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横顔

クレイジーケンバンドが好きだ.
新しいアルバムが出る度に,「今回が最高!!」と思っている.
自分にとってのそんなアーティストはなかなかいなくて,最初の3枚目辺りまではいいんだけど,その後が...と思うことがしばしば.勿論,僕の様な頭の固いリスナーばかりでないので,息の長いアーティストが大勢居るわけで.
僕にしても,岡村ちゃんとか,オリジナル・ラブとか,NONA REEVESとか,年月を重ねてアルバムも重ねて,ずっと聴き続けてきたアーティストもたくさん居る.
しかし,クレイジーケンバンドはやはり別格なのよ.
音楽って本当に最高の「言語」だなって思える.
そんなクレイジーケンバンドの新しいアルバムがもうすぐ届くのだが,ここ最近「横顔」をまたずっと聴いている.昨年のベストアルバムで最後にこの曲を入れたのは,流石だと思った.ケンさんもこの曲への思い入れはんぱねー!!という感じで.

もともとこの曲が好きで,カラオケに行けば必ず歌う.どこでも歌う.
いや,実際は悲しい曲なんやけどね.どこでも歌える曲ではないとは思うの.
昭和歌謡っぽいサウンドに,ドラマが立ってくる歌詞.多かれ少なかれ,何十年も生きていると,この歌詞に共感する時期や出来事が誰にでもあるんだなって思える.
女心の切なさを歌ったものなんだけど,これ,男も悲しいよ.二人のドラマを考えた時に,むっちゃ切なくなるんですよ.

でね,昔はこれ,
「年上の女性が,年下の彼氏との別れを描いた話」だと思ってたんですよ.
苦学生(である必要があるかないかで問われたらないかもしれないけどさ,ドラマとしては必要な要素ではあるんじゃないかと)で純粋な男の子が,社会人の女の子(昼は会社勤めしてるけど,夜は飲み屋さんで働いているとかっていう設定も必要かな,いや,いらんか)と出会ってさ,二人がつきあい出すんだけど(そこまでにも様々な試練があって,ようやく付き合い始めることになるとかね,妄想始めると書ききれなくなっちゃうので割愛),結局二人を隔てるものの大きさに女性の方がこの恋を諦めてしまう,的な物語を考えてしまうわけですよ.
「大人になって逢えるときまで 私をさがさないで」という歌詞に,「(あなたが)大人になって」というニュアンスを感じて聴いていたわけです.

ところが,別の見方も出来るんじゃあないかと考えた時に,これ,女性と男性の年齢が逆転するんですよね.
つまり,上述のカップルとはもう少し年齢差のある男女の物語として聴くことが出来るわけですよ.
様々な妄想出来るんだけど,長くなるので割愛です.
ただ,そうなった時に,「大人になって逢えるときまで 私をさがさないで」という歌詞が,「(私が)大人になって」という意味にかわり,そうすると,この女性の決断が十分「あなたはもう大人だよ」といいたくなるわけです.
そういう選択をせざるを得なかったという状況,そのドラマを思うとき,この曲ってすげぇなぁ,と改めて感心するわけですよ.

この歌の中で「横顔」って出てくるの,「少年のような横顔を思う度切なくて やっぱり今夜は行かないわ」ってとこなんすけど,つまり,男性側は,前を向いて何か楽しく二人のこれからのこととか何とか話しているのを,隣に居るこの女性が見ていた場面があった,ということですよね.隣に座って,自分の方を見てはいないんだけど,少年の様な「横顔」を見つけていた,その横顔がとても好きで,いつまでもこの人と一緒に居よう,この横顔をいつまでも見ていよう,と思ってたんだけど,今はその横顔を思い出すことがつらさになっている.

この曲を基にして小説書けるんじゃないの,と思うんです.
いや,この夏,書こうかな.

因みに,大貫妙子の「横顔」もちょー名曲です.
ここまで書いたら,「横顔」ってタイトルついてんのは名曲しかないんじゃないかって感じですよね.

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