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パンプスをお焚き上げに出す話

はい、タイトルまんまでございます。
ということで愛しのカメリア(椿)ちゃんですはいどーん。

ずいぶん履き込んだので正直人にお見せするのは恥ずかしいですが、全て私とこの子の思い出ということでご容赦ください。

さようならのその前に

では早速推し語りいきましょう。

出会い

カメリアちゃんとの出会いはもう7年前、私が学部の頃に遡ります。
確か学部の3年の頃から、ある程度きちんとした品を親から買い与えられるようになったんですよね。
あ、もしかして成人したからってこと??
人生初のちゃんとした革のお靴でした。
大学の足元の本店でお迎えしたんですが
あの試着の体験はもう感動でしたね。。。
キラキラの店内に一面の革靴。
ソファもふかふかで店員さんもとても丁寧に応対してくださって
歩いてみてって言われた床のカーペットは雲を踏んでいるような
感動しすぎてずーっと頭ふわふわしていました。

この子と和解するまで(あるいは屈服させるまで)

ちょーるんるんで家に帰った私ですが、その後地獄が待っているとは思いもしませんでした。
革って、馴染むまで、メチャクチャに靴擦れするんですよね。
もーーーいたくって!!!!
踵をはじめに親指の付け根とか
これでもかってくらい靴擦れを作って
でも履きたいから足を絆創膏だらけにして
一ヶ月くらいかかったはずです。。。長い戦いだった。
面白い話なんですが、私カメリアちゃんを含めてMIHAMAのパンプス5足持っているんですけど
3足目辺りから、多分ここに靴擦れできるだろうって予言ができるようになったんですよね。
前もって絆創膏貼っておいて靴擦れ回避ができるようになりました。

この子と過ごした日々

カメリアちゃん 大活躍だったんですよ。
私大学では声楽を専攻していたんですが、
このビジュアルの強い所って舞台で衣装に使えるんですね。
普段の通学やお出掛け
師匠のカバン持ちで舞台の表から裏まで駆け回る時から
舞台の上でハスッパなジプシー女を演る時まで
散々いたい思いをして慣らしたお靴は
どんな時でも足にビタッと吸い付いてくれて走り回ることができました。

大学院を卒業した後、社会人になってからもカメリアちゃんを履き続けて
出社からお休みの日まで本当によき相棒でした。

別れの予感

私靴は基本的に何足かを毎日履き回すので、比較的1足の寿命は長い方だと思います。
なんですがちょうど去年(2022年)の夏頃かな、カメリアちゃんに違和感を覚え始めます。

「履いててなんか気持ちよくない」

あれ?あれ?と思っているうちに違和感はどんどん強くなっていって
気付いてしまいました。
つま先が緩い。
指の付け根のホールドが効かない。

ストラップも一切ない作りなのでここが緩むともうダメでした。
靴の中で足が前に滑って
耐えようと踏ん張ると踵がさらに緩まって
全然歩けない。
あんなに気持ちよく足についてきてくれていたのに
革が伸び切ってしまい、寿命でした。

履けないな、この子は靴としての役割を尽くしきってくれたんだ。
それだけ十分に履き倒した。
何度もエナメルを磨いて、ソールの修理も何回出したか。
つま先の椿の花飾りはエナメルとなめし革を組み合わせて作ってるから手入れが大変だったとか。
インソールが革張りの靴も初めてで、ストッキング履いてだと意外と滑るから歩く時は少しコツが必要だとか。
みんなこの子が教えてくれた革との付き合い方だ。
私はこの子を愛し抜いた。

心底そう思えたのに、手放すことができませんでした。
こんなに頑張ってくれたこの子を、燃えるゴミに出すのか。
生ゴミと一緒に捨てるのか。
とてもそんなことできない。
そう思ったら、靴箱の中からカメリアちゃんを動かせなくなってしまいました。
どうしたらこの子がくれたギフトにお返しができるかわからなくなってしまったんです。

