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いわきFC vs ザスパクサツ群馬戦 (23シーズン第10節)

第9節終了時点で、いわきFCは、ショートカウンターの指数が最も(そして抜群に)高く、群馬はKAGIが最も低い。

「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」という観点から、チームの新守備指標「Keep Away from Goal Index」、略して「KAGI」を集計して公開します。

引用元:Football LAB「KAGI,AGIとは」
引用データ:Football LAB「ショートカウンターの指数とシュート率」
引用データ:Football LAB「KAGI」

自陣ゴール近くで守備をする機会が多い群馬に対して、いわきFCは、ショートカウンターで得点を狙いたい。群馬は、KAGIは低いが、平均の被ゴールは0.89と堅守なのが特徴的だ。堅守をこじ開けて、第5節以来の勝ち点3を奪いたい。

試合結果

いわきFC 2 - 1 ザスパクサツ群馬
 いわきFC: 有田(6分)、有田(49分)
 ザスパクサツ群馬: 長倉(64分)

有田のケチャドバが来た!
J2昇格後の初めてのミッドウィークマッチを含む3連戦を、1勝2敗で終えた。経験を得ただけではなく、結果も残してくれたチームを称えたい。

時間をつくる、時間をうばう

いわきFCは、前節から3枚を入れ替えてのスタート。CFの坂元に代えて有田、左MFの永井に代えて鏑木、左SBの辻岡に代えて河村。

スターティングラインナップ (第10節)

今節、いわきFCのDFの裏のスペースに、何度も高い精度のフィードを供給していた群馬の風間の御父上、風間八宏氏は以下のように説く。

今のサッカーは時間がすべて。いかに正確にプレーし、いかに時間をつくるかの勝負です。

引用元:Number Web「ユースの三笘薫と田中碧に“今すぐプロを倒すつもりでやれ”と言ったら」風間八宏が知る“W杯川崎勢の10代”「今は14歳が分岐点です」

群馬は、ビルドアップ時の立ち位置の工夫や、スペースの活用で時間を作る。ビルドアップでは4バックから3バックへ変形し、両MFはボールサイドと逆サイドで幅を取る。
群馬のCF長倉は、ビルドアップで面白い立ちを取っていた。
群馬の変形3バックに対して、いわきFCはCF2枚と加瀬で監視する。群馬の左MFの川上が高い立ち位置をとって石田のマークを引き付ける。長倉は、加瀬と石田の間のスペースまで落ちてきて、ボールをフリーで受けて、時間を作ろうと試みていた。長倉に早く正確なボールが頻繁に供給されると石田は一時的に2対1(川上&長倉 vs 石田)を作られるので、忙しかったと思う。
いわきFCは、ストーミング戦術を志向するので、「時間をつくる」よりも「時間をうばう」ことができるかが、自分たちのサッカーをできているかの指標だ。前節の金沢戦は、先制点、追加点を試合開始早々に奪われて、いわきFCはボールを持たされた。J2昇格後、初めて、いわきFCはボール保持率で50%を上回った試合だった。今節は、先制点を奪えたのが大きい。得点が欲しい群馬にボールを持たせて、ストーミングで奪いに行く理想的な展開になった。
スプリント力やプレスの強度だけでは、ショートカウンターは決まらない。それが顕著だったのが、第1節の藤枝戦の前半。この試合では、今季加入した、鏑木、加藤、石田が先発している。相手の時間を奪う立ち位置をとれ
ず、宮本が頻繁に鏑木と加藤にハンドサインでプレスの指示を出していた。

時は経過して第10節。今季加入の鏑木、加瀬、石田、河村は、的確なポジショニングと判断で、敵陣でボールを刈り取り、ストーミングを起こしていた。着実な日進月歩。日々、効果的なトレーニングができている証だろう。

ヒーローたち

全選手、コーチングスタッフが勝利の立役者だが、2得点を奪い、90分間走り倒した有田はまごうことなき本節のMVPだろう。その2得点ともアシストした有村や、この3連戦でJ2リーグで一番の走行距離とスプリント数を記録していたのではないかと思う宮本(J2のトラッキングデータが見つからないので、希望も交えた想像です)は、影のMVP。
本レビューではMIPとして2選手を取り上げる。
まずは右SBの石田。1得点目のアシストのアシストで勝利に貢献をした。いわきFCでは、坂元、下田に次いで3番目の若手。市立船橋高でキャプテンを務めていた3年生の時、新型コロナウイルスの流行でインターハイが中止になっている。以下のインタビュー当時、高校3年生にして、自分に矢印を向けられるプロ向きのメンタリティーを確認できる。

今節は、守備ブロックを構築したシーンで、家泉は持ち場を離れずにゴール前に構えられていた。サイドを破られない石田の守備と、加瀬の献身的なプレスバックが効いていた。

もう1名のMIPは左SBの河村だ。初のメンバー入りで即スタメン。DFとしての安定感に加えて、攻撃のアクセントとして十二分に効いていた。左利きで足元もうまい。加瀬がスタメンで躍動してからファーストチョイスになっているように、河村も十分ファーストチョイスに昇格できるだけの活躍だったと思う。ぜひ、競争を勝ち抜いてもらい、山口戦のアウェイリターンマッチで、大学同期の野寄とのフィールドでの再会をレビューで書かせてほしい。

他にも、遠藤、鏑木もすばらしいパフォーマンスでした。
今シーズンここまで、MF陣の得点は、宮本による1得点のみだが、鏑木は早晩ゴールを決めてくれるはず。ゴール前でカオスを起こしているとき、かなりの確率で良いポジションに顔を出していましたね。

あとがき

2点目をゲットした直後、多くの選手が有田とともにセレブレーションに向かう中、我らがキャプテン山下は、逆方向を向いて、アシストのアシストをバシッと決めた遠藤に拍手を送っていますね。

その山下の足元のスパイクは、ミズノのモレリアに、いわきFCカラーの赤のシューレースをコーディネートしています。溢れんばかりのいわきFC愛。そして、なんと、鏑木も!!

いわきFCは、けが人が多く、日々のトレーニングも人数が足りなくなりがちなのではないかと少し心配だ。一方で、新戦力が次々に台頭をしてきて、いわきFCの戦術理解を急速に深めていると思う。けが人が戻ってくる、これからのいわきFCは、ますます手ごわいチームに成長してくれるはず。
スタジアムを満員にして、ホームでは負けないチーム、負けてはいけないチームになるように、声援を送りましょう。

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