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外食マニュアル3

 ダンキンドーナツはすぐれたマニュアルと品質を持っていましたが、残念ながら日本から撤退しました。詳細は「ダンキンドーナツ撤退が意味するもの。何が原因だったのか?ここから何を学ぶべきか」(オフィス2020 AIM 掲載記事)

私の以下のHPに掲載しております。
https://www.sayko.co.jp/food104/post-3530/

上記のHPに書いた「ダンキンドーナツ撤退の原因」をまとめると、以下です。同様の問題はミスタードーナツも抱えています。

1)ドーナツという商品のライフサイクル
 ダンキンドーナツの位置づけを誤った。米国ではドーナツは朝食という主食だが、日本では子供のおやつや菓子という位置づけで、商品の陳腐化が激しすぎた。

 ドーナツが主食というと驚かれるかもしれないが、米国では朝食でドーナツを食べるのが一般的だ。朝食のトーストにジャムを塗って食べるのと同じで、朝、糖分を摂取すると脳に栄養が早く到達し、目覚めるからだ。米国企業は平均的に日本より1時間ほど早く始業し、夏は夏時間があり、まだ暗い内に出勤する。

 その朝食で根強い人気を持っているのがドーナツだ。家でパンの代わりにドーナツとコーヒーを食べて出勤したり、途中のドーナツショップでコーヒーとドーナツを食べるというのが最も安価な朝食だ。米国企業は早朝から会議や研修などがあり、朝食を食べながら会議をする。その際に並ぶ食事は、幹部用ではウエイターがサービスするフルサービスのベーコンやハムとフルーツ、パンケーキなどのフルブレックファーストもあるが、セルフサービスのドーナツ、フルーツ、ジュース、コーヒーという簡素なものが多い。

 米国ダンキンドーナツ社は朝食という主食の立場を維持しながら、商品やイメージに磨きをかけている。
 日本でも朝食としての訴求をするべきであったが、進出当時は米国からきた52種類の味のドーナツ、特にできたてのイーストドーナツの人気が高く、菓子として人気が出ていた。米国からきたファーストフードは繁華街の歩行者天国のブームにのり大人気で、ドーナツの将来性は保証されたように思われた。初期に郊外型の出店も行ったが立ち上がりの売り上げが悪く苦戦した。郊外の駅前立地では朝食マーケットの存在を獲得しつつあったが、効率を追い求め、菓子としての位置づけのまま繁華街立地を進めていった。

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