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ベランダで芋掘り

 緊急事態宣言の時、ジャガイモやらサツマイモやら、日持ちしそうな野菜を買い込んだら、その中の一つ、サツマイモから立派な芽が出てきた。芽が出てきた端の部分を切り落として、それ以外は焼き芋にして食べたのだが、切り落としたその芽の部分が実に愛らしかったので、しばらく水につけて台所に飾っておいた。そうしたら、新しい葉がニョキニョキ生えてきて、面白がった夫がベランダのプランターに植え替えた。

 「プランターでサツマイモが育つの?」半信半疑な私を他所に、サツマイモのツルはぐんぐん伸び、きれいな葉を茂らせて行った。去年はゴーヤが葉を伸ばしていた我が家の小さなプランター。ゴーヤの爽やかな緑色も美しかったが、今年のサツマイモの濃い緑色も、私たちの目を夏の間十分楽しませてくれた。

 秋になり、サツマイモの葉が黄色く枯れてきた頃、「芋掘りしたい。」と一番に言い出したのは、娘だった。ベランダのサツマイモは、時々水こそやっていたが、ほぼ放置。芋掘りした所で、腐った種芋しか出てこない気がしたが、ひとまずツルを切り落とし掘ってみることにした。

 「お母さん、お芋、出てきた!でも小さい!」

 シャベル片手の娘が、プランターの前ではしゃいでいる。20センチ位のサツマイモの赤ちゃん?の様なものが、ゴロゴロと出てきた。我が家の小さなプランターに似合った、小さな小さなサツマイモ。そして、娘が大きく笑っている。

 このサツマイモ、小さ過ぎて食べられるかは分からない。けれども、ベランダでの芋掘りは、娘の笑顔と共に私の中で大きな思い出にはなりそうだ。

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