振り返り記事でも書きましたが、私は一度に多くのものを愛せないので
少数精鋭を大いに愛します。
そのため人より「私の特別」に対する執着が強い自覚もあります。
にしても、そんな最後はないだろうと。
履き倒して私の足の形にしてしまったから他の人に譲る訳にもいかない。
この子つま先がちょっと細いんですが、小指のところ私の指の形に伸びてるんですよ。

本当に「どうしよう」と思って文字通り悩みとしてカメリアちゃんを抱えて頭を抱えていました。

自問自答イベント2回目

そんな中で迎えたあきやさんのイベントでした。
私1人ではもう解決できない。
でもこのまま靴箱にこの子を閉じ込めたままにして
カビさせでもしたら本当に目も当てられない。
あきやさん+自問自答ガールズがみんな集まればきっとなんとかなる。助けてもらおうと思って会場に向かいました。

でも正直質問の手を上げるの、めちゃくちゃ勇気が要りました。
きっとガールズのみんなは「はじめまして」の話に興味があるのに
「さようなら」の話で時間を貰うのは一体どうなんだろうって。
会場まで向かう道すがらはあんなに意気込んでいたのに
いざ質問タイムになったらうじうじしていたんです。
もうどうしようもない位の困り顔で勢い任せにえいやっと手を上げたら、あきやさんに当ててもらってしまいました。

その時のことは、正直よく覚えていません。
とにかくうちのあの子を幸せな最後でさようならしたいとそればっかりで頭がいっぱいで。
そしたらまさかガールズの方から「お焚き上げ」をお教えいただけるなんて。。。
自問自答ガールズの皆さんそれぞれすごく素敵な方達ですが、
本当に優しくてあたたかいコミュニティだなと、とてもとても嬉しかったです。

卒業式の日取りが明確に決まったので、それまでにできる限りこの子を大切にしようと思えました。

当時持っていた他のお靴も合わせてせーので磨いたんですが
カメリアちゃんだけ圧倒的なくたびれ方してるの、分かるでしょうか?

私にとって初めてのお靴で、1番長く一緒に私の人生を走ってくれた相棒です。
特に大学の頃は、本当にいろんなことがあったので、思い出を語り尽くすことはできないし
私がとっくに忘れた試練の日でもこの子はそばにいてくれました。
どうもありがとう。

卒業式当日

4月29日土曜日。
麗らかな春の日差しというにはちょっと暑い日の元、お式を挙行しました。
当日は革製品に興味があると言ってくれたお友達が式にお付き合いしてくれました。

私たちが現着したころにはもう会場大盛り上がりで
焚き上げるお靴が文字通り山になっていました。

左手前にそっと置かせて頂きました

神社にわざわざ焚き上げに来る方たちの品なので
どのお靴も見事に履き古したものばかりでした。
くたくたになった革靴や、ボロボロになった子ども靴
色んな思い出の山なんだろうなぁって。
付喪神なんて存在があるくらい、日本人は古来からものを大切にする文化がありますが
靴のお焚き上げ、とても素敵なお祭りだと思いました。

カメリアちゃんもお山に加えさせてもらって
今まで本当にありがとうって両手を合わせてうるうる。
離れてからもうるうる。
同行してくれたお友達がいなければその場で大泣きしていたかもしれないです。本当にありがとう。
何ならこの記事も期間取りつつ書いているのですが、向き合うたびに涙ぽろりで泣きまくりです。
ぶっちゃけますと卒業式前日の夜、最後にカメリアちゃんを磨いていた時から泣いてました。
本当に、大好きだったなぁと。
確かに私泣き虫ですが、一つの出来事でこんなに泣く経験はめったにないので
正直くるしかったですが、でも、自分の愛を知るのはとてもいい機会だったと思います。

私の愛は重い!!(笑)

大好きでした。
心の底から愛していました。
本当によく頑張ってくれました。
私の舐められスタイルのせいでヒールに蹴られた跡がついてしまったの、本当にごめんなさい。
いままで本当にありがとう。
さようなら

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