珍しい食べ物を取り寄せて食べることができる時代だからこそ、食に対する謙虚な気持ちは忘れてはいけないのです。

「美食」や「グルメ」という言葉を無邪気に使うことにたいして、恥じらいを覚える気持ちが大切だと考えます。というわけでフードアナリストは、食事の会のことを「美食会」「グルメの会」といった言葉は使わず、全ての生命に対して感謝の気持ちを込めて「敬食会」と呼んでいます。

          (日本フードアナリスト協会・理事長 横井 裕之)


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