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バカラを金継ぎしてみる【断面処理編】

今回は補完パーツが完成したので、断面の処理に移ります。
動画での解説もあるのでよろしければご覧ください。

ガラス製品は「透け」がありますので、普通に金継ぎをしてしまうと茶色い漆部分が見えて美しく仕上がりませんね。
なので、先に断面に金を蒔いてしまって漆が見えないようにするわけです。

□□□←ガラス
●●●←金
■■■←漆
●●●←金
□□□ガラス
という風に漆部分を金の層で挟んで隠していくんですね。
こうすることで上から見ても下から見ても断面は金色になります。
それでは工程を説明します。


作業の全体像はこちら

1、マスキング

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ガラス製品に漆を塗る時は必ずマスキングをしましょう。
なぜかと言うと、焼き物の時は気にせず小刀や鑢ではみ出た漆を取る事が出来るのですがガラスだと一度傷がつくとリカバリーがとても手間になるからです。
できない事はないのですが私はあきらめました。
ので面倒でも必ずマスキングしましょう
特に後の金を蒔く段階で手がぶれて漆がはみ出てると除去が本当に大変なので気を付けてくださいね。
テープでも出来ますがお勧めはマスキング液です。私はマスコール28mlと言うものを使っています。他の液は使ったことがないのですが今のところこの製品に不満はありません。

2、断面を傷つける

元から凸凹した断面になる焼き物ですと必要がない作業ですが、ガラスは割れた断面がつるつるなので軽く傷をつけて漆の噛みを良くします。
この作業が甘い部分は使用している時に金の層事漆が剥げてしまったりするので丁寧に行いましょう。少し曇るくらい傷が付けば十分ですよ。
傷をつけ終わったら水で洗ってから乾かしましょうね。

3、断面に漆を塗る

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断面に透漆を塗っていきます。色のついた漆を使うと金が透けないので顔料が入っていない透漆を使ってくださいね。
コツは薄く薄く塗る事です。
厚く塗るとその部分に漆が溜まってしまい金が上手く蒔けません。
マネキュアを塗る時のように薄く薄く塗りましょう。

4、金を蒔く

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今回は漆の中に金を沈めたいので直ぐに金を蒔きます。
漆の色が濃くなったら直ぐに金を蒔き始めましょう。大体5-10分くらいですね。

グラスの復元の場合あまりはみ出たくないので私は綿ではなくアイメイク用の筆を使っています。
柔らかい毛であれば高いものでなくとも大丈夫ですよ。
絵画用の平筆でもよいのですが、アイメイク用の物はキワが作ってあることが多いので使いやすいです。
金を乗せる感覚がわかるまで筆に漆がついて使い物にならなくなってしまう事が多々ありますので慣れるまでは使い捨て出来る100円均一の物を使うと良いですよ。リンクのような斜めに切ってある形が使いやすいですよ。

金粉を用意したら筆先に金粉を付けます。
使う金粉は消し粉という金粉で金粉の中で最も細かい金粉を使っています。

乗せる感覚はすごく説明しずらいのですが、一番似ている感覚は傷に薬を塗る感覚です。痛がらせないように触れたか触れてないかわからないくらい少し触るあの感じです。

5、二度蒔きする

初めて直した時、金が上手く乗ってない所があったのか漆が見えてしまった事があったので、一度載せ終わった後もう一周金を乗せています。
上手く金を蒔ける方はやらなくても平気だと思います。

6、乾燥

埃が付かないようなにか容器に入れて漆を硬化させましょう。
3-4日で乾燥します。
容器の中の湿度が足りないと漆は乾燥しないので濡らしたティッシュなどを一緒に入れておくとよいです。

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上手くいくと画像のように断面に金が乗りますよ。

7、乾燥後、失敗した箇所に金を蒔き直す。

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乾燥した後は裏側から透かせてしっかりガラスに金が付着しているか確認しましょう。
様々な方向からみて白く曇っている箇所があれば、剥がして蒔き直しましょう。上の写真の真ん中らへん、金がガラスに乗り切ってない部分です。
鉄串なんかでガリガリげすりましょう。

もし放置して次の作業に移行すると、完成後、白くなった面から剥がれますので必ずガラス面に接着させてください。

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