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プレセペ・ヴィヴェンテ

イタリアの年末年始はと言うと学校は通常12月23日から1月6日までお休みでこの時期10日から2週間ほど冬季休暇とする企業も少なくありません。
街全体がライトアップされるクリスマスの飾り付けは12月8日の聖母マリアの「無原罪の御宿り(処女懐胎)」を祝う祝日から25日のクリスマス(救世主イエスキリストの誕生日)、そしてその誕生を知らしめる公現祭の1月6日まで。各家庭でも1月7日にはクリスマスツリーや電飾などを片付ける日になります。
実はカトリック教徒にとってクリスマスの飾り付けで一番大事なものはツリーではなく、プレセピオと呼ばれるキリスト降誕場面(馬小屋のシーン)を再現した人形飾りです。

多くはミニチュアの人形ですが、これを生きた人間で再現するイベントが「プレセペ・ヴィヴェンテ(生きたプレセピオ)」。近年町をあげて住民参加イベントとして盛んになっています。
我が家の近くのペッツェ ディ グレコという人口4,000人ほどの村では大型バスが連なるほど多くの観光客を集めています。34回目となる今年は7日間の開催日程で1日平均3,000人の来場者があったとのこと。キリスト役の赤ちゃんから年配者まで住民約400名が参加するプーリア州の中でも最も有名で規模が大きいものになりました。
この村のプリセぺ ヴィヴェンテの特徴はキリスト誕生の馬小屋のシーンだけでなく100年ほど前まで実際に住居として使われていた洞窟の連なる地区で当時の生活様式を丸ごと再現するというところです。
洞窟の中では寝室、台所、トイレなどの住空間はもちろんのこと、ロバがオリーヴをすり潰す大きな石臼を引き、人が万力でオイルを圧搾するところや、綿花や羊毛を紡いで機織りをするところ、薬局、床屋、パン屋、陶工、鋏研ぎ、など当時風の衣装を纏った老若男女が実際に当時の道具を使って役になりきって作業をしたり民謡を歌ったり踊ったり動き回っています。
びっくり面白かったのは黒装束に銃を持った盗賊役の人達もいたこと。そのリアルさは夢の国、おとぎの国に紛れ込んだよう。何よりも普段はスマートフォンを片時も手放さないであろう子供たちも含め参加している住民たちが誇らしげで楽しそうなところが印象に残りました。
道具のメンテナンスや保存、企画運営と時間とお金がかかっているのはもちろんですが、これだけのイベントを継続してきたパッションに敬服します。現在の課題は特に機織りや刺繍など昔の道具は残っていてもそれを使える技を持った人たちが高齢化しているためその伝承とのこと。
それは急務ですが、これだけ盛況となったイベントの継続のためには不可欠なことなので手仕事の素晴らしさを若い世代が知る良いきっかけになることを願っています。

今年もプーリアと日本を行き来しながら、古今東西、都市と村、私にとって心地良いバランスを探していきたいと思っております。どうぞお付き合いいただければ嬉しく存じます。

大橋美奈子 Facebook
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minako@da-puglia.com

大橋美奈子さん経歴

 演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人のジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストランのビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業したビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。
 そのジョバンニ・パンフィーノと、日本で知り合い結婚し長女を授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したのです。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報発信をしたり、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っております。

 また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報をお届けします。

 ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺りがプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダプーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人のヴァカンス先として大変注目を浴びています。
https://www.facebook.com/1438029856464276/photos/a.1438031556464106.1073741828.1438029856464276/1523683344565593/?type=1&theater

 プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウをはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。

 また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山あります。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係にあります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、飲み物たちをご紹介させていただきます。
 我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好きなアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。

有限会社ダプーリア 
http://www.da-puglia.com/

大橋美奈子プロフィール 
http://www.da-puglia.com/archives/000047.html

プーリア州の説明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E

ダプーリア
大橋美奈子


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