最後の晩餐 ー今でも生きてますー
まめおやじです。
お好み焼き 好きですか?
最後の晩餐と聞かれたら迷わず「お好み焼き」
そう答えます。できれば自分でつくって食べたい。最後の晩餐を自分で作るって変かな。
「元祖お好み焼き」の店
駅の北側にある小さな呑み屋街。角から二軒目にひっそりとたたずむ店。
お好み焼きと書かれた暖簾をくぐる。
「いらっしゃい」
落ち着いた高齢の夫婦が時代劇の再放送を観ながらにこやかに出迎え、鉄板テーブルに招かれる。
入り口の左右には、壁づけされた鉄板テーブルが4台。腰を下ろすと、爺さんがテーブルに火をいれる。
メニューはお好み焼きとビールのみ。焼きそばやモダン焼きはない。大盛りもない。
小さな厨房で奥様がキャベツを切り出す音。
すぐに、金属容器とマヨネーズが到着。容器にはキャベツとタネ、上に卵、豚肉
この店は自分で焼くスタイル。自信がない人は頼めば焼いてくれる。
鉄板に油を塗り、容器から豚肉を鉄板へ移し、焼く。
豚肉は3枚。半分にカット、6枚にする。
その間、容器の中身を混ぜ合わせる。
豚肉の色が変わる。
香りがたち、パチパチ音がする。コテでひっくり返す。肉の赤っぽさがなくなり、豚の脂が溶け出す。
肉を一旦、自身の右側、火力の弱い所へ仮置き。
豚肉の脂をコテでならし、その上から容器の中身を一気に掻き出す。
素早くまん丸に形を整え、厚さを均一にする。コテでお好み焼きの縁に沿って円を描くように縁を整える。肉を均等に一枚一枚載せる。
ここでやっと一息つき、水をひとくちゴクリ。
お好み焼きにすぐにはさわらない。鉄板に接する面に火が通ったら、微妙にお好み焼きを動かし、豚の脂を一滴も残さず吸わせる。焼きムラがでないよう時々、位置を変える。
縁の色が変わったらひっくり返す合図。
底からコテを差し入れて重さで焼け具合を確認する。
よし。
手首のスナップをきかせ、一気にひっくり返す。
躊躇すると座屈するので、一気に。
ひっくり返すと、きれいな茶色の面が現れる。
豚肉の脂がさらに溶け出し、だんだん香りが美味しくなってくる。
設置面が焼けるまで動かさない。
いい香りだ
焼き具合は裏6割表4割のイメージ
表面の豚肉がカリッとしたらOK。
コテでお好み焼きの様子を確かめる。
中まで火が通ってる。大丈夫。再度ひっくり返す。
よし。
卓上のソースをたっぷり塗り、マヨを塗る。
カツオ、青のりの順に高い位置から全体にかかるようふりかける。
カツオが熱でひらひら踊る。
「いただきます」
通いだして約10年ほどたった頃、爺さんが交通事故でけがをし、退院後、閉店した。この店はもうない。
この店にはお好み焼きの焼き方をずいぶん教わった。焼き方の基本はここで学んだ。それは今でも生きている。
貴方にとって良い一日を~まめおやじ
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